第53話「防御」
セナは俺を見て、目を丸くさせながら言う。
「──何してるのだよ」
「準備運動だよ。ここからが本当の勝負だ!」
セナは俺の目を見つめた後、何も言わずに双剣を構えた。
二つの剣を合わせながら音を立て、
俺を威嚇している。
「本気なんだね!」
「──あぁ!!」
セナは俺に睨みを利かしながら、踏み込んだ。
右手で握りしめている、デュランダルで縦に斬り込む。
「──なっ!!!!」
俺はデュランダルの攻撃を左腕でガードしていた。
俺は不敵に笑いながら言う。
「あれ? セナは本気じゃないのか!?」
俺は右手だけを雷で纏い、剣に触れようとする。
セナはそれを見て、
直ぐに後ろへ下がった。
(あのバチバチはやばい。無詠唱で──僕の剣を止めた!)
「なんなのだよ! それは!!」
「これか! 〝愚者盾〟の事か?」
セナは目を光らせながら聞いている。
「無詠唱で魔力盾を出したとしても。
耐久性はかなり劣る。
距離が遠くなるほど、空間把握が難しい。
魔力盾の詠唱だと、一定の大きさしか出せない」
「それはそうなのだよ」
「俺は自分自身が攻撃を受ける所だけ、守ってるんだ」
「そんなこと……」
(だから、先ほどの僕の剣を最小サイズの障壁で耐久性を上げて、
部分的に守っているのか)
「セナ! 臆病には臆病なりの戦い方があるんだよ!!
本気で来い!!!」
臆病だからこそ、ここに攻撃されると察知できる。
だが、俺の愚者盾は対象が、
近距離じゃなければ発動できない。
それでも、今の俺には大きな武器だ。
セナはもう一度距離を詰めて、双剣で攻撃をする。
──凄まじい連撃だ。
正面から左右の剣が怒涛のように振り斬っている。
俺は自動障壁でセナの連撃を耐える。
セナは双剣で攻めながら言う。
「守ってるだけじゃ、何もできないのだよ!!」
「これが──俺の今できる最善さ!!!」
「ふ〜ん、なら、僕の武技を見せるのだよ!!!」
セナは双剣をクロスしながら放つ。
俺はそのモーションを見て、魔法を唱える。
「────〝蓮華〟!!!」
「〝魔力盾〟!!!!
くっ……なんて衝撃だっ」
俺は障壁で耐え忍ぶ。
今までで一番の剣圧を────
「くっ──────」
セナの武技は俺の障壁で止まったが、
その攻撃は一瞬の出来事なのに、永遠のように感じた。
「……はぁはぁはぁはぁ」
「僕の武技を耐えるのだね」
なんて、攻撃だよ。
あんなの何回もくらったら。
もたない。
セナは睨みながら距離をとる。
「──なるほど」
(僕の剣で斬る際は無詠唱の愚者盾が守っている。
ただ、武技は詠唱の魔力盾が守る。
愚者盾は危険予知に近い魔法かな。
視野に入る脅威を感じ、そこに自動的に最小限のサイズのシールドで守っている。それなら……)
「ふ〜ん。その愚者盾はかなり、厄介なのだよ!」
「なら、よかった」
セナはエクスカリバーを突き出し、魔法を唱える。
「────〝氷槍〟!!!」
「────〝魔力盾〟!!!!」
俺は正面からくる無数の氷の槍を障壁で耐える。
セナは走り出し──魔法を唱える。
「〝突出氷柱〟!!」
俺の足元から魔法陣が現れる。
直ぐに後ろへと下がり、魔法陣から出る。
地面から、無数の氷柱が俺に向かってくる。
俺は魔法を唱えた。
「くっ!!! 〝魔力盾〟!!!」
「──ふふふっ」
目の前から迫る、氷柱が俺の障壁で止まった。
セナは俺の視覚から外れるように、
左右に移動しながら向かう。
「なんて──スピードだ!!!」
俺の視野から外れるよう攻撃をするセナ。
俺の自動障壁が双剣からの連撃を耐える。
双剣で連撃しながら、
素早く、セナは魔法を唱える。
「認めるのだよ。
タクロウの防御力は〝突出氷柱〟!!!」
「くっ!!」
息つくまもない双剣での連撃からの魔法。
俺の足元に魔法陣が出現する。
セナの左右からの連撃を自動障壁で防ぐ。
だが、自動障壁を維持するのに、この場から動けない。
意識を集中しないと、この攻撃は受けれない。
セナは一瞬で、
俺の愚者盾の弱点を見抜いたのかよ。
視野以外からの攻撃は発動しないって事。
セナは連撃を続ける。
魔法陣が消え、
地面から──氷柱が現れる。
俺は魔法を唱える。
「────〝光盾〟!!!!」
「──なっ!!!!」
セナの双剣が止まる。
目の間に透明な球体が魔法と双剣を止めていた。
「──悪いなぁ、セナ!!
防御の練習は終わりだ、ここから行くぞ!!!!」
この世界の魔法を完璧に無視をしていた。
その姿に今までにない強者をセナは見た。
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