第49話「ブラック」
俺とクリスは家の前まで着いていた。
玄関を開けると、いつもと変わらない、
優しく微笑みを見せる、スズハの姿があった。
何故かいつもと変わらない姿なのに、
今日はとても、違った様に見えた。
ありがとう、母さん。
「おかえりなさい」
「ただいま、母さん」
「──ただいま、母さん」
「──うん!」
クリスとスズハは俺に少し、
時間を作ってくれるかのように二人は寝室へと向かった。
俺はウッドデッキで腰を掛けながら空を眺めていた。
それはこの世界に来て、色々な事を思い出すように。
そこにそっと、
レイとセナが心配そうに足を運んできた。
俺はその優しい顔を見て、
セナとレイに思いの丈を話した。
「俺はセバスチャンの依頼を受けようと思う。
虹色ダイヤを母さんにプレゼントをしたい」
セナとレイは俺の言葉に頷きながら、
優しい表情で聞いていた。
「お兄様! 私もお母様にお渡ししたいのでついて行きます」
「僕もついて行くよ!」
「セナ、レイありがとう」
セナとレイは耳を疑っているような顔をしていた。
それは多分……
今までなら一言目には気を使うような言葉を、
俺は入れるからだろう。
何も聞き返さずに一緒に行くって言う言葉は、
こんなにも嬉しいものなのか。
ありがとうな、セナ、レイ。
「はい──お兄様と一緒なら」
「──うん! 師匠だからね」
レイとセナは何も言わずに、
ただただ、返事をしてくれた。
「虹色ダイヤは何に装飾した方が、母さんは喜ぶかな?」
「それはネックレスとか喜ぶと思うのだよ」
ネックレスか、確かにいいな。
俺はセナが提案してくれた、
ネックレスはとても良いと感じた。
「お兄様もお母様達に貰われた。
その黒い宝石がはめ込んでいる、感じが良いと思われます」
「レイ、それはなんだい?
あ──これは親に貰った物じゃなくてその……」
「──誰からも貰った物ですか?」
俺が言葉が吃るのを気づいて。
レイとセナが俺にじ────っとすごい睨んでいる。
凄い睨みながら怖い声でレイが俺に言う。
「まさかお兄様──女性からとかではないですよね?」
ジト目をしている。
セナも睨みながら怖い顔で俺に告げた。
「僕の弟子がま! さ! か! 女の子から貰ったりしないよね」
やばい…………
まさか、帰ってきて修羅場になると思わなかった。
なんて返したらいいんだ……
---
その瞬間。
辺りは全て止まっていた。
俺──
以外全て──────
目の前には漆黒のドレスを着た、クロがいた。
俺はその突然の状況に息を呑んでいた。
「まぁまぁまぁ!! お久しぶりです。あなた様」
「……クロ、どうしてここに?」
突然のことに一驚している俺。
クロはひそやかで妖しい表情を俺に見せていた。
「修羅場を見に来ましたわ。
とても素晴らしそうなので」
「いやいや……それは」
それを言っちゃおしまいよ〜
そんな返しをされるとは……
あれ、デジャブか前もこんな返しをしたような。
先程までの修羅場はクロが渡してくれた、
ネックレスが原因である。
「大切に身に付けてくれていたのですね」
「まぁ……そうだな」
「ふふふっ」
クロは右手の甲を口元に当てながら、
優艶に笑っていた。
俺はその姿、雰囲気を見て、確信に変わった。
「クロ……お前……女神だろ」
クロは俺の言葉にほんの一瞬だけ、目を丸くさせた。
その一言で先ほどの雰囲気とガラッと変わった。
「あなた様──何処でそれを?」
クロは少し、殺気を放ちながら俺に告げる。
「女神と会った事があるから、似ているんだ雰囲気が。
だから──ネックレスも想いがあると思い外せなかった」
「ほう、なるほど。鎌を賭けられたのですね。ふふふっ」
殺伐とした雰囲気は落ちつき、
先程までの雰囲気と変わらなくなる。
俺は雰囲気が変わったのは気づいたが──
グッと唾を飲み込みながら告げる。
「──もし思考が読めるならクロのその名前も偽名だろ。
最初に会った時の頭のイメージから、それを名乗ったんだろ?」
「ふふふっ、あなた様は一を聞いて十を知るタイプなのですね。
流石はワタクシのお気に入り」
クロは不敵な笑みを見せとても喜んでいた。
「……まさかお前がセルシアか……?」
その言葉に初めて感じた殺気を身体に浴びた。
鋭い戦きが足の先まで伝わってくるのを感じた。
なんて殺気を放つんだ。
「──どうしたら?
あなた様はあのクソ女と一緒に見えるのでしょう?」
恐ろしい笑みで俺を見つめる。
俺は完璧にクロの地雷を踏んだと言うのを理解した。
戦慄をしながら──
俺は咄嗟に頭の中の言葉を途切れ途切れ言う。
「……その……黒で綺麗だから。闇魔法の女神様とか……」
俺は恐る恐るクロの顔を見つめた。
言葉がクロの耳に届いた瞬間──
直ぐに殺気が落ちつき、にこやかな笑みを見せる。
「はい、あなた様。正解でございます。
ワタクシはシエスタ・サーチウェル・シャズ・ノエルと申します」
長いなぁ──────!!!
「というのは嘘でクロと申します」
「────ぇぇえええええ」
二人だけの時間をただただ彼女は楽しんでいた。
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