第45話「話し合い」
俺はギルド提携の宿屋の宝石丸に着いていた。
シルビアと話をして、
無性に電話をしたくなり、
俺はプラティークでセナに電話をかけた。
「ごめん……セナ。寝ていたか?」
「うん──寝てたかな」
「そうか──急にごめんな……」
セナは急は夜遅くに電話がかかって来たのに、
すぐに応答をしてくれた。
「……何かあったのかな?」
「まぁ……あったかな。今、確かリスブン街にいたよな?」
「うん! そうだよ」
「明日会いに行ってもいいかな?」
(さては何かあったのかな?)
「僕達の方から出向こうか?
アポートに乗れば、一瞬で帰れるから」
「そうか! じゃあ待ってる」
そして、俺は眠りについた。
ギルドがある場所にはアポートがある。
アポートとは六角柱の白の水晶だ。
高さは二メートル強である。
それに触れるとアポートがある場所で、
一度行ったことがある場所に転移ができる。
何故、それが存在するのかは不明である。
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「お兄様! お兄様! 朝ですよ」
優しい声が俺の耳元から聞こえる。
頬をちょんちょんされているのを感じた。
「お兄様! 起きないと襲っちゃいますよ」
とても優しい感触が触れたような気がした。
それはレイが頬にキスをしていた。
俺は寝惚けながらも起きる。
朝、頬、ちゅうだ。
伝説の。
可愛い。
「レイ、その」
「ふふふっお兄様 暖かいタオルです」
「ありがとうレイ」
「一階のルルージュで待っていますね」
「あぁ──」
はぁ〜
朝から心臓がバクバクしている。
あれは卑怯だ。
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俺達は酒場ルルージュで朝食を食べていた。
それを見た周りの男達は、
嫉妬の炎に狂ったようにこちらを見ていた。
((あの年で朝から両手に花とは羨ましい限りだな〜))
うわぁ……
またこっち見てる…………
俺は絶対に目を向けないように無視をした。
(((殺してやる!!!!!!)))
そして、俺はビニ町で起きた事。
リリー達の依頼の件をレイとセナに説明をした。
「お兄様……そんなことがあったのですか」
「また、光のブックマンだね!」
「あぁ……そうだ」
レイとセナは一驚していた。
俺は吃りながらもレイとセナに告げた。
「その……教えて欲しいんだけど、虹色ダイヤって言うのはどんなものなんだ?」
────セナは全てを理解し言う。
「虹色ダイヤは婚約指輪に使ったりするのがメジャーかな。
後は虹色ダイヤには通常のダイヤとは違って、貴方の幸福をとても願うって言う、意味を持っているんだ」
「そうなのか」
「虹色ダイヤは希少でとても高価な物だけど、
貴族の方がそれを自分自身で取りに行きたいってことは、
何かしら、意味合いがあるんだと思うのだよ」
「確かにそうだな」
そう意味合いがあるのか。
確かに買えるものを買わずに、
わざわざ命をかけて三十階層まで取りに行く。
まぁ、通常の話ではないよな。
「お兄様──それは想いだと思います。
もし、それを大切な人に渡したい物であれば、
可能ならば自分自身で取りに行きたいって、想いの強さがそうさせるんじゃないですか?」
「なるほど、レイ」
俺はリリー達の顔を思い浮かべていた。
レイの言う通りだな。
想いが行動をさせるか。
「やっぱり──僕達の事をまた気を使ってるんだね」
「そうですね! いつものお優しいお兄様です」
「いやそんなこと──」
レイとセナは御見通しか。
そう話していると俺のプラティークから、
電話の反応がある。
────クリスからか。
「セナ、レイ。ごめん父さんから電話だ」
「うん! 出てあげて」
俺はクリスからの電話を受け取った。
クリスから電話があったのは初めてだった。
少し緊張するな。
「もしもし父さん、何かあったのか?」
「うん! うん! 良い事だ! 良い事だ!!」
「そうなのか?」
「母さんが妊娠した! 女の子だ!!
また妹が出来るぞ!!
タクロウ──時間があればすぐ会いに来てくれ!」
「──あぁわかった!」
妊娠。
赤ちゃん。
まじか!
俺はなんとも言えない感情が全身に行き渡っていた。
俺はその電話の内容をレイとセナにした。
俺達はビニ町を後にして。
────ラサマ村へと向かった。
俺は頬をほころばせて、
レイとセナとハイタッチをしていた。
こんなにも嬉しい事はなかなかない。
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