第41話「協力者」
俺は左手を上げ魔法を唱えた。
「〝波紋光〟!!」
これで先ずは先制攻撃だ。
後は時間を稼ぐだけだな。
光のブックマンとセバスチャンは驚嘆をしていた。
「なっ……やられたでア〜ル!!!!!」
「……こっこれは」
左手から眩しいほどの光が広がり消えていった。
この場にいた人は理解した。
何も情報も上がってない中──
町での魔法行使をする、
それがどんな意味を持っているのかを。
三人のブックマンは再度全力で、
その場から逃げようとする。
「これでお前達を──足止めすれば終わりだ」
「これ以上、時間を取られるとやばいでアール」
「悪いが逃がさない!!
〝魔力盾〟!!」
俺はブックマンの進行方向に障壁を出し、邪魔をする。
ブックマンとセバスチャンはその姿に驚愕する。
「なっなんと!!」
(……なんていう防御魔法使い方。
しかも、あの射程距離、尋常じゃない)
「素晴らしいですが、完遂でアール。
眩光!」
ブックマンは上級光魔法を唱えた。
NO.Ⅴの魔法から眩い光が視界を奪う。
「しまった!! タクロウ様 目を!!」
「〝探知範囲〟!
そして、〝雷槍〟!!」
俺は探知魔法で場所を確認しながら、
すかさず魔法を放った。
雷の槍が三人のブックマンに正確に向かっていく。
二人のブックマンは──
突然の魔法に障壁を張れずに倒れた。
「ばっばっかなでア〜ル!! 何故!?
こんなに正確に魔法を!
わかっていなければこんなことを!!」
「わかっていたさ。目を眩ませる魔法を打つことくらい。
それが解れば、目を瞑り。
探知範囲を唱え攻撃するだけだ」
ド〇ゴン〇ールが好きだからな。
俺は不敵に笑いながら言う。
セバスチャンはこの光景──
圧倒的までの場面の支配権をある面影と重ねていた。
(シルビィ……)
「フハハハハハ! 素晴らしい!!
素晴らしいでア〜ル!!
貴方は我が光のブックマン欠番のNO.VIIに相応しいでア〜ル」
NO.Vは俺に見惚れながら言う。
気持ち悪いな。
コイツが喋ると背中がゾワゾワってする。
俺は声を荒らげて告げる。
そして、コイツらは俺となら会話をする。
少しでも──時間を稼いで人が集まるのを待つしかない。
「誰がこの町の大切な物を盗むような輩に入るかよ!!!」
「今回はこのクリスタは私達が求めてないア〜ル。
依頼ですよ〜!」
「依頼だと?!」
「いい関係なんですよ。
とても『あの人』とは」
「あの人とはいったい誰なんだ?!」
「でわ、私はこれでおさらばでア〜ル!!」
「タクロウ様、上です!!!!」
NO.Ⅴはとても気味悪く告げる。
目が慣れてきた、
セバスチャンは気づいた。
NO.Ⅴは空に思いっ切り──
クリスタを投げた。
────鳥がクリスタを掴んで颯爽と逃げていく。
「くっ!! 逃がすかよ!!」
NO.Ⅴは目線が鳥の方に向いているのを気づき上級光魔法を唱えた。
倒れていたブックマンが中級光魔法で起き上がる。
「悪いですねぇ〜 〝寵愛光〟!!」
「タクロウ様!!! 鳥ではなく上です!!!」
セバスチャンの言葉で、俺はさらに上を凝視する。
そこにはブレスを放とうとしているワイバーンの姿。
炎ブレスは放たれた唐突に──
圧倒的な炎が上空から覆っていく。
「──なっ!!!
──〝魔力盾〟!!!!!」
「────〝岩盾〟!!」
中級光、土魔法を唱えた俺とセバスチャン。
俺とセバスチャンの障壁が炎のブレスを止めている。
なんて、火力だ。
このままだとやばい。
ブレスに気づいた町の人達も続々と防御魔法を唱えていく。
俺はブレスを見ながら魔法を行使し続ける。
「でわ、NO.VIIご機嫌!?」
「──────くっくそおおお!!!」
アイツらは俺達に気づかれて、
ワザと時間を稼いだってことかよ。
冒険者達による防御魔法で炎のブレスの被害はなかった。
だが、光のブックマンとワイバーンと鳥の姿は消えていた。
「また逃げられた!!! ────くそおおお!!」
俺は叫んでいた。
それはこの町の人がどれだけ──
岩龍のクリスタが大事か、
屋根伝いを駆けていた時に見えたからである。
「タクロウ……仕方がありません」
セバスチャンも悔しさを殺しながら言う。
また、また逃げられた。
「しかし、でも……」
「光のブックマンが他の魔法を使う魔物を利用するなどは前例がないのです。
しかも、他と協力するなど……
特にあのワイバーン等を手懐けているのが主犯ですが」
上空から炎のブレスを放たれた。
その映像を見て──ビニ町の人達は理解してしまった。
この町から岩龍のクリスタが、
本当の意味で消えてしまったのだということに。
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