第40話「ナンバーズ」
リリー達は情報を元に、
南東から町の外へ出ようとしている。
怪しい三人の所へ向かおうとしていた。
「お嬢様では私めが先に行ってまいります」
「うぬ、頼んだぞ!」
セバスチャンは直ぐさま──
南東の三人の元へ駆けて行った。
「俺達は一緒に行かないのか?」
ソノが俺の問いに答える。
「セバスチャンはかなりの使い手なので、私達のペースに合わせていただくよりか、先行して、状況を確認していただいた方がベストかと」
「なるほど!」
セバスチャンさんは強いのか。
確かに只者ではない雰囲気だよな。
「じゃあ、俺も付いて行くかな」
リリーは俺の言葉に声を荒らげた。
「はぁ何言ってるの!? ゴミクズ !!
ゴミクズがセバスチャンのスピードに、ついて行けるはずないでしょ!」
「まぁ見てろよ!」
「なっ……」
俺は千万のローブを纏った。
リリーはその姿を見て。
一瞬ずっと憧れていた。
七色の十字の姿に重なって見えた。
俺はニヤリとリリーを見つめ、告げる
「じゃあ、俺は行ってくる!」
「……ぐぬぬ」
「僕達も直ぐに後を追います!」
「あぁ、わかった」
俺はレストランから出て、走り出し──
中級光魔法を唱えた。
「〝探知範囲〟!
三人は何処にいるかな。
セバスチャンさん速すぎる!
しかもまだ屋根かよ!!」
三人とセバスチャンさんは屋根伝いに駆けていた。
「今の俺なら出来る!!」
壁を蹴って庇から屋根伝いを追いかけた。
セナが別れる前に教えてくれたこと、
基本的身体能力は魔力を身体に通わせる事で強化出来る。
〝魔強化〟と言うらしい。
ただ、常に魔力を使う事になるので、
自己調節が必要である。
俺は──中級光魔法を唱えた。
「あとはこれだな! 〝素早強化〟!!」
かなりの速さでセバスチャンを追いかけた。
「忍者になったみたいだな、ふふふっ」
セバスチャンの姿を目視出来るほど進んでいた。
「よしっ! 捉えた!!」
セバスチャンも後ろから追ってくる、
気配に気づき目を見張った。
「なっなんと……!」
(あの年で私のスピードについて来るとは。
いやはや、末恐ろしい若者です。
光の魔法の使い手ですかなぁ)
「セバスチャンさん正面ですか?」
「はい! その通りでございます」
俺達は三人を視界に捉えるまで進んでいた。
俺は見た事のある姿に悟った。
「あのローブ! 光のブックマンか?!」
「そのようですね。
あちらも、私達に気づかれたみたいですね」
光のブックマンは更にスピードを上げて逃げていく。
「少々手荒でございますが、仕方ありません!!」
セバスチャンは細い剣を出し、
前方の光のブックマン達に突き出しながら──
魔法を唱えた。
「逃がしませぬ、〝岩荊棘〟!!」
上級土魔法。
突き出している剣先から魔防陣が現れ、
無数の岩の茨が三人の光のブックマンを追いかけていく。
三人の光のブックマンはすかさず、振り返り──
魔法を唱えた。
「〝魔力盾〟でア〜ル」
光のブックマン達は障壁で岩の茨を止め、
斧で茨を切り落としいく。
三人の光のブックマンの足が止まった。
「おやおや〜こんなに早く気づかれるとは、思っていなかったでア〜ル!」
「また、光のブックマンか!!」
前回に会った光のブックマンと武器と雰囲気が違った。
コイツら何人いるんだ。
「おやおや! 我が神の思し召しですね〜
素晴らしいでア〜ル」
「どうして、岩龍のクリスタを盗まれたのでしょうか?」
セバスチャンは鋭く睨みながら、
光のブックマンに告げた。
「……」
光のブックマンはセバスチャンの問いを無視をした。
俺はそれを見て、代わりに言う。
「黙りか、しょうがない。返して貰うしかないなぁ!!」
「私達が盗んだと言う証拠はないでア〜ル!!
なんては言わないのです。
NO.IXがお世話になったでアール」
「誰だそれNO.IX!?」
なんでコイツは俺となら喋る。
気持ち悪いな。
俺の問いにセバスチャンが言う。
「タクロウ様、光のブックマンはアースの学園と同じようにNO.を付けているのです」
「NO.??」
「学園のNO.は序列が存在しておりますが、光のブックマンはただの個体識別番号となっているようです。
分かっているのは主力が九人居るという事です」
なるほど──
じゃあ、前にあった奴はそのNO.IXって事か。
変な団体だな。
気持ち悪い。
「老体が詳しいでアール!! そうあります!
寵愛を受けし子!!
私はNO.Vでアール〜」
「どうでもいいさっさと返してもらうぞ!!!」
「さぁさぁさぁ、その寵愛を!
肌で感じさせてくださいでアーーール!!」
老に近づくにつれて。
感情のない影のような人間になっていくと感じていた。
大切な人と同機するように……
なんともいえない怒りがこみ上げてくる。
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