第37話「金髪ツインテール」
俺はビニ町に着いていた。
見慣れた景色は、今は全く違う風景に見えた。
「とりあえず先ずは教会だな。
シルビアには色々──また話をしたいしなぁ」
教会に近づいて行くにつれて、
ザワザワとした音が大きくなっていく。
何か、あったのか?
「原因はこれか! 凄い行列だな」
教会近くまで着くと──
まるで有名店を並んでいるかの様に、
教会の入口からすごい行列が出来ている。
すっすげえ。
みんな、祈りを捧げるのか?
俺は一番後列に並んでいた。
近くの男に声をかけた。
「すいません! 何で教会にこんな行列が出来ているんです?」
「今、光教会の人が魔鉱石を配っているんだよ!」
「……魔鉱石?!」
「知らないのか?!
魔鉱石って言うのは使用者の魔力量を一定時間多くするものなんだよ。
使用すると砕けて一定の時間が経つと効果は消えてしまうのだが、
とても便利なんだよ」
「そんな便利なものを無料で?」
なるほど、だからこんなにも並んでいるのか。
しかも、ちゃんと整列して綺麗に並んでいる。
「あぁ、このビニ町は色々な石が有名だから。
ビニ町のセルシア教会の人達は、たまにこういうイベントをするのさ。
特に今回は並ぶ人が多いがな」
「なるほど、親切にありがとうございます!」
「あぁ! 別に気にするなぁ」
俺はその男に会釈をして──その場から離れた。
この状況だと、待っていても何時間もかかる。
これじゃあ後回しだな。
「お嬢様! 教会はイベントで混んでいるみたいです。
ここは後回しにしましょう」
「ふむふむ、そうであるなぁ!」
へぇ〜俺と同じ事を考えてる人もいるんだなぁ。
とりあえずギルドに行くか、
聞きたいこともあるし。
俺はギルドへ向かった。
そして、カウンターに掛けているシグマに話をかけた。
「こんにちはシグマさん」
「こんにちは、タクロウ様。
水のエレメントのクエストはどうでしたか?」
「まぁその……何とか無事にクエストを完了出来ました」
俺はハハハと笑いながら話す。
だが、シグマが言っていた通り。
経験不足だったな。
それを聞いてシグマはニッコリと笑っている。
「いやいや流石です。タクロウ様、本日は何用で私の所に?」
「唐突ですいません。
ギルドとかで特別なチームとか作れたりするんですか?
十字石軍と言うのを聞いたもので」
俺はゲイザーが言っていたのが名前が気になって。
俺はギルドに足を運んだのである。
「なるほど。クランと言うのが知りたいのですね?」
「クラン!」
「はいクランです!
少しお話しますね。
クランにもランクと言うのがあります。
これもトランプで例えられてこちらをご覧下さい」
シグマがプラティークで映像を出し説明する。
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【クラン】
クラン結成の為には冒険者三名以上が必要です。
後、クラン名が必要となります。
ギルドに申請すると設立ができます。
クランには役職が存在します。
クランメンバーの貢献度によりクランランクは上がります。
ある一定の貢献度になるとクランランクは上がります。
貢献度はギルド主催または国、街、村が主催する。
フェスティバルにより貢献度が貰えます。
クエスト、ダンジョン攻略。
魔物討伐など──でも貰えます。
【ブロンズ・ジョーカー 】
クランを設立すると先ずはこのランクになります。
最も多いランクです。
このランクはギルドからの恩恵はありません。
【ゴールド・ジャック】
このランクは街の守護者レベルとなります。
街と同じ価値があります。
【プラチナ・クイーン】
このランクは国の守護者レベルとなります。
国と同じ価値があります。
【ダイヤ・キング】
このランクは歴史に刻まれるレベルとなります。
全ての人が憧れるランクとなります。
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「そしてタクロウ様が先程仰った。
ゴールド・ジャックの十字石軍は、
十三人によって構成されているクランです。
タクロウ様も人を集めて、
クランを作ってみてはいかがでしょうか?」
シグマが言う通り。
レイとセナでクランを作ってみるのもいいかもな。
俺は少し楽しみ考えていた。
「丁寧に教えてくれてありがとうございます!」
「いえいえ! 私の憧れているクラン。
ダイヤ・キングの七色の十字のような、
クランをタクロウ様も作れると思いますよ!」
「七色の十字?!」
「はい! 七色の十字は主力メンバーは八人の冒険者で構成されていて。
主力八人の内、三人はスペード、四人はハートのランクのメンバーで構成されています。
最近は一人、新人が主力加入されたみたいです。
冒険者は誰もが憧れるクランなのです!」
「シグマさんは七色の十字が好きなんですね!」
シグマは夢中で話しいたことに気づいて。
直ぐに元の調子に戻った。
「すいません、話を込すぎました。ではではご武運を!」
「いえいえ、またよろしくお願いいたします!」
話し終わってギルドから出ようとする。
「ふ〜ん今日は真新しいクエストは出ていないようね」
「そうですね。お嬢様」
教会の前で話してた声が聞こえた。
視線を転じると金髪ツインテールの子が。
俺をめっちゃくちゃ睨んでいる。
とりあえずさっさとギルドから出よう。
俺は早足でギルドから出た。
「ゴミ!! ──コッチを見ろゴミ!!──」
後ろから女の子が物凄い罵倒している。
「……」
「ストーカー!!! ゴミクズ!!! こっちを見ろ!!」
いやいや絶対に俺に向かって言ってるよな。
とりあえず無視だ。
ああいうのには関わらないのが正義だ!!!
「聞いているのか!! ゴミクズ!!」
「……」
振り向いたら。
ゴミクズって認めることになるだろうが……。
俺はギルドから出る。
背中から物凄い衝撃で膝からくだけ落ちた。
「────ぐっっはっつつつ」
「ふふふっ!! 私をシカトするからだ!!!」
「お前何しやがる!!!」
立ち上がり後ろを振り返ると────
ゲラゲラ笑っている金髪ツインテールの少女がいた。
「申し訳ございません。冒険者様!!!
お嬢様がドロップキックをしてしまい!!
申し訳ございません。」
平謝りをする白髪の執事。
その隣でまたゲラゲラ笑っている。
金髪ツインテールの女が居た。
「ドドドッドロップキックだと?? 初対面で!!」
「何度も言わせるな!!
私をシカトするからであろう!!」
「まじかこの子イカれてやがる……」
前世でもされた事ないドロップキック。
背中の衝撃と言葉が動かしがたい、
ありえないリアルをのしかけてくる。
この度は、読んで下さり有難うございます。
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