第36話「さらけ出して」
命の天秤と言うのはあるのだろうか……?
頭で考えるよりも行動した。
────そう言う言葉。
それは自身が支払える代償によるものだと考える。
支払う代償が大きければ、
大きいほど足は竦み影が覆う。
全ての行動は考えによるものである。
そう思っていた。
僕はあの時。
何も考えずにただ君を守りたい。
ただ、それだけを感じていた。
そして、考えがはじまる。
いつの間にか前にも見た。
誰かを思う。
優しく悲しい顔。
身命を賭してまで彼を……
その彼の前に……
もう偽る理由がない。
その曝け出した事による。
現象があったとしても…………
---
「セッセッ──セナ胸が胸がある!!」
「だって〜僕〜女の子だもんあるのだよ」
セナはニッコリと、
とても可愛すぎる笑顔で微笑む。
えっ!!?
セナは男って言ってたよな?
胸なかったのに今ある?
どして?
「いやいや、だっだって男って言ってたよね?」
「ふにゅ〜。
今もモミモミしてるリアルが証拠だと思うけど?」
俺は直ぐに手を退けようとしたが、
俺の脳が阻止する。
触りたい。
ダメだ!!!
圧倒的な感触に硬直していたが、
光速で手をどける。
「あ──ごめんごめん、そのつい……」
「ふむふむつい? じ────」
「いやその……」
「僕が悪いんだから、僕が偽ってたのが……」
──セナはそう言って目が俯く。
わかりやすいなぁセナは全く。
「まあ──初めて会った時もめちゃくちゃ可愛い男の娘だと思ってたから。
正直女の子って言われてもスッと入ってくるよ」
「かか可愛いって……何それ!!!」
「なんて──な! ふふふっ」
「しっしっ師匠の僕を揶揄ったな!!!
ゆゆるさないぞ!!!」
セナは頬を膨らませながら──綺麗な蒼眼で。
じ──って見つめていた。
「偽ったのとお相子だよ!
別に今更──そんな事でセナを嫌いになったりしないよ。
俺の大切なお師匠さんだ! 理由は聞かないよ!」
「ありがとう……」
セナは俺に思いっきり抱きついてきた。
「ハグハグ――!! すりすり、すりすり」
「せっせっせセナダメだァ!!」
「くっつき虫セナなのだよ〜」
きゃわいい!!!
ダメだ──
女の子だったって破壊力やばい。
セナはとても可愛い声でベタ──とくっつく。
レイが急に勢いよく部屋に入ってきた。
「何! やってる! んですか!! お! 兄様!」
「レイ! そのセナが女の子だったんだよ!」
俺とセナを睨みながら言うレイ。
えっ?
びっくりしないのレイ。
なんで? セナ女の子だったのに。
「セナもいつまで抱きついているんですか!!!」
「レイ! そのセナが……」
「むむむむ! お兄様知っていましたよ!
最初から初めて見た瞬間から……」
「──そうなのか!!!」
「────へぇええええ! 僕が女だって?!
気づいていたの??」
俺とセナは驚愕して固まった。
「はい! もちろん! とりあえずご飯ができています。
起きてください」
レイは頬を膨らませながら部屋を出て行った。
(……セナやっとあなたも自分を伝えられたんですね)
「朝ご飯か! レイありがとうな」
「ご飯〜ご飯〜朝食、ご飯〜」
セナは変な歌を歌いながら向う。
可愛い歌だ。
俺は普通に向かうとする。
目の前にハグしてって、
モーションをしているレイがいた。
目の前の子も可愛い。
レイ、どうかしたのか?
「レイ、そのなんだ……?」
「お兄様! 私を抱っこしないで。
朝食がありつけると思っているのですか?」
「いやなんだよ、それ!!」
「セナだけずるい」
レイはとても可愛く頬を膨らませ。
美しい蒼眼で睨みをきかせている。
そんなルールが増えたのか?
まぁ、いい。
感謝だ。
「わっわかったむぎゅ〜」
「よろしい〜よろしい〜」
俺はレイをそっと抱きしめた。
俺達は朝食のポテトスープとチーズオムレツを食べ、
和やかな朝食を楽しんでいた。
あぁ〜美味しい。
誰かに作ってもらう料理は幸せだな。
本当に。
しかも、異世界キャンプで。
「セナそのありがとうな! ローブ!
カッコよくって気に入ったよ!」
「うん! こちらこそいつもありがとうなのだよ!」
「これからもよろしくね! レイ! セナ」
「うん!」
「お兄様!」
レイとセナはとてもニッコリ笑顔を見せた。
「とりあえず、この後どうしようか?」
「お兄様! 私とセナは少しお出掛けをしようと思います」
「お出掛け、何処か出かけるのか?」
俺は二人の顔で少しだけ理解した。
気を使おうとしていることに。
恵まれているな俺は。
二人に出会えたことが俺にとっての恩恵だ。
「うん、お師匠様からのクエストだよ。
ゆっくり一人でビニ町を楽しんで!」
「お兄様はたまには一人ゆっくりとしてください!」
「俺はレイと一緒に
綺麗な景色を見れてよかったなぁって思ったよ!」
(……お兄様、私が思ったことと同じことを)
「お兄様!」
「セナと会わなければ、俺はこんなに自分の世界は広がらなかった。
俺に魔法を教えてくれてありがとう」
「うん!! でも少しだけ一人で景色を見てほしいんだ。
今なら攻撃魔法も使えるから大丈夫少しだけね?」
「お兄様〜楽しんで!」
「そうかわかった!」
俺達は朝食を食べたあと。
セナとレイは一緒に何処かへ出かけて行った。
俺はビニ町へと向かっていた。
周りの人の楽しそうなざわめきが。
前に足を運んだ時以上にとても近くにあるように。
聞こえるのであった。
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