第30話「共闘」
「〝魔力盾〟」
俺はブックマン達の前に障壁を張り、剣を止めた。
「なんと!! なんと!! 素晴らしい魔法でアール。
これぞ、光の恩恵!」
ブックマンは感嘆の声を上げる。
三人の冒険者はありえない障壁の数に唖然としていた。
何で、光のブックマンは自分の剣が止められてるのに、
あんなに喜んでいるんだ?
なんか、気持ち悪いな……。
「お前ら! どうして出てきた!!
だが、助かった。俺はゲイザーだ」
「助かった! 私はナクラと言う」
「アンリって言うわ。ありがとうね〜
ぼうや達〜ちょっとやばかったかもだから」
ゲイザーは物陰に誰かが隠れている事は、
気づいていた。
やはり、この人達は悪い人じゃなさそうだな。
完全にアイツらの奇襲か。
「お兄様、挨拶の前に目の前の敵を!」
「あぁ、そうだな」
何故か興奮している光のブックマンに、
俺は力強く言葉を放った。
「形勢逆転だ! お前ら、何が目的だ!!」
「我らの目的は水のエレメントのクリスタでアール」
水のエレメントクリスタ?
さっき俺が手に入れ物か。
コイツらはそんな物が欲しいのか。
「なんだと! だから邪魔しに来やがったのか!!
水のエレメントのクリスタなんて売ってるだろ」
ブックマンの目的を知り。
ゲイザーは声を荒げて言うが、
ブックマン達は何故か無視をした。
それを見て俺は代わりに告げる。
「水のエレメントのクリスタは俺が持っている。
渡すからこの場から帰れ!」
「フハハそんなのいらないのでアール。
それと、お前ら四人は必ず屠るのでアール。
素早強化!」
えっ!!?
何だよコイツらいらないのか?
どういう事だ。
光のブックマン達は中級光魔法で自身を更に強化して。
再度、剣を握り襲いかかってきた。
「何だよコイツら 〝魔力盾〟」
俺は魔法を唱えたが、
剣を持って襲いかかる姿に動悸して。
障壁が四枚しか出せていなかった。
残り二人の光のブックマンがゲイザーに向かう。
「────しまった!!」
「大丈夫だ──!!」
奮い立つような──しっかりとした声で。
ゲイザーは言う。
ゲイザーは大剣で二人の光のブックマンの剣を軽く止め。
中級土魔法を唱えた。
「邪魔だ!! 〝放岩〟!!」
「──ぐつわあ」
ゲイザーは武器に岩を纏わせ、
思いっ切り押し返した。
勢いと同時に岩が放たれる。
その攻撃で剣を合わせていた。
二人のブックマンを吹き飛ばし、
飛ばされたブックマン達は木にぶつかり倒れた。
「スッ──スゲエエエ!!」
「余裕だ! 余裕!!」
ゲイザーは俺にニカッテ笑ってみせた。
だが、こんなに対人戦は怖いものなのか。
人が殺気を見せ、剣を持って襲い掛かる姿が……。
こんなにも恐ろしいものなのか。
──怖い。
「くそ……」
俺の言葉が微かに震えて、
自信がなさそうに響いた。
「当たり前だ! お前はまだガキだ!
震えて、すくんで当然! 成長だ! 成長!!」
それを聞いてゲイザーは、
俺の胸にしっかり打ち込むように告げた。
そして、ゲイザーはまた大剣を振りかざし、
光のブックマンに斬り込んでいく。
その攻撃をメインで喋っていた光のブックマンが前に出て。
片手剣で大剣を止めた。
レイはそれを見て、直ぐに相手の力量を判断した。
「お兄様、あの光のブックマンかなりできます」
「あぁそうだな。レイ」
すごい戦いだ。
殺気がぶつかり合っている。
剣を合わせる金属音がかなり響く。
あんなの、俺じゃあ、無理だ。
ゲイザーとメインで喋っていた。
ブックマンが剣を合わせて戦闘している最中──
ナクラがメインの光のブックマンに向けて、
中級風魔法を唱えた後に弓を放った。
「──貫け!! 〝疾風矢〟!」
魔法は武器と掛け合わせるとより火力が出る。
光のブックマンはゲイザーの攻撃を捌きながらも、
風を纏った弓矢を剣で軽々と落とした。
俺はその戦いを呆然と見守るしかできなかった。
レイは溢れている。
三人の光のブックマン対して上級火魔法を唱えた。
「ふりおとせ、〝雨炎〟!」
「あの子かなりやるわね。
〝雨炎〟」
レイとアンリによる同時魔法。
光のブックマンの頭上から数多の火球が降り注ぐ。
三人の光のブックマン達は頭上に向かって魔法を唱えた。
「そんなの効かないのでアール。
〝魔力盾〟」
レイはふふふっと笑いながら、
上級火魔法を唱えた。
「足元がお留守です。〝炎柱〟!」
光のブックマンの足元へ魔法を唱えたレイ。
三人の光のブックマンの足元から魔法陣が現れ、
炎の柱が出現し、光のブックマン達は倒れた。
レイの連続の上級魔法がとても強力だった。
アンリは思わず言葉を飲み込んでレイを凝視する。
「何あの子──三人のブックマンを一瞬で倒した。
私と同じ火魔法使いでも格が違う」
レイとアンリの戦いを見てゲイザーは言う。
「あっという間に五対一だ! これでしまいだ」
「確かに四対一なら余裕でア〜ル。
光の少年がいるので部が悪いでア〜ル」
光のブックマンは何故か俺を見ながら告げた。
そして、光のブックマンはアイテムボックスから鉱石を出し。
右手を掲げた。
それを目にしたゲイザー、ナクラ、アンリは、
鋭い戦慄が身体を支配していた。
「通常あれば帰るでアールが今回の任務は!!
完遂でアーール。これで瞬殺でアール!!」
「なんだと……天使の召喚石だと」
「消えろ!! 蛆虫!!」
そして、天使が降臨した。
強い光によってくらんだ目の網膜には──
閃光と点滅する光を目に焼きつけた。
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