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第28話「月見の余韻」

 俺達はクエスト報酬とドロップアイテムを確認していた。


「俺の方はウインドウルフのドロップはなしか。

 水のエレメントのクリスタがある」


「お兄様すごいです!

 私の方は水のエレメントからのドロップは何もありません。

 ウインドウルフのシードとクリスタはドロップがありました」


 チイエ湖で狩った魔物の死骸も、

 ちゃんとアイテムボックスにしまった。


 クリスタを結構ドロップしたのは凄いな。

 どれくらいのペルになるか、ワクワクするな。


 前、セナと受けたスライムのクエスト報酬は、

 三千ペルだったからな。


 スライムのクリスタが一万ペルだった。

 かなり助かったんだよな、あれは。

 十体討伐で二個クリスタがドロップしたからな。


 その後のシルバーウルフの群れを倒した時、

 クリスタが三つドロップした。


 一個当たり一万五千ペルで買い取りができて。

 初心者だからってギルド買取りで、

 十万ペルくらいになったけなぁ。


 この世界はギルドで売る以外も、

 商人に直接売ったりも出来る。

 ただ、無難なのはやはりギルドみたいだ。


 俺は湖に来て、

 あの時からの成長を感じていた。

 このクエストを受けてよかったと思った。


 俺は初めてのキャンプをした。

 初めてのキャンプが異世界キャンプである。


 俺はレイが作った。

 クリームシチューシチューを食していた。


「これ、母さんの味にそっくりだ!!

 めちゃくちゃ美味しいぞ」

「はい! お母様にレシピを教えていただきました。

 私とセナはお母様のレシピを色々盗んでいるんです〜」

「だからこんなに美味しいのか〜ありがとうなレイ」

「お兄様! おかわりはありますからね!」


 ふふっと笑顔を見せながらレイは俺を見ている。

 だが、このクリームシチュー美味しいな!

 ──俺はふと思った。


「そういえばセナ、あいついつ戻ってくるんだ?

 少し用事があるって言ってから音沙汰もないぞ!」

「もうすぐ戻ってくると思いますよ」

「そうなのか?」

「心配ですか?」

「まぁな」

「ふふっ」


 俺は食事とその雰囲気をゆっくりと楽しんだ。

 そして、食事を終えた。


 すると、周りからざわざわした音が聞こえる。

 さっきまで静かだったのに。


「なんか夜なのに騒がしいなぁ」

「お兄様、多分それは他の冒険者も、

 水のエレメントの討伐クエストを進めているのではないでしょうか?」

「あぁなるほど!」


 確かにそうだよな、

 俺達以外も同じように冒険者がクエストを受けているんだ。

 ──俺は徐に魔法を唱えた。


「レイちょっと覗いてみる。〝探知範囲(フォース)〟」

「覗く? ですか?」


 俺の探知範囲(フォース)は、

 ダンジョンの後から範囲がかなり広くなっていた。


(覗く? お兄様の探知範囲(フォース)はここからあの音がする場所まで察知できると言うの?

 かなり魔力量が多くないと、あそこまで届かないはずなのに……)


「冒険者っぽい人は三人か。

 そして、魔物と戦闘中かな? おお! 倒したな」

「お兄様! 個体や消滅まで確認が取れるのですか?」

「ああ、わかる!」

「すごいです! お兄様」


(識別確認と消滅確認、しかもこの範囲。

 お兄様のフォースは通常の枠をかなり超えている)


 レイは他の魔法でも感じていた。

 魔力盾(シールド)の耐久性と射程距離。

 一度に出す障壁の数。

 普通ではなかった。


 レイの目がキラキラ光っている。

 その目はなんか嬉しいな。


「お兄様、楽しそうですね!」

「うんなんかね、とても楽しい。

 綺麗なお姫様も横にいるからな」

「────お兄様!」

「ふふっ」


 レイのキラキラビームが眩くなった。

 まぁ、冗談抜きでレイは綺麗なお姫様だ。


 青髪のサラサラロングヘア。

 こんな美しい子と二人きりでキャンプは、

 正直嬉しい。


 魔法を行使しながら考えていると、

 違和感を感じた。


「増援が六人来たな、これなら余裕そうだな」

「お兄様? 増援ですか?」

「あぁ、そうみたいだ」


(増援? 水のエレメントのクエストに?)


「──レイどうしよう!」

「お兄様、どうしました!!」

「六人は三人に対して奇襲をかけていた。

 今──戦闘になっている」

「お兄様!? 危険かもですが、確認しに行きますか?」


 レイはきっとわざとその言葉を俺に問いかけたんだ。

 行って大丈夫なのか?


 レイが言う通り間違いなく危険だ。

 だが、このまま放置して。

 この後、ゆっくり寝れるのか?


 助けれるなら、助けたい。

 俺は目で見て判断したい。


 俺は自分の心に触れて考える。


「とりあえず行こう! 危なかったら、速攻で逃げよう」

「はい、お兄様!」


 澄み切った月が暗くにごった湖に打ち勝って、

 座敷が一面に青みがかった光を浴びる。


 その光景はまるで夜さえもないように──

 二人の冒険者の行く末を優しさ照らしていた。

この度は、読んで下さり有難うございます。

皆様の評価とブクマが励みになっております。

今後とも、引き続きご愛読いただければ幸いです。

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読んで下さり有難うございます。
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