第24話「新たなクエスト」
「お兄様、右手側の看板こちらです」
俺はレイに先導され、
入口付近の右手側の看板に向かった。
そのバカでかい看板には無造作に内容が書かれた紙が貼られていた。
すごいなぁ!!
こんなにも沢山の紙が貼られているとは。
紙が沢山貼られている理由は、
ギルドは警察の代わりでもあり。
市民からの依頼や犯罪者の取締など、
ギルドがまとめ様々な案件を冒険者に割り振られる様になっている。
冒険者は雑用係でもあるのだ。
「レイ! この紙を取ってカウンターで申請するのか?」
「いえいえお兄様。プラティークで紙にある起動魔法を読み取ります。
それでクエストがアップされるので、
そこからクエストが受けれます!
なので紙はそのままです」
なんかQRコードみたいだな。
しかし、とても便利だな。
「すごいなぁ〜これ!」
「はい、お兄様!」
レイはニッコリと笑顔を見せる。
俺は張り出しているそれぞれの依頼内容をざっと見て、
あるクエストを確認していた。
「何だこれ? チイエ湖で水のエレメントを倒せ」
「流石、お兄様! 見る目があります!」
「そうなのか?」
「はいお兄様。
エレメントとは自然の影響と魔素が合わさって現れる魔物です。
水のエレメントは水魔法以外の魔法でしか倒せません。
そして、エレメントは遭遇率が低い為。
こういったクエストは偶にしか出ないのです」
「なるほど。じゃあ、これにするか」
「わかりました!」
そう話をしていると一人の男が近づいてきた。
レイはその男を訝しむ瞳で見ていた。
「タクロウ様、お久しぶりです。
唐突ですが──
冒険者のランクがジョーカーの方はこのクエストは厳しいかと」
話しかけてくれたのは、
初めてギルドに来た際に、冒険者申請を手伝ってくれた。
シグマだった。
レイはその言葉に睨みを利かせていた。
「急にどなたですか?」
俺は慌ててジグマの事を説明する。
レイはグルルルっとでも言う様に物凄く警戒しているからだ。
可愛いわんちゃんみたいに。
「レイ、この方は冒険者申請をする時にお世話になった方なんだよ!」
「そうなのですね?
その際はお兄様がお世話になりました」
「タクロウ様の妹さんですか? こちらこそ」
睨んでいたレイだったが俺の話を聞いて。
レイはニッコリしてシグマにお辞儀をした。
は〜よかった、よかった。
レイのあんな顔は初めて見た。
「その説はお世話になりました」
俺もシグマに会釈をする。
シグマは「いえいえ、そんなそんな」って慌てていた。
「その最近、俺も冒険者ランクが上がったので、
このクエスト行けるかなって思ってこれを見ていたんです!」
「そうだったのですね?
ではお二人はダイヤなのですか?
その年齢でダイヤとは素晴らしいです!!」
「いや……あの……」
シグマは驚嘆していた。
そして、目を輝かせながら説明していた。
俺が言葉を入れようとしてるのを気づいてない。
「しかしタクロウ様、エレメントは遭遇率が低く。
湖の近くには多くの魔物がいます。
もう少し経験されてから望まれてはいかがですか?」
そうか、そうだよな。
まだ、数日しか経ってないから、
当たり前の反応だよな。
「その……シグマさん、俺はダイヤじゃなくて」
「──と言うのは? えっ!!! まさか!
クックラブと言われるのですか!?
しかし、──最近、冒険者になられたばかりではないですか!?
本当に?」
「はい、その通りで」
シグマは驚愕していた。
いや──し過ぎて、口をパクパクさせていた。
あの時は水晶、全然光らなかったからな。
この反応はちょっと嬉しい。
少しだけ俺TUEEEEを味わえたな。
俺は徐にプラティークから、
冒険者カードをシグマに見せた。
それをシグマは確認をした。
すると、未だに信じられないものを見るような目で、
俺を見つめていた。
「なんと! 私が冒険者ギルドで働き始めてから、
初めて見ました──こんなスピードでランクが上がった方は!
もっ申し訳ございません。
確認もせずに勝手にクエスト授与の邪魔をして」
そう言いシグマは高速でお辞儀をして謝った。
それを見ているレイは何故か誇らしげだった。
しかし、そうなると……。
セナはどれだけ強いんだ。
ちょっと鼻が高いがな。
「いやいや、そんな事ないですよ。
俺達の事を気にしてくれてとても嬉しかったです。
また声かけてください! ハハハ」
(……なんて謙虚な方何だ。
このスピードでランクがここまで上がる人は、
相当な実力者それなのに…………)
「もちろんです、有益な情報もありましたらお流しします!」
「ホントですか!」
「はい! ギルド職員も人ですから。
後、私も妹がいるので、贔屓目で見てしまいます」
「「ありがとうございます」」
「ではではまたご武運を」
和やかに話をした後、シグマは離れていった。
そして、俺はこのクエストを受けることにした。
「じゃあ、行くか、チイエ湖まで!」
「はい、お兄様!」
俺達はギルドを後にして、ビニ町を出て草原にいた。
だが、俺はチイエ湖が何処にあるのか分からなかった。
「レイ、チイエ湖ってどこら辺何だ?」
「ビニ町から少し離れています!」
「しまったな! そうなのか……。
俺のグリフォンはまだ正式契約をしてないから、
召喚しても数十分したら消えてしまうなぁ〜」
「仕方ないですよ、お兄様! まだ退院したばかりです。
お兄様はグリフォンと正式契約をしてください。
チイエ湖までは私の召喚獣で行きましょう!」
「ありがとうレイ」
ティスモはハンドベルみたいな形をしていて。
彩りも様々だ。
正式契約はとても簡単で持ち手の上部にボタンがあり。
それを魔力を込めながら押すと、
二十四時間後に自動的に正式契約される。
だが、契約途中にティスモをアイテムボックスに入れてしまうと。
アイテムボックス内は時間が止まっているので契約されない。
俺はアイテムボックスからグリフォンのティスモを出し。
初期契約をしポケットにしまった。
「お兄様では、私が召喚獣を出しますね」
「あぁ、頼む!」
レイはアイテムボックスからティスモを出した。
そして、魔力を込め鳴らした。
その音色は周りに囚われることなく、
とても綺麗に鳴り響いていた。
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