第20話「青い髪に誓って」
タクロウが目を覚ましたと連絡が入った。
そして、セナとクリスはレイに譲った。
二人きりで会う時間を。
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「──うん、ここどこだ?
ベッドの上、病室? 足が動かない、手はまあまあ動く。
生きているのか生きて、あぁよかった。レイは……?」
レイが病室に入ってきた。
レイは俺の顔を見て緊張が解けた様な顔をしている。
その後、震える声で俺に言う。
「目を覚ました。よかった、本当によかった……」
俺はレイの姿を見て体中からほぐれるように安心した。
レイは俺を見つめながら涙を零している。
「レイは泣き虫になったな。お互い生きててよかったなぁ」
レイは美しい蒼眼で、
俺の瞳をしっかりと見つめながら徐ろに告げた。
「私はシフォン家の人間……。
その、シフォン家は知っている?」
「あぁ知っている。レイはお姫様なのか?」
レイは真っ赤な目をゴシゴシさせながら俺を見つめ言う。
「私は青髪なの呪われた子……。
炎の様に深紅ではなく呪われているから周りも酷い目にあうの!!
ずっとずっと深紅の髪になりたかった!!!
私は……私はこの髪が大嫌い!!!
あなたは私と一緒にいたら、きっと不幸になる。
だから……だから……」
レイの悲痛な心の叫びが俺の胸に刺さる。
俺は考える間もなく言葉が零れた。
「お姫様かなるほど、だからなんか気品があったんだな。
しかも、炎の家系で青髪なんて最強じゃないか!!
青い炎の方が温度が高くて、綺麗なんだ。
レイの青い髪──とても綺麗だ。
それで呪われるなら仕方ない。
レイがそばに居るならそんな代償なんて支払うさ」
レイは自分を否定しない真っ直ぐな言葉に。
また涙を流しそうになった。
だが、レイは泣き虫と言われたので……。
涙を呑み、病室から離れいった。
「……ありがとう」
レイ──よかった。
少し、寝るか。
いい夢が見れそうだな。
俺はとても安らかにまた眠りについた。
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病室から出た、レイは高台にいた。
レイはビニ町の高台で何度も天に向かって、
炎槍を放つ。
魔法を唱えるたびに手が身体がまだ震えていた。
だが、彼の優しい瞳を思い出す。
勇気が不思議と溢れていく。
そして、レイは左手に火を纏い右手に押しつけた。
右手はあっという間に火傷になっていた。
今までの過去を全部受けて立つ覚悟で、
レイはもう一度、天に魔法を放った。
「私は誓う──この青い髪に!!
もう二度と魔法から逃げない!!
今日火傷の痛みを決して決して忘れない!
私がタクロウを必ず守る」
そう心に誓った、レイは昔のレイの姿はなく。
誇り高き王族の姿になっていた。
護るモノ、大切なモノが出来た人は──強かった。
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────数日が経った。
はじめての魔力欠乏症で寝込んでいた。
全ての魔力が初めて、空になり。
回復するまで寝込んでいたみたいだ。
いい夢どころか、ずっと寝てしまっていた。
そして、俺は目を覚ましていた。
「なんだ? この柔らかい感触?」
俺は布団をあけた。
レイがこっちを見ながら、こっしょり隠れていた。
カッ可愛い。
可愛い──
可愛すぎる。
美少女が俺の布団にいる。
えぇええおおええええ。
「お兄様! おはようございます」
俺に近寄り、頬同士をすりすりさせるレイ。
青色のサラサラな髪も俺の顔に触れる。
──やりすぎなくらい、可愛い姿。
ニコニコしているレイは俺に告げた。
「お兄様、体調はいかがでしょうか?」
「お兄様?」
「はい! お兄様です。私はマグノイア家の人間です。
そして、私は二ヶ月後に生まれておりますのでお兄様です」
レイはそう言い。
また、くっついて頬同士をすりすりさせている。
白いすべすべの肌が俺に触れる。
レイ、何かあったのか。
これが本来のレイ姿なのか。
いやいやいや、可愛すぎる。
白い肌、青い綺麗な髪、サラサラなロングヘアー。
それに綺麗な蒼眼だ。
やばわ
やばわってなんだ?
とりあえず、可愛すぎる。
雰囲気が全然違う。
俺の頭が混乱してる最中。
レイは離れて、机に置いてある昼食をボードに乗せて。
俺に食べさせようとする。
「お兄様! 昼食のお時間ですよ。お腹はおすきですか?」
「あぁうん!」
レイはスープを優しく掬って俺の口元へ向ける。
なんだ?
このシチュエーション。
恋愛シュミレーションゲームか。
「身体に優しいスープです。はいあ〜ん」
「自分で食べれるよ!!」
「いいですか? あ〜ん」
俺は無言の圧力に負けた。
いや、負けるだろ。
全人類が負ける。
レイのあーんさせる手に火傷があるのを気づいた。
「レイ、手に火傷がある治すぞ」
「これはその……少しこのままがいいんです」
俺はその言葉に何かを悟った。
「じゃあ、治す時が来たら言うんだぞ!」
「はい! ではお兄様、あ〜ん」
そうしていると──セナが病室に入ってきた。
セナはむすってしている。
「ぼ! く! の! 弟子! 何しているのかな??」
レイは代わりに言う。
「お! 兄! 様! の昼食の手伝いをしております。
か! ぞ! く! のお仕事です。セナ」
「ぼっ! ぼく! の弟子にくっつきすぎだぞ!!!」
「男同士でくっつくのよりかはいいと思いますよ?」
「うぬぬぬぬぬぬ!!!!!」
レイはセナが女の子ってことは初めから。
直ぐに気づいていた。
だけど、セナには負けないとレイは思っていた。
「はい、お兄様あ〜ん!」
「僕もあ〜んだ!」
起きて騒がしい病室に生きているんだなって。
俺は実感した。
その後、クリスとスズハは俺に会いに病室まで来た。
めちゃくちゃ怒られるんじゃないかと思ったが、
少し怒られ、
だが、良かったと安堵されとても褒められた。
その際、クリスからグリフォンをプレゼントされた。
直ぐに俺は退院した。
クリス、スズハはラサマ村に帰り。
セナは用事があると、どこかへと出かけた。
幸せが後から後から心の底から溢れ、
心と体を満たした後。
外に溢れ出る彼女の笑顔として。
青髪はとても、うつくしく凛としていたのであった……。
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