表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/107

第18話「希望の光」

 突如──アイスワームの甲羅が割れた。

 そして、アイスワームは羽化をした。


 ────アイスバタフライが誕生した。


 すると、この部屋一帯の温度が下がるのが肌で感じた。

 それと同時に俺達は無限に落ちていくような──

 絶望感を感じていた。


 バカでかい芋虫から、蝶が羽化するなんて……。

 嘘だろ。


 何だ、これは冗談だろ……。

 見ただけで、分かる。


 この化物はやばい。

 俺達は死ぬのか?


 いや……。諦めるな。


 ──俺は何の為にここに来た。

 レイを救う為だろ。


 最後の最後まで諦めるな。

 俺が諦めてどうする。

 抗え────


 俺はレイを抱きしめ、震えながら言う。


「レイ、何だあれは………」

「あれはアイスワームが本当に稀に進化します。

 でも、この何百年間アイスワームが進化したってのはなかったのに。

 何で、何でなの……。ごめんなさい……。

 ごめんなさい……。ごめんなさい……。ごめんなさい……」


 レイは悔しげに表情を歪めながら嘆いた────

 俺に何回も……。

 何回も……。


 何回も……。

 何回も……。

 何回も……。

 ──謝った。


 アイスバタフライは大きく大きく羽ばたき。

 宙を舞う。


 旋回しながら俺達の方に向くと。

 百を超える鋭い氷柱が現れ。

 俺達に目掛け、襲う。


 羽ばたきによる冷たい風が、

 俺の心まで冷たくさせようとする。


 だが──俺はまだ諦めていなかった。


 まだだ、

 まだだ!

 まだだ!!

 まだだぁ────!!!!!!


「──〝魔力盾(シールド)〟!!!!!!!」


 ──障壁から壮絶な衝撃波が伝わる。


 アイスバタフライが羽ばたく度に百以上の鋭い氷柱が襲う。

 それは……。


 何度も……。

 何度も……。


 何度も……。

 何度も……。

 何度も……。



 アイスバタフライは鋭い氷柱を──放ち続ける。

 その度に俺は魔法を唱え続けた。


 大切な人を守る為。

 もう、震えはなかった。


 抗って、抗って抗って抗って。

 最後の最後の最後まで決して、諦めなかった。



「〝魔力盾(シールド)〟!! ──!!!」


 後ろからレイは小さな声が聞こえる──

 こんな喧騒の中なのに、

 レイの声が何故かハッキリと聞こえた。


「何で……。何で……。どうして……」

「言っただろ? 一緒に生きたいから!!」


(そんなこと……)


 レイは魔法から自分自身から逃げたことに、

 悔悟(かいご)の念に苛まれていた。


 だが、レイは後悔と絶望の果てに、

 最後に少しの希望に縋りついた。


「私も生きて……。生きてあなたと。

 一緒に魔法を習いたい……」


 レイは俺に──再度抱きつこうとした。

 静電気がお互いの体をはしった。


「……えっ」


 俺は時間が止まったように────


 ────ハッとした。

 ……何だこれ? 


 静電気か──

 電気!!

 電気!!!


 行き詰まっていた──

 俺の思考に一閃の光が差し込んだ。


 この世界は雷は落ちてこない。

 電気の認識がない。

 イメージがない。


 何故、今、静電気が起こったのか分からない、

 この生活は電気の概念がないのに。


 今のレイの顔を見て、確信をした。

 やはり、レイは何が起こったか理解していない顔だ。

 電気を知らない。


 だが──光で電気って、安直な事でいけるのか?

 不意にシルビアの言葉が不意に脳裏に浮かぶ。


 ──自信を持って!

 あなたなら──世界一の魔法使いにもなれる!


 そう──俺はあの時だってセナを!!

 俺の心に晴れ晴れしない──

 絶望感に風穴が開いた。


「なあ! レイ──俺を信じてくれるか?」

「──はい」


 ────俺はイメージした。

 雷を大地をえぐる雷。

 全ての全て魔力を使いイメージした。


「────でやがれ!!!!!!!!!

 くそおおおお!!!

 カミナリ!!!!!!!!

 きえろおおおおおおおおお 」


 そう言った後──俺の視界は真っ白になっていった。

この度は、読んで下さり有難うございます。

皆様の評価とブクマが励みになっております。

今後とも、引き続きご愛読いただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感謝です。
読んで下さり有難うございます。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ