第18話「希望の光」
突如──アイスワームの甲羅が割れた。
そして、アイスワームは羽化をした。
────アイスバタフライが誕生した。
すると、この部屋一帯の温度が下がるのが肌で感じた。
それと同時に俺達は無限に落ちていくような──
絶望感を感じていた。
バカでかい芋虫から、蝶が羽化するなんて……。
嘘だろ。
何だ、これは冗談だろ……。
見ただけで、分かる。
この化物はやばい。
俺達は死ぬのか?
いや……。諦めるな。
──俺は何の為にここに来た。
レイを救う為だろ。
最後の最後まで諦めるな。
俺が諦めてどうする。
抗え────
俺はレイを抱きしめ、震えながら言う。
「レイ、何だあれは………」
「あれはアイスワームが本当に稀に進化します。
でも、この何百年間アイスワームが進化したってのはなかったのに。
何で、何でなの……。ごめんなさい……。
ごめんなさい……。ごめんなさい……。ごめんなさい……」
レイは悔しげに表情を歪めながら嘆いた────
俺に何回も……。
何回も……。
何回も……。
何回も……。
何回も……。
──謝った。
アイスバタフライは大きく大きく羽ばたき。
宙を舞う。
旋回しながら俺達の方に向くと。
百を超える鋭い氷柱が現れ。
俺達に目掛け、襲う。
羽ばたきによる冷たい風が、
俺の心まで冷たくさせようとする。
だが──俺はまだ諦めていなかった。
まだだ、
まだだ!
まだだ!!
まだだぁ────!!!!!!
「──〝魔力盾〟!!!!!!!」
──障壁から壮絶な衝撃波が伝わる。
アイスバタフライが羽ばたく度に百以上の鋭い氷柱が襲う。
それは……。
何度も……。
何度も……。
何度も……。
何度も……。
何度も……。
アイスバタフライは鋭い氷柱を──放ち続ける。
その度に俺は魔法を唱え続けた。
大切な人を守る為。
もう、震えはなかった。
抗って、抗って抗って抗って。
最後の最後の最後まで決して、諦めなかった。
「〝魔力盾〟!! ──!!!」
後ろからレイは小さな声が聞こえる──
こんな喧騒の中なのに、
レイの声が何故かハッキリと聞こえた。
「何で……。何で……。どうして……」
「言っただろ? 一緒に生きたいから!!」
(そんなこと……)
レイは魔法から自分自身から逃げたことに、
悔悟の念に苛まれていた。
だが、レイは後悔と絶望の果てに、
最後に少しの希望に縋りついた。
「私も生きて……。生きてあなたと。
一緒に魔法を習いたい……」
レイは俺に──再度抱きつこうとした。
静電気がお互いの体をはしった。
「……えっ」
俺は時間が止まったように────
────ハッとした。
……何だこれ?
静電気か──
電気!!
電気!!!
行き詰まっていた──
俺の思考に一閃の光が差し込んだ。
この世界は雷は落ちてこない。
電気の認識がない。
イメージがない。
何故、今、静電気が起こったのか分からない、
この生活は電気の概念がないのに。
今のレイの顔を見て、確信をした。
やはり、レイは何が起こったか理解していない顔だ。
電気を知らない。
だが──光で電気って、安直な事でいけるのか?
不意にシルビアの言葉が不意に脳裏に浮かぶ。
──自信を持って!
あなたなら──世界一の魔法使いにもなれる!
そう──俺はあの時だってセナを!!
俺の心に晴れ晴れしない──
絶望感に風穴が開いた。
「なあ! レイ──俺を信じてくれるか?」
「──はい」
────俺はイメージした。
雷を大地をえぐる雷。
全ての全て魔力を使いイメージした。
「────でやがれ!!!!!!!!!
くそおおおお!!!
カミナリ!!!!!!!!
きえろおおおおおおおおお 」
そう言った後──俺の視界は真っ白になっていった。
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