第15話「ダンジョン」
「父さん! これって三つ? まさか、塔の分の三つ!」
「そう、三つだ。確率は三分の一だ」
レイがいつ出ていったか、分からない。
その状況で、これだ。
これ以上は、時間を掛けられない。
俺は行ったことがない、場所なのに咄嗟に告げる。
「それなら父さん! セナ!!
三人バラバラのダンジョンへ行こう。これなら確率が高くなる!!」
セナはそれを聞いて、顔がこわばった。
「何言ってるんだ!! だめだよ!!!
君は攻撃魔法も使えない。
初めて魔物と出会った時だって、とてもビビってたじゃないか!!!」
初めて聞く、セナの怒声。
俺は欣幸に少し浸った。
俺の為にセナは怒鳴っている。
俺はいい友達を持ったな。
ありがとうな、セナ。
「俺はこういう時のためにビニ町の後、
一緒に魔法の勉強をしてきたんだろ?
俺は今行かないと絶対に後悔する!!」
セナは俺の目を見つめながらを息を呑む。
それを見ていたクリスが考慮しながら告げる。
「セナくんもダンジョンは危ない。
とりあえず二人はビニ町のギルドに行って、冒険者を募って欲しい。
父さんは全てのダンジョンの浅い階層を潜ってみる。
そんなに深い、階層は潜っていないはずだ」
クリスの話を聞いてセナは俺にニッコリと微笑んだ。
「いいえ──僕も行きます! 僕も冒険者です!
ランクはクラブですから、大丈夫です」
「なっ!!」
クリスは意表をつかれた。
俺は驚嘆をしていた。
同い年で二つ上のランクとは、やっぱり、セナは凄い。
「セナくん、その年でランクがクラブとは……。
魔法学園にもまだ入っていないのに。どれだけの鍛錬を……」
「じゃあ、セナ! 父さん! ダンジョンへ行くぞ!」
クリスは二人の意地を張る姿に、
これ以上は止めようとしなかった。
「わかった。
だが、危なくなったら、必ず来た道を戻りなさい。
逃げる事は恥じゃない。生きる事を大切にするんだ。
タクロウにはアイテムを渡しておく。
帰還のレートこれは来た道を、光で教えてくれるアイテムだ。
後、ないよりはマシだから短剣のシルバーウッド。
そして、私のと別のグリフォンを渡しておく」
「ありがとう、父さん」
「このティスモは正式契約をしていないと、数十分で切れてしまう。
正式契約をしていないのに、ティスモを使ってしまうと、
効果が切れた後は、他のティスモは二十四時間使えない。
グリフォンは強いから、深く潜らなければ大丈夫だから。
タイムリミットを考えて、深く潜らずに、わかった?」
「あぁ! わかった」
クリスは俺にティスモとアイテムを、
プラティークで送った。
「僕、その……ごめんね怒って。
でも、ダンジョンに入ったら補助光魔法をずっとかけて、
わかった?
そして、グリフォンを出すの!
危なかったら逃げるのだよ!」
セナは俺の事をとても、気にしている。
いや、すごい心配している。
まぁ、当たり前か。
俺は出来る限りの笑顔をセナに見せた。
「大丈夫、気にしてないよ! ありがとうなセナ!
よし行こう!!」
「うん! ありがとうなのだよ!」
セナは俺に抱きついた。
少し、勇気が出る。
三つの魔法陣。
左にある魔法陣は最初に見つかった、ダンジョンへの魔法陣。
右はその次に見つかった、ダンジョンへの魔法陣。
真ん中は最後に見つかった、ダンジョンへの魔法陣である。
左は俺が入り、右はセナが入り、真ん中はクリスが入った。
そして、俺は魔法陣に乗る。
---
俺はダンジョンの一階層に転移されていた。
俺は直ぐにグリフォンを召喚する。
「まずは〝物理耐性〟
そして、〝魔法耐性〟」
物理耐性と魔法耐性。
初級光魔法を二つ唱えて、準備する。
辺りを見渡すと、RPGで見るような洞窟のダンジョン。
灯りを付けなくても、暗くはない。
狭くもない、とても広い。
「とりあえず急ごう。〝探知範囲〟!!」
俺は中級光魔法を唱える。
一階層の魔物の位置を確認する。
だが、降りる階段が、何処か分からない。
俺とグリフォンは急いだ。
ダンジョンの一階層から二階層に降りる階段を探し回る。
その際──魔物と出会った。
ウッドマンが三体だ。
ウッドマンは二メートル位の木の魔物。
動きは遅く弱い魔物だ。
ゆっくりと向かってくる。
そのウッドマンにグリフォンは爪で──切り裂き。
ウッドマンは絶命した。
「俺、何もしていないなぁ。グリフォンお前強いな!」
「ガルフ!」
俺はグリフォンを撫でた。
ダンジョンの探索はとても、順調だった。
それはグリフォンが強すぎたからである。
そのまま三階層まで降りて行く。
三階層に降りても──ダンジョンの見た目は変わらない。
ランクがジョーカーの冒険者が一人では、
まず、ここに降りれない。
しかも、ダンジョン初は奇跡だ。
三階層まで来て、魔物がガラリと変わる。
それまでは、とても動きが遅い魔物が多かったが。
階層を降りる度に探知魔法を使い。
俺は出来る限り、魔物がいないルートを選んでいた。
先に進んでいくと。
岩の壁を削るような、ガリッガリっと言う音が聞こえる。
俺は勇気を振り絞りながら、前進する。
目の前から迫っているのは一メートル位の小さい狼。
ミニコボルトだ。
ミニコボルト二体が俺に目掛けて素早く。
壁をピンボール見たいに蹴りながら、
死角から左右同時に瞬時に近づいた。
俺は目を閉じてしまった……。
そして、目を開けた時には、もう戦闘は終わり。
グリフォンがミニコボルトを退治をしていた。
俺は慄然して、手足がすくむような気持ちになった。
これが魔物との戦闘…………。
「これじゃだめだ。ビビるな俺!!」
息を着く間もなく連続で来る。
ミニコボルトの群れが──俺の目の前まで襲ってくる。
「くっ!! 〝魔力盾〟!!!」
震える手を前に突き出しながら、
中級光魔法を唱える。
ミニコボルトの群れは障壁に何度もぶつかった。
グリフォンはミニコボルトの群れを直ぐさま、薙ぎ払った。
「クルガワアァ」
今まで味わったことのない……。
緊張感が精神を削っていく…………。
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