第99話「試練」
「クロどういう事だ!! ──クロ!!!」
俺の背筋が栗立った、本能がけたたましく警鐘を鳴らす。
俺はその中でクロに叫ぶ。
たが、クロは何も言わず、ただセナとクリスを見つめている。
そのセナとクリスは驚愕のあまり、何も言わず、
呆然と立ち尽くしていた。
「──クロ!!」
冷汗が溢れ出る、止まらない。
クロが凄まじい威圧感を放っている。
これはやばい……。
どうして……急にクロは……。
クロは俺の思考を読み取りながら会話をする。
「あなた達はタクロウ様のこれからの障碍となる。
早いうちに芽を摘み取りましょう」
クロのその言葉で俺は戦慄する。
鋭い眼光でクリスとセナを射貫きながら、
圧倒的なプレッシャーを叩きつけた。
セナとクリスは何も言わないがアイテムボックスから、
クリスは杖をセナはデュランダルとエクスカリバーを出し構えた。
「クロ……何でこんな事を」
「あなた様の青春を謳歌するには、他の転生者は邪魔ですわ。
特に三百年にシルビアが転生させたクリスと、
そして、セルシアから呼び出されたセナは」
クロはそう言うが俺の方を一切見ない。
そして、俺はその言葉に驚愕した。
「父さんもシルビアから……。えっセナ……が転生者!!」
セナは俺と同じ転生者だったのか……。
しかも、あの光の女神って呼ばれているセルシアの……。
「そうですわ。だから死んでもらいましょう」
「クロ、本当に言ってるのか!」
「はい、勿論」
クロは即答でクリスとセナを排除すると言い放った。
セナとクリスは言葉を耳に入れた瞬間。
俺と同じ様に戦慄していた。
そして、セナは苦虫を噛み潰したような表情を見せていた。
「クロだからって、させない」
「あなた様、転生者ですわよ」
「転生者がなんだよ! セナはセナだ!
そして、クリスは俺の父親だ変わりはしない!!」
「タクロウ!!」
俺の言葉でセナの目が晴れやかになる。
そして、セナが走り出し、すぐに俺に抱きついた。
セナは無言で俺を見つめている。
俺はただセナの頭を撫でた。
「その……」
セナは少し悄然としていた。
いつも通り分かりやすいセナだ。
俺はセナの頬をむにゅむにゅする。
すると、セナは可愛い笑顔に戻る。
「気にしてない、びっくりはしたけどな。
いや……しかし、逆にセナは俺が転生者って知っているのか?」
「うん! 気づいていたのだよ!」
そうなのか……。
俺にしては結構バレないように頑張ったのだけど、
なんか、とても恥ずかしい。
「いつからだ!」
「ん〜レイを探しに行った際、グリフォンに乗った時かな!
高所恐怖症って言ってたから、それでおかしいなって思って!」
あ〜あの時か!
ビニ町に向かう時、グリフォンで空を駆けた時だ。
あれはむちゃくちゃ怖かった。
「なるほど」
「そんな言葉この世界にはないのだよ。
後はタクロウはこの世界について知らなさ過ぎるのだよ!」
「あぁ確かに……。やっぱりセナはすごいな!」
「えへへ! タクロウの事は何でも気づくのだよ〜」
セナは自慢げに話している。
そして、得意げにセナは胸を張っている。
何か完璧に吹っ切れた感じがした。
「そうか! じゃあ、セナまた今度アニメの話でもしような」
「タクロウ、アニメって何なのだよ??」
可愛く首を傾げた後、またくっつき虫なるセナ。
スリスリしてくる。
なんて可愛らしいのだろう。
だか、あれおかしいな??
セナはアニメを見ないのか?
日本人の魂なのに……。
クリスは珍しく、
そのほんわかした場面を見ない。
一度もクリスはクロから目線を外さない。
最強の称号を持つクリスでさえ。
この状況には息を呑んでいた。
「まさか、闇の女神様に会えるとは思いもしなかったよ。
ははは、これは一番びっくりしたかな。
全然気づかなかった。
どうしてタクロウの側に??
だが、私も簡単には殺られはしないよ」
クリスは苦笑いしながらクロに問い掛けるように話す。
だが、クロはクリスの問いを聞き入れない。
冷たくクリスを覗くだけだった。
その瞬間──クリスは理解した。
クロの手の指は想像上の拳銃の引き金に、
しっかりかけられていると。
「ほぅ……。最後の別れの挨拶は終わりましたか、あなた様」
クロは冴え冴えした眼光を俺に初めて向け。
そして、今までで一番冷たく鋭い言葉が、俺の耳に響く。
俺はアイテムボックスからグングニルを取り出し構えた。
『おいおいおいおい、マジか!!!!!
もう戦闘かと思えば……女神と戦うのかよ!
いやいや……しかも相手は最強の闇の女神じゃないか。
おい……お前はマジかよ……』
名前のない相棒は目の前で起きている事に驚愕していた。
現れると同時に、直ぐ俺に思念で言葉を送った。
俺に力を貸してくれ。
『クソッ……まさかこんな所で、
死ぬかもしれないハメになるとは思わなかった……。
俺も……ついてねぇな』
すまない。
『ふん……くだらん』
「あなた様、では」
クロの一言で俺達は先程いた場所から──
一瞬で知らない黒い空間に飛ばされた。
そして、クロの壮絶な殺気がこの空間を支配する。
「クロ……本当に戦うのか?」
「はい」
いつも俺を魅力する親しげな笑顔は無く。
クロは無表情で殺気に満ちた眼光を向けていた。
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