表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

101/107

第98話「相棒」

 俺はグングニルを持ち構えた。

 アテナと少し距離をとり睨み合っていた。

 だが、剣を構えたが、どう動いていいのか分からずにいた。


『あーまじかよ。俺の次の使い手はこんなへっぴり腰の奴かよ。

 あーありえねぇ』


 突如、この雰囲気には似合わない、気だるそうなか声が聞こえた。


 ──えっ??

 だっ誰だ??


 俺は目をぱちくりさせていた。

 アテナもそれに気づいてか棒立ちして、俺を見ている。


『しかも、俺の声が聞こえてやがる。

 あーありえねぇ〜何でこんな奴が』


 誰だお前は!

 俺の頭の中でブツブツ言っているやつは!!


『はぁ? 何言ってやがる。

 お前の恋人がにぎにぎ、しているだろうが!』


 ……はっ!!!

 何が恋人だ!

 ふざけやがって。

 この大剣が喋っているとでも言うのか?


『はい〜あたり〜!』


 声の主は大剣グングニルからしていた。

 そして、謎の奴が念話で俺に話し掛けていたのだ。


 すると、じゃあ、クリスは知っているのか?

 お前の事。


『お前じゃねえよ。まぁお前に名前を教えるつもりはねぇが。

 あぁ、アイツは俺の存在を知らねえよ』


 そうなのか……。

 じゃあ、何で今話し掛けてきた。


『お前、強くなりたいんだろ?

 なら、俺に従え。そうすれば強くなれる』


 何かムカつくから嫌です。


『はっはっは!!! まぁいいだろう。

 助言ぐらいはしてやるよ』


 じゃあ、お前はこれから相棒だ。

 名前を教えてくれないなら俺はそう呼ぶ。


「ぁぁ! 何だそれは、俺はお前の相棒になるつもりはねぇ」


 悪いが俺もこの大剣を手放すつもりはねぇ。

 こんな見惚れしまう綺麗な大剣。

 誰が手放すか!


「……まぁいい。すきに呼べ」


 よろしくな相棒。

 俺の恋人でにぎにぎしてやるよ!!!


『お前……性格悪いな』


 うるせぇ!!


「主殿! そろそろよいでしょうか?」

「あぁ、すまなかった!」

「では、参ります」


 アテナは大剣を再度、構えた瞬間。

 鋭い眼光になる。


 そして、すぐ思い切り踏み込み、

 アテナは大剣を上段から振り下ろした。


 俺はグングニルでアテナの大剣を受け止めた。


「主殿、流石です!」

「アテナこそ」


 おい、相棒……お前大丈夫なのか?

 剣を受けて。


『フハハハ! 何だそれ!

 戦闘の最中に剣の心配か? 飽きれるなお前!

 まぁ、いい。

 俺に魔力を流せ! 俺がコントロールしてやる』


 あぁ! わかった!!

 俺はグングニルに魔力を通わせた。


「これでどうだ!!」

「────何だと!!」


 重ね合っていた剣が弾かれた。

 それと同時に少しアテナは後ずさりした。


 俺はすかさず追撃し袈裟懸けに斬った。


「馬鹿な〝流水〟!!!」


 閃光の様な銀線をアテナは弾いた。

 アテナの東水流の受け流しの武技。


 だが、アテナは武技を使うつもりは微塵もなかった。


 アテナは俺を甘く見ていた。

 剣を持った事がない……。

 姿を見ていたすぐにわかった。


 だが、先程の鋭い一撃は武技に近いものがあった。

 いや、普通の者であれば、あれで負けていた。


 アテナは息を呑む。

 主君と慕う、俺に無様な剣を見せてしまったと。

 その瞬間──アテナから壮絶な威圧を放っていた。


 だが、その光景で一番驚愕していたのはクリスだ。

 まさか剣を初めて握った俺が、

 あの美しい剣戟するとは思ってもいなかった。


 ちょこんと座っているルークは目を輝かせている。


 すぐにアテナは俺に詰め寄った。

 だが、何故か俺はアテナの剣が受け止められた。

 前、模擬戦で戦った際は魔力盾(シールド)でも、

 一撃、一撃がとてつもなく重く感じたのに。


 俺とアテナは呼吸を忘れて攻撃を繰り出し続ける。


『ほぅ、やはりなかなかの魔力量だな。

 はっはっはっ! 面白い!!

 おい! いつまで攻撃を受けてるだけのつもりだ!!

 魔法を唱える時みたいに俺に魔力を込めろ!!

 そして、薙ぎ払え!!』


 わかった!!!


 俺はグングニルに魔力を込めた。

 深く、深く意識して。


 すると、銀を纏う大剣は少しだけ光り輝いた。


 そして、俺は最上段からグングニルを振り下ろした。

 だが、銀色の剣線をアテナは止めた。


「──おぉおおおっ!!!!!」

「──はぁぁあぁあっ!!!!!!」


 俺とアテナは何時しか互いに雄叫びを上げていた。

 そして、セナとレイもその場へ合流して見守っていた。


「すごいのだよ……」

「お兄様!!」


 アテナは武技を一切放たなかった。

 魔強化と膂力(りょうりょく)だけで戦っていた。

 俺もそれに喰らいつく。



『魔法を使え!! そうしたら勝てる!

 勝ちたいんだろ!!』


 それはダメだ。

 フェアじゃない。

 今回は俺が胸を借りている立場だ。


『ほぅ……』


 ありがとうな相棒。


『ふん、くだらん』


「ハイハイ! 終わり、終わり。

 これ以上やると人が集まっちゃうからね

 後、もうすぐ閉会式だよ!」


 クリスはニコニコ笑みを見せながら俺とアテナの試合を止めた。

 俺とアテナは自然と目線を合わせた。


 そして、俺は深々とアテナにお辞儀をした。

 アテナもハッとして俺に深々とお辞儀をした。


「主殿!! 主殿!! 流石です!!!」

「そんな事ない、アテナは強いな!」

「主殿〜」


 アテナは俺の手を握り、

 瞳をキラキラとさせていた。


 そして、セナ、レイ、ルークも集まってきた。


「タクロウ様、格好よかったです!!」

「お兄様!!」

「流石、僕の弟子なのだよ〜」


 すかさずセナは俺にむぎゅうと抱きついてきた。


「セナっダメだろ!」

「嫌なのだよ〜」


 すると、スズハとアリエラが近づいてきた。

 俺はアリエラと目が合い、すぐに向かった。


「セナ、少しごめんな!」

「いいのだよ〜」


「アリエラさん、その……初めまして」

「ふふふっ貴方は私の息子なのよ! さんはいらないわ」


 アリエラは優しく俺を見つめていた。

 まるでスズハの様に。


「いや……はい!」

「まぁ困惑するのは仕方ないわね。いきなり現れてお母さんですって」

「そんな事ないです。もうそう言うのには慣れました」


 俺はクリスを一瞥(いちべつ)した。

 クリスは頭を掻いていた。


 突然、アリエラは顔付きが変わる。

 俺は少し動揺しながら言葉を待った。


「あの……」

「はい!」

「ルーク……ルークをお願いします」


 アリエラはその言葉だけをいい。

 二回、三回、頭を下げた。


「はい、わかりました」


 アリエラは安堵の笑みを俺に見せた。

 クリスはその光景を見た後、言葉を飛ばした。


「じゃあ、そろそろ宮殿に行った方がいいよ!」

「あぁ! 父さん、母さん達行ってくる!」

「「「「行ってきます」」」」

「「行ってらっしゃい」」


「みゃあ〜」


 クロの鳴き声がした。


 その場から去ろうとした瞬間。

 今まで姿を見せなかった。

 クロが俺の肩に現れた。


「タクロウ……その猫」


 クリスが驚愕しながらクロを見ていた。



 ---



 その瞬間────時が止まった。

 クロの閉鎖空間で時が止まっていた。


 俺の方にやれやれと思いながら視線を転じた。

 だが、クロは俺を見ていなかった。


「あらあら、まあまあ。初めましてお二人さん」


 クロが見つめていたのは……。

 動いているセナとクリスだった。

この度は、読んで下さり有難うございます。

皆様の評価とブクマが励みになっております。

今後とも、引き続きご愛読いただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感謝です。
読んで下さり有難うございます。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ