訓練2
期間が空いてしまい、すいません。少しネタをまとめるのに時間がかかってしまい…
私には夢があった。こんな鈍臭くて、自信もない。才能もなければ、勇気もない。色々ないない尽しの私でも、いつかは誰かを、たった1人でも誰かに求められるようになるんじゃないかって…。そんな私の夢は叶った。
突然知らない所に連れて来られた私は、そりゃもう慌てた。具体的なことはパニックを起こしていたせいで覚えてはいなかったけれど、ある言葉を聞いてから私の意識は鮮明になった。
「私達を救って欲しい!」
それは確かな救いを求める声。こんなにもない自分が求められている!たった1人でも…と思っていたが、1人どころか、世界中から求められていることを知ったとき、私は嬉しかった。そしてそれと同時に気付いてしまった…。私の願い、それはなんとも───
よし!今から訓練だ!気を抜かずに集中しなければ。そうでなければ、あの子に怒られてしまう…。いや、実際にあの子がこの場に居る訳ではないのだけど、それでもあの子の怒る様は容易に想像出来る。たった1年の付き合いだけど、怒られた回数は3年間同じだった中学の担任よりも多いのだから。っといけない。ズレた思考を戻し、私は先生の話を聞く。
「まずは、土を動かす所から始めましょう!土は柔軟で、様々な物に形を変えることが可能なので、比較的魔力の組み替えがしやすいのです。それではやってみるので、真似してみて下さいね!」
そう言って先生は掌を地面に向けた。先生、真似と言われても何をどう真似れば良いのかわからないです…。
鈴木ちゃんは困っているだろうと、思い鈴木ちゃんを見たらそこには驚くべき光景があった。
鈴木ちゃんが向けた掌の先の土が、少しだけ盛り上がっていた。
鈴木ちゃんは、先生の姿を見ただけで魔術を使った!?
いや有り得ない。そんなことが可能なんて…。もしくは、私のように転移前から魔術に触れていた?
そんなことも有り得ない。昨日の鈴木ちゃんの振る舞いを見た限りでは、
魔法少女といった戦いに携わる者の動きではなかった。
もしくは妖精の一族?いや、そもそもここは異世界だ。私達のルールに当てはめて考えてしまってはいけない。ただ、昨日の王子様の説明を聞く限りだと魔術のルールは私達の世界と同じだ。となると、少なくとも魔術に関しては同一のルールと考えても良いのだろうか?そんな私の考えを打ち切る様に、先生が声をかけてきた。
「凄いわね!スズキ!まさか見よう見まねで、魔術の行使が出来る様になるなんて!真似しなさい!なんて適当言っちゃたけど、本当に出来る様になるなんてね。これはいつかは、魔術の講師も出来る様になるかもね!なんちゃって〜」
先生分かってるなら、ちゃんと説明して下さいよ…。しかも、せっかくの陽気だったのに、なんか寒くなったし。
「うっ!教え子から、なんとも言えない表情で睨まれてる。私渾身のネタだったのに…。っとそれは一旦置いといて。貴方のスキルは本当にすごいわね。人が感知出来る魔力の範囲を広げてくれてるのね。でもスキルだけで出来たら苦労しないわ。貴方自身の才能もあってこその筈だから、しっかり誇るのよ!」
「は、はい!ありがとうござます。
そうか、スキルか。それならば、あの魔力の感知スピードにも納得がいく。通常魔力とは、最初に物質内に含まれる魔力を感知してから魔力の組み替えを行う。魔力を感知なければ組み替えることは出来ない。例えば、「パーツの形を一切知ることなく、プラモを組み立てろ」と言われてもどうすることもできないだろう。そして鈴木ちゃんは、自分が足りない所をスキルで補いつつ、土の魔力を把握、組み替えを行ったのだろう。簡単な範囲ではあったが、ろくな説明もなしにそれをやり遂げたのだ。鈴木ちゃんの凄さを実感をした。
今回も読んで頂きありがとうございます。もし良かったら、誤字脱字の報告、お願いします。
余談なんですが、魔術を使うときに詠唱とか付けたいんですが、どうせつけるなら「無限のあれ」みたいな超絶格好良い奴にしたいです。体は──って奴すっごい好きで、詠唱の中であれが一番好きです。
自分にはそんな文才ないのが恨めしいです…