表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お前は誰だ(生き方を考える)  作者: 向井 立彦
ちょっと振り返ってみた
3/5

そう簡単には忘れられない

「仇で返されたが、クラスの奴らは何も知らないくせに被害者ぶってる奴の方についてこっちを敵視してきた。当時のクラスメイトや、以前困っているところを見掛けて助けた子(クラスメイトの一人)が被害者に間違った情報を伝えていた事で、こちらだけが悪くて、向こうはただの被害者。そういうことをされて、人間不信に陥りそうになった。正直、周囲が怖くなった」

「・・・・・。」

「それでもさ、困ってる人が居ると勝手に動いちゃうんだよな」

言いながら、自分自身にも「馬鹿だよなぁ俺、笑っちゃうよな」と思って辛いときの気持ちが思い出される。

「泣きそうな顔で言うなよ」

「本当に自分でも呆れるくらいにバカなんだわ。傷ついても、相手からすれば恩なんて感じて無くて、ただの『ありがとう』で終わる話。こっちが勝手に手を差し伸べて、相手はたまたまそれにありがたいと思っただけ。だから以前助けたとか関係ない、恩を着せたいわけでもないんだから、恩を仇で返されたって言い方も変だよなって考えた」


―——だから、そう考えたら、自分が勝手に「助けたのに裏切られた」「周囲が信用できない」とか思っているだけ、なんだよな…。


それに、何も知らないから、間違った情報を伝えただけなのかもしれない。

なら、被害者ぶった奴を責めることはできないし、間違えた情報を伝えた方も真実だと思ったから伝えただけで何も悪くない。

自分が我慢すればうまく収まる。

既に悪者と被害者で決められているのに覆すのは難しい。

漫画やアニメなんかの二次元世界では簡単にしているけれど、現実は甘くない。

しかし、ネットで見たことがあるように、きっとわからないやつは「諦めるな」「だから駄目なんだ」「何もしないから変わらない」「諦めたら試合終了だ」とか言うんだろう。

それか、「そういう状況にならないように出来なかったお前が馬鹿なんだろwww」「だっせーwww」「終わったな、ぼっち決定www」とか馬鹿にするか。

だから、ネットに匿名で書いて鬱憤や吐き出だしたい気持ちを出すことも躊躇われる。


それに、だ。


いくら真実を伝えようにも擁護ムードの中真実を聞いてくれる人はいないだろうし、真実を知ったからと言って批判をやめたり、こちらを擁護してくれる勇気のあるクラスメイトはいない。

だから仲の良かった奴も離れてクラスメイト全員が敵なわけだし…。

自分に何かあるのが怖くて保身に走ることは至極当然。

だから責めることはできない。

自分なら真実側につける、とは思っていてもすべての人にそれが出来るわけでも、強要出来るわけでもない。

それに、被害者を批判してそいつを悪者にするのは自分自身が嫌だ。

自分の今の状況がどれだけ苦しいか分かっているのに、それを他人に代わってなれ、というのはそういうこと自体が嫌いだし気持ち悪い、不快感で最悪な気持ちになるだろうことが予想されるからしない。

「・・・・。」

「でもさ、グルグル考えても結局そのうち忘れて、気付いて、また人を信じることから始めてんだ」

「友人」というものに関しても、「真の友人」とは何だろうか、と思うことはあったが、結局は自分が心を開いたり信じたりしないのに他人に友人だと思ってもらうのは変だろうとか、自分が信用していないのに相手に信用してもらえるわけがない、と深く考えることもやめた。

クラスメイトがいない新しい環境で1から新しい友人を作ればいいと、気持ちもリセット?した。

「たまに思い出して、泣いてるの知ってる」

「普段忘れてても、ふとしたきっかけで思い出して怒りが湧いたり、苦しくなったり、泣きたくなることくらいはあるさ。一人でなら誰にも迷惑掛けてないしいいだろ」

「一人で傷ついてること知ってる奴はいるさ」

親には心配をかけないように、学校で起きたそういうことは話をしないようにしていたし、バレて居ないはず。

誰にも知られていないと思って居たのに、コイツに知られていて寧ろかなり驚いて、どこからの情報だと訝しんでいる程だ。

コイツ以外に知っている奴なんて、想像も出来ないし、思い当たらない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ