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お前は誰だ(生き方を考える)  作者: 向井 立彦
ちょっと振り返ってみた
1/5

良い子

とある放課後、友人に学校帰りカフェへ寄ろうと言われた。

特に用もないので店に寄り、最初はテストやレポートの話をしていたのだが、段々と自分の話になった。


「お前は、どうなりたいの」


「どうなりたいってのは…?」

「いや、こう…どんな人間になりたいとかだよ」

真面目に考えようとして…ふと頭に浮かんだ、漠然とした答えを目の前に座り、こちらを見ている友人に伝える。


「良い子になりたいだけ」


「誰にとって」

「親の」

「お前にメリットは」

「怒られないから、説教という時間をもうける時間が省かれて、そのぶん自由な時間が持てる」

質問された内容に淡々と答えていく。

先ほどの質問の後、少し間が空く。

「ふぅ~」

息を吐く友人。

「説教をされることが前提にある生活か」

「まぁ、真面目にやっても、怒られるからね」

自分は、周囲と比べると少し変わっているらしい。

良く言えば、「個性的」ってやつだ。

そのせいかは分からないが、時には、真面目にやっているつもりでも「ふざけているのではないか」と他人から思われてしまっていた事もあるとか。

分からない、何をしたら普通なのか…。

だから、自分の中にある「良い子」のイメージをモデルにしてそれを目指す。

そうすれば……「良い子」なら、間違いは無いだろうと。

「だから、『良い子』を目標にしているわけか」

「うん」

「じゃぁ、聞くけど。良い子って何だ」

「怒られない、他人に迷惑を掛けない、邪魔にならない、他人から好かれる、特に誰の肩をもつでもなく、中立の立場で事を荒らげない、約束を守る、ルールに従う、常に正しくある、など」

自分でも、辞書やネットから引っ張ってきたのかと言いたくなるほど。

目標を楽しく語る様な楽しさも、熱意もない。

正負どちらの感情とも捉えられない。

ただただ、機械的な様子で自分の中にある「良い子」の像をスラスラと言葉を羅列して挙げていく。

「ロボットか、って言いたくなるな」

「言ってるし」

「普段から、そんなに面倒なことばかり考えて生きてんのか?」

「面倒?これを守りさえすれば罪にも問われず、また、害を及ぼさないから他人から嫌われることもなく、平穏に生きられる」

「お前、つまらないな」

「まぁ、平凡に生きることは楽だけどつまらないものだよ。だから俺もたまに全てがつまらなく思える。この世界が窮屈に思えて、何かを脱ぎたいような、抜け出したいような、高いところから飛び降りて開放感を得たくもなる」

「あぁ。だから、つまらない奴でも、そういうところは面白いからお前が好きで俺はお前と居るんだ」

「ありがとう。あ、これ、食べる?」

「食べる。あと、お前また今深く考えたろ」

ちょうど運ばれてきたサンドイッチと、おまけとして付けられてきた今日の試食デザート。

ウェイトレスにお礼を伝えて、品物を見た瞬間「あ、これはベリー系だから、友人の好きそうなデザート」だと思い、「良ければ食べる?」と言いたくなった。

1つの話が切れたところで、すぐに言った。

が、言った後のタイミング的に、「ありがとう」の意味で物をあげているので「何かげるから好感をもたれる人」「なにかあげるから仲良くして欲しい」みたいな人になってしまったんじゃないかと気付いた。

失敗したと思い、不安になった。


しかし、そう思って居たところで友人から「お前また今深くかんがえたろ」という言葉。


正直驚いた。

今思えば…。

何をやっても怒られるなら…言うことを聞いて、それで失敗すればお前等(両親)のせいだと責められる逃げ道を用意して居る面もあったのかもしれませんね。


あくまで個人的な感情なので、同じような考えを持つ人、持たない人どちらもいらっしゃると思います。


一人一人違う人生を歩み、その経験も含んで今の考え方があるわけですから。

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