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餌をさがそう

「おぅ。みんなそろってんな。」

少し遅れて、アライグマのヒデキがやって来ました。

「あら、お久しぶりだね、ヒデキさん。」

アキコは、フサフサの尻尾を扇子のように優雅に振りながら言いました。

「相変わらず、美人だね、アキコさんは!その尻尾のふわふわを見てると、俺もアライグマと言うことを忘れて、思わず求婚しちゃいそうだよ。」

ヒデキは、アキコの喜ぶ言葉をよく知っていました。アキコは、朝から丁寧に毛繕いをした自慢の尻尾を誉められて満足そうです。


ぼんやり者のゴローは、一瞬でアキコの機嫌を直してしまう、ヒデキのトークが好きでした。

「ヒデキさん。おはよう。」

ゴローは、憧れをこめて少し照れながら挨拶しました。

「ああ、ゴローさん、おはよう。」

ヒデキは、体の大きなゴローを見上げながら、気さくに挨拶を返しました。

「ところで、コマドリさんのリサイタルは、終わってしまったのかい?」

木の根の広場にコマドリのヒロミが居ない事を不思議に思って聞きました。


「それがね、ヒロミさん、赤ちゃんが生まれたらしいわよ。子供達の餌探しで忙しくて、私たちと遊んでいる暇なんてないわ。」

子育てに一段落ついたアキコは、大変だった時を思い出して苦笑いしました。


「それは大変だ。しかし、この夏は早いなぁ。ツツジの花が散るくらいまでは、ラブソングを必死で歌っては、楽しませてくれるんだが。まあ、目出度(めでた)い事には変わらないから、いいんだけどなぁ。」

アライグマのヒデキは、少し残念そうに、コマドリの子育てを祝いました。

「本当にねぇ。私は夏が始まる、この時に、ヒロミさんの爽やかな歌声を聞くのが楽しみなのに。当分は聞けそうにないね、と、そうだわ。」

アキコは、素敵なことを思い付いて、嬉しくてピョンと高く跳び跳ねました。


「どうしたの?」

ゴローは、会話に入らずに木漏れ日と遊ぶ風の精を見つめていましたが、アキコが元気よく跳び跳ねたので、ビックリして聞きました。

「みんなで、お祝いもかねて、コマドリの赤ちゃんの餌を探してやらないかい?そうすれば、少しはヒロミさんの仕事も減るし、一曲くらい歌を聞かせてくれるかもしれないじゃないか。」

アキコの案に皆は賛成しました。


秋のうちに大地に落ちた葉を栄養にして、木の根の広場には、沢山の昆虫がいました。


「ひとり、三匹を目安に虫取りをしよう。」

アキコの声に皆は虫を探しはじめました。


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