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厄ネタの塊を拾った件

 おはようございますこんにちはこんばんは、を英語で言えない大人はおそらく少数派だろう。では、家の前にやけに煤臭い分厚いコートとガスマスクを着ておまけに拳銃(実弾入り)を持った白髪のロリが倒れていた時に冷静に行動できる大人は多数派? 少数派に決まってんだろFu〇k!


「ぬおぉぉぉぉ……」


 現在絶賛頭を抱えて考え中です。家の前でぶっ倒れられてるのは世間体からして最悪すぎるのでとりあえず家に放り込んだのだけども、これって未成年者誘拐にならんだろうか。警察に相談するべきだろうか。未成年者誘拐に銃刀法違反という愉快な前科がプレゼントされるだろう。

 拳銃はマガジンを抜いて、本体をコッキングして弾を抜いて、鍵のかかる引き出しに厳重にしまっておいた。これで警察をお家に呼んだらどうなる? 今まで道交法違反くらいしかやらかしたことのない善良な一般市民がロリコンヤクザに早変わりだ。アンビリーバボー!


 どう考えても厄ネタの塊です本当にありがとうございました。バイバイマイピースフルライフ、ウェルカムハードボイルドライフ。


「マジでどうしよう」


 マジメに考えよう。とりあえず警察を頼るのはナシだ、俺は前科者になりたくない。特に外傷もないし救急車もナシだろう。ではどこを頼るべきか。頼りになる友人にペドフィリア扱いされたくないし、そもそもこういう事案では頼りになるまい。助けて神様、と十字を切って両手を組んでみる。


「神様神様、迷える子羊をお救いください」


返事はない。神は死んだ。ジーザス。


「……そうだ。飯を食おう」


 落ち着け。俺は腹が減っているだけなんだ。腹が減って減って減りすぎているせいで、幻覚を見ているに違いない。俺は半額で買ってきたスペアリブと、四つに切ってばらしたタマネギに調味液をBUKKAKEてオーブンに放り込んで焼いた。その間に白飯を炊いて、だしの素で風味付けしたみそ汁を作って。ちなみにみそ汁の具はわかめと豆腐とねぎ。ご飯が炊ける頃にちょうどスペアリブも焼き上がり、素敵な夕飯ができました。


「……いただきます」


 食卓に並ぶおいしそうな料理に手を合わせると、部屋の隅に白い何かが蠢いていた。

 あれはきっと幻覚なのだ。そう自分に言い聞かせて飯を食う。焦がしたタレの香ばしさと、ニンニク醤油の濃いめの味付けが肉にしみこんで、それを手づかみで骨から食いちぎり、口の中で飯と合わせる。みそ汁も今日もちょうどいい塩加減で。一言でいうなら最高だ。


「……チラッ」


 半分ほど食べたが、白い何か(米ではない)は消えていない。意外! それは幻覚にあらず!

 箸を置く。起きてきた少女の顔を改めて、明るいところで見れば、人形のような、という枕詞が似合う美少女だった。しかし、何より目を引くのは血のような赤い瞳。透けるような白い肌、白髪、そして赤目。非現実的な姿だが、現実にこういう生き物が存在するというのは知っている。

 アルビノ。言葉を知っている人間は某狩りゲー、某世紀末ゲーのおかげで多いだろう。アルビノの霜降りとかアルビノラッドスコルピオンとか。知らない人はggtksと言いたいところだが俺は非情に親切なので教えてやろう。要はメラニンを生成できない遺伝子疾患だ。ちなみに日光に弱い。前に上げた二つは日の下で元気に走り回っているが、現実のアルビノには難しい。


「言葉はわかるかい?」

「……」


 頷いた。幸か不幸か……これで言葉がわからないと言われたら、警察に連れて行っても弁解のしようがあったものを。しかし、わかるのなら意思の疎通が可能ということだ。


「ここはどこ、あなたは誰」

「……」


 私は誰? でないのは幸いと言えるだろう。目つきが険しいのは、元からそうなのか、それとも警戒されてるのか。ま、目が覚めたら知らん男の家に連れ込まれてましたってなりゃ警戒するのも当然だな。


「ここは日本のX県Y市のZマンション。俺は道野九郎」

「クロード……」


  名前をつぶやいた時の顔は、驚いたような、安堵したような。ともかく少しだけ警戒の和らいだ顔になったが、残念ながらそれは別人だ。


「く・ろ・う。九郎だ」


 間違いを正すと、さっきまでの警戒した顔に戻った。振出から一歩に進まない。

 ――グゥ――

ここで高らかに鳴り響くお約束《腹の虫》ゥ! ナイスシリアスブレイク!


「食うか」

「……人肉では、ないですよね?」

「んなわけあるか。豚肉だ」


 こいつを育てた親はどこだぁ! どういう環境で育ててやがった! と心の中で絶叫しながらまだ手を付けていない肉と汁を差し出す。


「……マトモな肉を食べられる環境に居ながら、なぜ泥水を啜っているのですか」


 と言いたげな顔で見つめられる。味噌汁を知らない哀れな非文明人への配慮に欠いていたな。


「ちゃんとした食い物だから安心しろ」

「はい……」


 おびえながら料理に手を付けるが、舌には合ったようで。ゆっくりだが、一応はすべて平らげた。みそ汁以外。みそ汁には一口も手を付けていない。やはり見た目か。


「美味しかったです……ありがとうございます」

「どういたしまして。それじゃあ、お嬢さん。君のことを聞かせてくれるか」

「……はい。お礼としてできることならば、何なりと」


 というわけで次回に続く。


キャラの名前がわかった人は手を上げて―

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