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僕のアカリ

作者: ろきのひ

 1秒、2秒、3秒・・・・・・26秒。死んだ。

 1秒、2秒、3秒。生まれた。


 僕は時計の秒針をながめながら、ぼんやりと考えていた。新年のニュースで、アナウンサーが言っていたのだ。


 「昨年の日本では、29秒にひとりが生まれ、26秒にひとりが死亡したということになります」


 少し計算してみる。1日で2979人生まれ、3323人死ぬ。つまり、1日344人減っている。総人口が1億2千万ぐらいだから、ざっと350年で、世界から日本人がいなくなる。


 「ねえ。このままだと、そのうち日本人はいなくなっちゃうかも知れない」


 そう言って、僕は彼女の方をみた。

 彼女はベッドにうつぶせのまま、どっかから手に入れてきた雑誌に目を通している。


 「新年早々、不謹慎だったかな」


 彼女はふりむこうともせず、朝食代わりのポテチをかじりながら言った。


 「不謹慎?」

 「あ、いや。年も明けたばかりなのに、日本人がいなくなっちゃうなんていうと、不吉かなあって」


 彼女は立ち上がり、カーテンを開ける。


「実をいうと、きみのその感覚はわたしにはわからないんだ。わたしからすれば、人間は増え続けているし、年は越すものでも、明けるものでもない」


 彼女はやはり、どこかおかしなモノの言い方をする。自分だって、そのきみたちのひとりじゃないのかな。そう思いながら、僕は窓からの光にてらし出された、彼女の整った横顔をながめた。


「じゃあ、こうして二人で年を越したからって、たいした意味はないのかな?」

「そうでもない。わたしにはそれなりに新しい体験があった」


 彼女がふりむく。


「ラブホテルというものに、初めて泊まった」


 そう言って、彼女は笑顔を見せた。日の光を背にした彼女は、まるで自らが輝いているかのように、僕には見えた。



 大みそかの夜、僕はひとり繁華街をさまよい歩いていた。仕事を失い、家賃を滞納した僕に帰る部屋はなく、頼れるような友人や家族もいなかった。今年でちょうど三十歳。これがいわゆる詰みというやつだ。もうすぐ年も明けるというのに、行くあてすらない。

 歩き疲れて、雑居ビルの壁にもたれかかる。通りは楽しそうなカップルや家族連ればかりだ。思わず、下を向く。路地の奥に目を向けると、段ボールのかたまりが目についた。たぶん、あの段ボールの中には人がいる。この大みそかの夜に、人々の足音を聞きながら路上に横たわるのは、いったいどんな気分だろう。きっと近いうちに僕も同じ経験をするんだろうが。


 目を閉じてみる。ざわめき。足音。話し声。耳をそばだてていると、なにかの電子音が聞こえてきた。たぶん、スマホかなにかの呼び出し音。目をつむると、なんだかこういう電子音だけが、妙にクリアに聞こえてくる。遠くのどこかから、誰かを呼び出す音。


 僕は目をあけて、ポケットからガラケーを取り出した。知らない番号が表示されている。とりあえず、出てみる。


 「もしもし・・・・・・」

 「 Hi! Happy New year! Xxxxx xxxx...」


 まったく聞き覚えのない女の声。そして、たぶん英語でまったく聞き取れない。予想外のことに僕が黙りこんでいると、やがて電話は切れた。

 僕はため息をついた。そうだった。ここしばらく、この電話にかかってきたのは、不採用の連絡か、なにかの勧誘か、まちがい電話ぐらいだったじゃないか。僕はガラケーを投げ捨ててしまいたい衝動にかられて、じっと残された着信履歴をながめた。すると、再びガラケーが鳴った。同じ番号だ。僕はその表示をしばらくながめたあと、もう一度、電話をとってみた。


「もしもし・・・・・・」


 しばしの沈黙。電話ごしに車のクラクションの音が聞こえる。


「きみは、デイビッドではないね?」


 どうやら、さっきと同じ女みたいだ。

 僕はとまどいながらも、「そうですね」と答える。


「電話番号を確認させてもらえないだろうか」


 女はそう言った。流暢な日本語だ。日本人だろうか? それとも日本語の上手い外国人? 僕が番号を伝えると、


「すまない。間違いだ」


 と女は答えた。最初の英語で受けた印象よりはだいぶ若いかんじがする。

 ごく普通の、日本人の女の子の声。


「では、失礼」


 彼女が電話を切ろうとする。その時、僕はなにを思ったのだろう。「あ、あの」という言葉が口をついて出た。


「こっちから切らせてもらえないかな」


 返事はない。


「電話が切れたあとの、あのツーツーってやつを聞くのがいやなんだ。あれを聞くとなんだかとり残されたような気がするんだ。だから、こっちから切らせて欲しいんだ」


 僕はとっさに嘘をついた。確かにふだんからそう思ってはいたけれど、今の僕は単純にこの電話を切りたくないだけだった。雑踏の無数のざわめきの中で、唯一自分に向けられた声を失いたくなかったのだ。


 長い沈黙があって、耐えきれなくなった僕は電話を切ろうとした。

 すると彼女が言った。


「今、話しているのは、日本語だね? そして、あなたは日本人。正しい?」

「あ、はい」


 僕はそう答えながら、微妙におかしな質問だと思った。


「なるほど。この際、日本でもいいか」


 ん? 日本でもいい?


「どこかで会えないかな。とりあえず、日本のごはんを食べさせてくれればいい」


 僕は答えなかった。いや、答えることができなかった。いわゆる絶句したってやつだ。


「こっちはもう終わったが、時差が3時間なので、そっちはまだこれからのはずなんだ」


 時差が3時間? 僕は少し混乱したまま言った。


「ちょ、ちょっと待って。今、どこからかけてるの?」


 彼女はこともなげに言った。


「オークランドからだ。ニュージーランドの」


 僕は少しめまいを覚えた。ニュージーランドから日本に電話をかけてきて、今すぐ会いたいだって?


「えっと、今、そっちはニュージーランドにいて、日本にいる僕と、今すぐ会いたいって言うんだね?」

「そのとおり。こちらの都合ばかりで悪いんだが、あまり時間がない。日本のことは、あまり知らないので、どこか有名な場所で落ち合おう」


 なんだか気が遠くなりそうだ。なにか違う世界の住人と話しているような気がする。その時、僕の右肩になにかがぶつかった。若い男がなにか言っている。まわりの連中があわててその男を抱きかかえる。酔っぱらい。そうか、酔っぱらいなんだと僕は思った。


「じゃあ、歌舞伎町においでよ。日本で一番にぎやかな、眠らない街だよ」


 僕はそう言った。


「わかった、カブキチョウだな」


 そう言って、彼女は電話を切った。ツーツーっと音がする。僕は電話を切ることもできず、ずいぶん長い間、その音を聞いていた。体中から力が抜けていくような気がした。深いため息が出て、自然に下を向いた。酔っぱらいのまちがい電話にさえ、僕はすがりつこうとしたのだ。切れないままの電話の音が、僕の体の中を切り裂いていくような気がした。


「すまない。先に切ってしまった」


 僕は顔をあげた。目の前に日本人の女の子が立っていた。



 近くのファミレスに入ってからも、目の前に存在する女の子のことを、僕はうまく認識できないままだった。金色に近いストレートのショートカット。小さくまとまった顔が、彼女の背を実際の身長以上に高くみせている。でも、僕にとって一番印象深かったのは、彼女のほっぺただった。赤ちゃんの様な、ぽよんとしたほっぺたが、つんと釣りあがった目のきついかんじを柔らかくつつみこんで、彼女の顔を幼くみせていた。


「あ、ど、どうぞ。食べて」


 彼女のリクエストで、とんかつ定食に味噌ラーメンが並んだ。なかなか勢いのある食べっぷりだ。お腹がすいていたのだろうか。黒のコートを着てはいたが、その中身は、この季節に似つかわないノースリーブのシャツとミニスカート。ほっそりとした白い手足が目にまぶしい。正直、めちゃくちゃ、かわいい。たぶん二十代前半か、場合によっては十代。とりあえずの名前として、アカリと名乗り、それ以上は聞くなということだった。ニュージーランドから来たというのは信じられない。どちらかといえば、家出少女がカモをみつけて、ごはんをおごらせているというのが現実的だ。今の僕にはかなりイタイ出費だったけど、それでもよかった。年末にネカフェで一人でいるよりは、ウソでもいいから、こうして誰かといっしょにいたかった。


 「はー、うまかった!」


 キレイに完食した彼女が、メニューを開くのが見えた。


 「甘いものも食べたいのだが、オススメはどれだ?」


 やっぱり、僕は単なる財布代わりのようだ。なんとなく、そうだろうなとは思ってたけど、もうちょっと夢をみさせてほしかったな・・・・・・。


 「ごめんね。これ以上は無理だ。もうお金がないんだ」


 僕は財布から2千円を取り出して、立ち去ろうとした。

 

 「これは使えないか?」


 そういって、彼女は黒いカードを取り出した。ん? クレジットカード? 真っ黒のクレジットカードって、もしかして、あの戦車も買えるっていう?


 「ドバイの王族にもらったやつだが、日本でも使えるか?」


 僕はカードをみた。AMERICAN EXPRESS って書いてある。

 店員を呼んで聞いてみた。「もちろんです!」と彼が言ったので、僕は彼女に抹茶クリームパフェ、自分にピザを追加した。



 僕は生まれてこのかた、女の子とラブホに入ったことなんて一度もない。それどころか、女の子と手をつないだことさえない。でも、どこでどうまちがったのか、気がつけば僕はこのアカリというモデルみたいにきれいな女の子と、ベッドにとなり合わせに腰かけている。うす暗い部屋の中でふたりきり。僕の左手には、彼女の手のぬくもりがある。


「好きにしていいんだよ」


 アカリがそう言った。遠い異次元の世界から時空を超えてやってきたような声だった。僕はゆっくりと左手をほどき、彼女の肩に手をまわした。彼女はすっと僕の胸元に顔をよせる。


「きみの思うまま、願うままにすればいい」


 僕は覆いかぶさるようにして、ベッドに彼女を押し倒した。心なし手が震えているのがわかる。彼女の首すじに顔をうずめると、ふだん嗅いだことのない香水みたいな匂いがして、僕は自分の意識が半分どこかに連れていかれたみたいな気がした。そして、残った半分の意識が、僕の右手を彼女の腰のあたりへと伸ばす。まるでそれ自身が別個の意識をもった生き物みたいに、僕の右手が腰から胸元へと動いていく。


「だいじょうぶか?」


 アカリが僕の頭を抱えて、そう言った。

 僕の手は、彼女の肌に触れようとして、そこでこわばって、それ以上、動くことができなくなっていた。頭が痛いし、吐き気もする。


 「ゆっくり息を吸うんだ・・・・・・そう、そしてゆっくり吐いて」


 そう言って、アカリがやさしく背中をさすってくれる。

 その手のぬくもりが、背中から全身にじんわりと行き渡っていくような気がする。

 ずいぶん長い間、僕たちはそのようにしていた。


 楽になってきた僕は起き上がって、ベッドの脇のソファにこしかけた。

 アカリが隣に座る。


 「ごめん。ひさしぶりだったから、ちょっと緊張したみたい」


 僕はそう言って笑ったつもりだったが、笑えてないのが自分でもわかる。

 この後に及んで、なにを見栄をはってるんだろうか、僕は。


 「無理はしなくていいぞ。はじめてだろう?」


 う。バ、バレてる・・・・・・。


 「は、はは。こ、困っちゃうなあ。お見通しかあ」


 なんなんだ。この子は?

 超絶美少女な上に、ブラックカードまで持ってるし、なんでも見透かしてるかのような、この落ち着き・・・・・・。大体、こんな子がなんで自分なんかとラブホにいっしょに入ったりするんだ?


 僕はあらためて、アカリをまじまじと見つめた。

 僕の視線に気づいた彼女が見つめ返してくる。

 その瞳に、僕は抗うことができない。


 しばらく見つめ合ったあと、アカリは言った。


 「そうか。すまなかった」


 え? なんで謝るの?


 「きみぐらいの歳の人間が望むのは、てっきりこういうことばかりだと決めつけていたよ」


 アカリは立ち上がり、部屋から出ていった。

 そして、すぐに帰ってきたと思ったら、コンビニのビニール袋をさげている。


 「きみがやりたかったのは、これだね」


 テーブルの上に、缶ビールとおつまみが並べられた。

 そして、ふとみると、ニヤリと笑ったアカリのそばに、見慣れた顔の人たちがいる。


 え!? 高校の友達だったミヤジ。お隣の幼なじみだったアヤちゃん。バイト先で世話になったイワタ氏に、専門学校で片思いだったマリコ先生。長い間会っていないのに、不思議と一目見ただけで、誰かがわかった。そして、みなも同じだったようで、口々に「久しぶり」と声をかけてくれる。 

 急ごしらえの酒盛りが始まった。お互いの近況を報告しあった。三十にもなって、仕事も家もなくしちゃったよ、と僕が愚痴ると、イワタ氏が「まだ三十じゃん。まだまだこれからよ」とビールをついでくれた。マリコ先生が「だいじょうぶ! 元気出して!」と励ましてくれた。ミヤジが「実は俺も辞めようと思ってて・・・・・・」と愚痴りだしたので、二人して肩を組んで、ビールを流し込んだ。アヤちゃんが昔のアルバムを引っ張り出してきたので、思い出話に花が咲いた。


 みんな、僕の友達だった。

 何年も会っていないのに、ずっと友達だった。


 みんなでトランプをして、紅白歌合戦をみた。

 

 ゆく年くる年が始まり、除夜の鐘が聞こえだした頃、ニコニコしながら、いっしょに飲んでいたアカリが、また外に出て行った。

 

 すぐに帰ってきたと思ったら、また新しく二人連れている。


 父と母だった。

 僕の上京に反対していた二人とは、専門学校を卒業して以来、ほとんど話すらしていない。久しぶりの二人は、なんだか一回り小さくなったように見えた。


 どうしよう。なにを話したらいいのか、わからない。

 父も母も、なにも言わない。


 すっと、アカリが隣にきて、つぶやいた。


 「10・・・・・・9・・・・・・」


 ミヤジたちもそこに加わる。


 「8・・・・・・7・・・・・・」


 僕はみんなをみた。みんな、笑顔でうなずいた。

 僕はアカリをみた。その目が言っている。願うままにすればいいと。


 「3・・・・・・2・・・・・・1」


 「あけましておめでとうございます」


 年が明けて、僕はそう言った。


 「おめでとう」


 母が目に涙をためて、そう言った。


 「今年もよろしく」


 父がそう言って、手を差し出した。

 僕はその手を握り返した。



 テレビでは新しい年の動きを伝えるニュースが続いていた。昨日の夜、僕はアカリに背中をさすってもらっているうちに寝てしまったらしい。なので、ゆうべのみんなとの酒盛りはまったくの夢だったということになる。でも、部屋のテーブルには、飲み干した缶ビールやつまみの袋がちらかっていたし、僕のこの手には、父の手を握った感触が、たしかに残っている。

 僕はアカリを見た。彼女は白くくもった窓に落書きをして遊んでいる。どこまでが夢で、どこからが本当なのか。なんとなく予感はしている。でも、まだそのへんはあまり考えたくない。僕はアカリに声をかける。


「ねえ、これからどうする? よかったら僕といっしょに初詣にでもいかない?」


 アカリは落書きしていた指をすっと止めて、ふりかえらずに言った。


「いや、わたしはもうそろそろいかなきゃいけない」

「行くってどこへ?」

「わたしはひとつのところへとどまってるわけにはいかないんだ」


 そう言って、彼女は窓にかかれたドラえもんに息を吹きかけた。少しずつドラえもんが消えていく。


「もう、会えない?」


 僕は聞いた。


「うん。会えない」

「そうか。それは残念」


 僕はそれだけ言うと、あとは言葉が出なかった。本当に残念だったのだ。彼女はしばらくうっすらと残ったドラえもんをみつめていた。昇ったばかりの太陽が窓のくもりを溶かして、ひとすじの水滴がドラえもんを横切っていった。


「ドラえもんも悲しんでるよ」


 僕がそう言うと、彼女はゆっくりとふりかえった。やっぱりきれいだ。僕はそう思った。


「最後にひとつだけ教えてあげる」

「なに?」

「きみたちは水たまりの水なんだ」

「水たまり?」

「日の光が強ければ、水は蒸発する。影になれば、水のまま」

「うん」

「きみたちが生きるというのは、つまり、水が蒸発することなんだ。わたしはきみたちを生かしたり死なせたりしようなんて考えていない。喜ばせたり、悲しませたりしようとも思っていない」

「きみが? 僕らを?」

「水の分子のひとつひとつがいつどんな風に蒸発したって、水が蒸発するということに変わりはないだろう?」

「そうだね」

「要は、感じ方なんだ。蒸発するそれぞれがどんな風に感じるのかって違いだけなんだ。きみたちの感じ方までわたしにはどうすることもできない。それはきみたちがそれぞれに自分で決めること。つまり、きみのこれからの人生は、きみの気持ちひとつなんだ」


 とても真剣なまなざしだった。とてもきれいな瞳だった。


「ありがとう。正直、意味はよくわからないけど、気持ちは伝わったと思うよ」


 彼女はまた窓のほうを向いて、外をながめた。逆光の中で見る彼女の背中は、とても華奢ではかなく見えた。別れが近いことを僕は感じた。


「ねえ。きみはどこから来たんだい? もしできるなら、今度は僕がきみを訪ねていくよ」

「それは相当無理がある」

「そんなに遠いところなのかい?」

「わたしでも片道8分はかかる」

「8分? たかが8分じゃないか」

「されど、8分なんだよ」


 少しずつ、太陽が昇っていく。なんだか透けてしまいそうなアカリの背中。


「大丈夫。さみしくなったら、空を見ればいい。わたしは一日に一回、必ずきみの真上にくるから」

「真上? なんだかなぞなぞみたいだね」

「そうかもね。じゃあ、元気で」


 なんとなく、僕にはわかっていた。最初からきっとこういう結末になることを。


「わかったよ。じゃあ、せめて電話ぐらいさせてよ。そうだ。たしか着信にきみの番号が残ってたはずだ」


 僕はポケットからガラケーを取り出した。履歴を見ると彼女からの着信らしきものはなかった。顔をあげると、僕は繁華街の喧騒の中にいた。通りで何人かがカウントダウンを始めている。3、2、1・・・・・・おめでとう! 新しい年がやってきた。僕はこんなところでうたた寝でもしてしまったのだろうか? 新年を祝う人々の間をぬって、とりあえず僕は歩き出した。なんだかわからないけれど、少し気持ちが軽い。家も仕事もないのに、なんとかなりそうな気がした。僕のこれからの人生は僕の気持ちひとつなんだ。自然とそんなセリフが口をついて出た。さあ、これからどうしよう。僕は夜空を見上げてみた。そうだ。初日の出でも見にいこう。あの太陽の光が、きっと僕のこれからをてらし出してくれるに違いない。僕はそう思って、新しい年の一歩を踏み出した。



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