エピローグ♪
花園のエピローグ(?)です。ゲーム周回一週目ではエピローグに登場しない(という設定)のキャラも『花園』を何回も周回ずみ、という設定ゆえ登場します。シラユリ目線です。
私、シラユリ・ユリはこの王国・・・ユリ王国のお姫さま!今日から花園学園に入園して、輝かしい日々をゲットする・・・!!!
「シラユリ、お前は男爵家の娘として学園に入園する。」
「うんうん・・・ってはぁあああああああ!!!?叔母さん、なに言っちゃってんの!!?ユリはこの国のプリンセスだよ!!!?」
「・・・・お前も少し世間を知れ。今のままの幼いお前には王座を譲ろうなどとは思えない。」
叔母さんはこの国の女王さま!カサブランカ・ユリ!美人だけど、怖くておっかない!なんか迫力ある!
「まぁ・・・我儘三昧やってきたけど・・・・。でもさ・・・・。」
「お前は学園に行ってもどうせそれを繰り返す。姫という身分があれば。」
「貴族も王族も変わんないじゃん!」
「変わる。この国のシステムを忘れたか。貴族は庶民と変わらん。功績によって庶民が貴族になり、貴族が庶民になることはこの国ではしょっちゅうだ。だが、王族だけは違う。絶対の地位なのだ。だから、どうしても特別扱いを避けられん。それに変わらないというのであれば、男爵家の娘で構わないではないか。」
「うー・・・・。」
「さっさと行け。・・・・お前の成長を楽しみにまっているぞ。」
叔母さんはニヤリと不敵に笑った。
* * * *
「はぁー!憂鬱!!!」
困ったなぁ。・・・まぁ今は舞踏会を楽しもう!せっかくの入学祝いなんだし!
「これはこれは!!美しいお嬢さん!!!」
彼の名はロゼ・ロードン。三大貴族の一つであり、演劇の名家であるロードン家の当主。
「・・・・・こんにちは。」
「どうしたのですか?暗い顔をして!貴女には笑顔が似合いますよ!」
目の前には赤薔薇の花束。
「え、くれるの?」
「勿論☆」
「ありがとう!」
「ほら☆あなたにはやっぱり笑顔が似合います☆そして、薔薇の花も!」
そういうと彼は投げキッスをしながら去っていった。
なんだか気分が少し明るくなった。流石、ロゼ・ロードン。
「おい、貴様。」
そういって私に声をかけたのはミスルトゥ・ヤドリギ。三大貴族の一つであり、人形作りの名家であるミスルトゥ家の次期当主。
「貴様って誰ですかー?」
「貴様なのだよ!!」
「貴様じゃわかりませーん!」
「僕は貴様の名前を知らん!だから、貴様と以外呼べないのだよ!!」
「なんだとー!!!?他になんかあるでしょ!!シラユリとか美人すぎて後光が差してる超・スペシャルビューティーなお嬢様とか!!!」
「ふん!!自意識過剰なのだよ!!!見た目が気に入ったから近づいてみたら、中身がこんなのだとは・・・・!!最悪な気分なのだよ!!!」
ミスルトゥは私を睨みつけると、ブーツのヒールをガツガツとならしながらどこかへと去っていった。
なんだかこのままここにいると、さっきのことを思い出してムカついてきそうなので私も移動すr
「うわっ!!!!」
「・・・・・殺してください・・・。ねぇ、お願いします・・・。死にたいんです・・・。ああ、でも・・・そうすると埋葬が出来なくなってしまいます・・・・。どうしましょう・・・。」
思いっきりぶつかった相手はフィアーノ・ルレザン。三大貴族の一つであり、音楽の名家であるルレザン家の次期当主。
「・・・・元気、だそうぜ。」
「ああ、あなたも死んじゃえばいいのに。そうすればあなたのことも埋葬してあげますから。」
そういや、ルレザン家って葬儀屋もやってるんだっけ?
「ユリが今死ぬのは無理だけど、ま、死んだらよろしく!」
「え、いいんですか・・・?」
「うん!あ、ユリの名前はシラユリ!私を埋葬するまで忘れないでよね!」
「・・・・自分がいつか死を迎えることを・・・あなたは受け止められるのですね。」
そういうと、フィアーノはどこかへと去って行った。
「しらゆり・・・・。」
「あ、クロユリ!」
クロユリは私の双子!クロユリもたしか男爵家の息子としてこの学園で暮らしていくことになってたはず。
「お互い大変だよねー!がんばろっ!クロユリ!」
「・・・・うん。そうだね、僕、がんばる・・・・。」
クロユリはこの国の王子だけど、王様になる可能性は低いかなーって感じ。まぁ、誰も私には敵わないってことよ!!おーっほっほほほほほ!!!!
「・・・・ねぇ、さっきはなしてた人たち・・・だれ?しらゆりのお友だち・・・?なか、いいの・・・?」
「いや、まったく!!」
特にミスルトゥね!!!
「そっか・・・よかった・・・。」
クロユリはそういって微笑むとどこかへとふらりと消えていった。
「貴女がシラユリさまですか?」
いつのまにか、目の前に真顔の美しいメイドが立っていた。なんとなく、猫っぽい。
「え、はい。」
「そのままここにいらしてください。」
なんじゃそりゃ。と、尋ねようとするとすでにメイドは消えていた。
「厄介なものに目をつけられてしまったようですねぇ・・・クククッ・・・。」
突然かけられた声に驚いて振り向くと、声は低いけれど背は高い綺麗で色っぽい女の人。誰?
「シラユリ!久しぶりー!」
その瞬間に見慣れた顔。彼女はシンイ・モクレン。かなりのヘタレだが一応一国の王をやっている。
「シンイ!どうしてここに?」
「女王さまに呼び出されたんだよ!」
「そうだったんだ!いやー、シンイに会えて嬉しいよ!」
「私も!」
「で、この方は?」
さっき私に声をかけて、今はシンイの後ろに佇んでいる綺麗な人。
「あ、この方は
「シンイさま!!探したんですよ!!」
「あ、マリリン!!ごめん!!」
「マリリンさん!お久しぶりです!」
「シラユリさま!!!」
そういうと、マリリンさんは膝をつき騎士の礼をとった。マリリンさんはマリリン・チューリップ・ユリ。シンイの騎士だ。中性的で男なのか女なのか未だによくわからないけど、美人である。
「あー、大丈夫ですよ。そういう堅苦しいの。」
「いえ、シラユリさまは一国の姫君ですので・・・。」
「あー、大丈夫です。今、ユリは今男爵家の娘だから・・・・。」
「はぁ・・・・?」
「あ、女王さまも言ってた!」
「聞いた!!?酷くない!!?あれ!!」
「う、うーん・・・。あはは・・・。」
ごまかしやがった!!!で、
「そこの方は?」
「あ、ごめん!」
「シンイさまのお守り役をやっております、スノウと申します。以後、お見知りおきを。ククッ・・・。」
スノウ、というらしい。
「スノウさまはね、凄いんだよ!とっても強くて、頭が良いんだ!」
「クククッ・・・・シンイさんが見れば誰だって・・・・ねぇ?」
「酷いよ!!スノウさま!!」
仲がよさそうでなによりである。
「そういえば、シンイっていつまで滞在するの?」
「明日までだよ!」
「ええー!!!みじかっ!!せっかくだからもっと長い間いればいいのに!!」
滅多に会えないんだし!!
「それはいい提案だね。僕も女王さまとともにしばらくこの学園に滞在させて頂こうかな。」
言葉の主は私たちの隣で白ワインの入ったワイングラスを傾けていた見目麗しい青年。白馬の王子さまという言葉ぴったりの見た目をしている。
「ああ、あまりに楽しそうで名乗りもせずに話に頭を突っ込んでしまった。これは失礼。僕はヒガンバナ王国の王女、リコリス・ヒガンバナさ。よろしくね、シラユリちゃんにシンイちゃん。」
・・・・・王女?そういえば、ヒガンバナには文武両道、眉目秀麗、温厚篤実な完璧王女がいると聞いたことがある。
「す、素敵・・・・。」
シンイはポカーンとしている。
「なぜ、私たちの名を・・・?」
私は自分でいうのもなんだが、相当な箱入り娘だから王女として公衆の面前にたったこともなければ、他の国に行ったこともない。だから、全然顔を知られてない。そしてシンイは一応女王だが、モクレンはあまり大きな国ではないしそんな有名な国でもない・・・つまり、シンイ自体もそんな有名ではない。そんな二人の名前を知ってるだなんてなんか変だ。
「僕は素敵な子の名前だったら全員知っているのさ。」
歯の浮くような台詞。だが、それが彼女にはよく似合う。
「うわー!優しい人だね!私なんかのことを素敵だって!スノウさま!」
「・・・・ええ、そうですね。シンイさん。」
シンイがきゃっきゃっと言っている。
「ねぇ、僕もしばらく学園に滞在していいよね?」
「・・・それは・・・・叔母さんに聞かないと・・・・。」
ここで私は彼女の後ろに先ほどの真顔なメイドを発見した。
「あっ。」
「ん・・・・?これが気になるのかい?これはハナサフラン・クロッカス・アヤメ。僕のメイドさ。」
「・・・・よろしくお願いします。」
そういってメイドは頭を下げた。・・・・随分洗練された動きだ。この子、本当にただのメイドか?
「で、この学園で君と勉学を共にするには君の叔母さまの許可が必要なのか。」
「はい。」
・・・・・思い出した。ハナサフラン・クロッカス・アヤメ、その名は先の戦争でヒガンバナに敗戦し、滅びた国の王子の名だ。それが・・・なぜここにメイドとして・・・?
「そうか・・・。では、君の叔母さまに許可を頂いてこよう。・・・シンイちゃん、君も一緒に来るかい?」
「え、でも・・・・。」
よし、チャンスだ!!!
「シンイ!!お願い!!いいじゃん!!ほら、未来の女王さまのお願いだよ!!ね?お願い!!」
「す、スノウさま・・・・!!!」
助けを求めるようにシンイはスノウさまを見上げる。
「よいのではありませんか?モクレンはシンイさんがいなくともなにも変わりはしないでしょうし、問題もないでしょう。」
「ひ、酷いよ!!スノウさま!!!!」
「ククッ・・・事実を言ったまでですよ。それにご安心ください。お仕事は全てこちらに運ばせますから。」
「スノウさまぁ!!!!!」
スノウさまばっかり言ってるな。
「ほら!!スノウさまもこう言ってるし!!!ね!!!」
「・・・・うぅ・・・。わかったよ・・・・。」
そういうと、シンイはリコリスさんとともに去っていった。
「・・・・・・失礼します。」
ハナサフランさんは深々と頭をさげ、決して走らずにでもかなり早いスピードでリコリスさんを追いかけていった。
「それでは、失礼します。シラユリさま。」
マリリンさんは少し深めに頭をさげると、二人を追いかけて行った。
「ごきげんよう。白百合の君。」
最後にスノウさまは会釈し、のんびりとシンイを追いかけて行った。
『・・・・・あなたはあれと親しいのですか・・・・。』
えっ?
いつの間にか、私の隣にとても綺麗で繊細な感じのする青年がいた。なんとなく、不思議な雰囲気を纏っている。・・・・・今日はやたらと、綺麗な人に会うな。ロゼもミスルトゥもフィアーノも性格はあれだけど見た目はかなり綺麗だし、クロユリも私と同じ顔してるわけだし当然綺麗な顔だ。あ、シンイだけは例外か。ま、シンイは・・・・愛嬌があるよね!!
「・・・・・あれって?」
『・・・スノウと名乗るあれです・・・・。』
「いや・・・・親しい人の親しい人なだけです。』
『・・・・・そうですか・・・。』
そういうと、青年はふっと消えてしまった。・・・・消えた!!!?
「・・・・マジか・・・・。」
なんだったんだ今の?・・・・幽霊とか?ヒエッ!考えるのやめよ。
『ねぇ、君。あいつと知り合い?』
いつの間にかいたテイク2、ふんわりと柔らかい感じのする綺麗な青年が私の隣にいた。さっきの青年と同じように不思議な雰囲気を纏っている・・・・ような気がする。思いなしか、さっきの人と似ているような・・・・?というか、同じようなこと聞きやがって。
「えっと、あいつって?」
『さっきまでここにいた奴。』
と、いうとあの繊細な感じのゆうれ・・・・兄ちゃんだな。
「さっき初めて話しました。」
『ふーん、そう。じゃ、ばいばい。』
そういうと、青年は空気にとけて消えて行った。・・・・なんなんだよ。さっきから。
* * * *
「おおー!はじめましてー!シラユリさん、でいいんだよね?」
さきほど部屋割りが発表され、部屋にきたところまぁ可愛いかな?ぐらいの少女がいた。圧倒的爽やかさ。
「私はアカツキ・コスモス・キク。噂話ならなんでも任せとけ!!・・・なーんちゃって!とにかくよろしくね!」
「よろしく。」
私の手を掴み振りまくったあと、少女はにっこりと微笑んだ。
「一年間、色々頑張ろうね!」
今日から私の『花園』での日々が始まる。