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A shadowy hope  作者: 琴音
4/6

関係

彼は優しく私を抱いてくれた。

事が終わると、私はこれっきりで終わりかなと思っていた。

「今日はありがとうございました」

「えっ!何でそんなこと言うの」

彼は意表を突かれたかのように笑い出した。

「こういう事って一度きりだと思って」

「もう、さよならでいいの?」

そう言って彼は私の頭を撫でる。

この男はとことん女の扱いになれている。

「さよならは...したくないです」

素直にそう思った。

でも、彼とどうこうなりたいとかそんな気持ちがあった訳ではない

「また、会おうよ」

彼はキスをした。

恋人にするような優しい口付けだった。

そのキスを私は忘れられないでいた。


彼と会ってからの日々は彼からの連絡が私の楽しみになっていた。

不思議な事に時間が経つにつれて、彼への気持ちは明白な物になっていった。


旦那が嫌いな訳じゃない、愛もある。

それは家族愛なんだとろうと思う。

だけど、私は恋がしたかった。


主婦が恋なんかに憧れるなんて

良い歳して年下と遊ぶなって叱咤を受けそうだが

私は一度ハマってしまった事から抜け出せないでいた。


本気になっていけないと思って、彼以外の男性と会ってみた。

その男性も彼と同じ歳だった。

でも、私はその人とは身体の関係にはなれなかった。

迫ってきた男が怖かった。

軽率な行動で男性が身体の関係を迫っても間違いではないと思う。

無理やりキスをされた時、私の頭には彼の顔が浮かんだ。

「やめて!」

私は男を突き放し、その場から逃げ出した。

「なんだよ!誰とでもするんだろ!」

男の言葉が私の胸に突き刺さった。


私は彼の声が聞きたかった。

話したかった。

「もしもし、どうした?」

私は彼に電話をかけていた。

「あい?」

「あっ、急にごめんね。...大丈夫だった?」

私は零れそうな涙を堪えた。

「大丈夫だよ。泣いてるの?」

彼は心配そうに聞いた。

「ううん、泣いてないよ!」

「声が震えてるよ」

「...そんな事ないと思うけど」

私は小さく深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。

「実はさっきまで男の人と飲んでて、キスされて怖くなっちゃって...」

「あいは俺のなんだから、他の奴になんて渡さないよ」

いつから貴方のものになったのかと思いつつ、俺のって言葉が少し嬉しいと感じてしまった。

「おもちゃって事でしょ?勘違いしちゃうよ」

「勘違いしていいんじゃない?」

「えっ?...もう!からかわないでよ」

「あいって、おもしろいな」

どちらが年上なのかわからなくなる。

彼は私の心をかき乱す。

「早く会いたい」

私はつい呟いてしまった。

こんな事言って重い女になりたくないのに、彼はきっとただの遊びなのに

「いいよ、来週の休みでいい?」

「うん、楽しみにしてるね」

「俺も!いい子にしてるんだよ」

遊びでもなんでもいい、ただ彼と関わっていたい。

私はもう、後には引けない関係を築いてしまった。


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