表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
希望の国のアノテロティス  作者: 麻埜ぼったー
1/6

はじまり

生き続けるのはどんな心地なのか

私に説いてみせて


―――――――――――――――





夢とわかる夢というものがある。明晰夢というのだったか。

今私はそれを見ている。



なぜわかるのかって?


だってこれは…以前現実で起こったことだから。

それをどこともつかない、ただ上の方から眺めている。


登場人物は私と手術衣を着たお医者様。

お医者様の手には膿盆。膿盆の中にあるのはそう、――心臓だった。


多分。

それは私の母の心臓なのだとお医者様はおっしゃった。



――心臓とは通常ネジが刺さっているものなのだろうか?

そんなことを考えていたような気がする。


それは心臓に酷似した形の機械。

お医者様もわけがわからない、そんな顔をしていたわ。



これが始まり。そう、この災害の――――




流行病という形で現れたこの災害の始まりは私の母の死であった。

突然、何の病気だったわけでもない母が死んだ。

原因なんて全く見当もつかなかった。


お医者様に言われるままに解剖をしてもらった。

特に何の感動もなく、ただ子供としての義務で解剖の終わりを待っていた私に待ち受けていたのが先の衝撃の物体なのである。



それからはただただ周りに流されていたことしか記憶にない。

とても大変だったような気がする。

しかし気がつくとその状況にあるのは私だけではなかった。


友人がいなくなり、先生がいなくなり、―――学校が閉鎖した。

冬休みを迎えるのを節目に、無期限に休校することが決まったそうだ。



のちにニュースで知ったのだけど、この病気は臓器や筋肉が機能を保ったまま段々と機械化していく……というものらしい。

それがなぜ急死に繋がるのかは未だにわかっていないという。


その病気は『機械化病』と呼ばれることになった。

そのままでつまらない、と思ったが病気の名前なんて皆総じてそんなものだろう。


そんなことを考えながら夕飯の買い出しをすべく家を出た、ところまでは覚えている。

そのあとに何が起こったのか、私は思いだすことができない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ