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第9回 炎帝 vs 白虎 だった!!

 激しい衝撃が地を駆ける。

 二体と大型の獣がほぼ同時に地を駆けたのだ。

 巨体を揺らし二体の聖霊は地を蹴り、大量の土を巻き上げる。

 炎のタテガミを揺らし、火の粉を巻き上げる炎帝は右前足を大きく振り被った。

 遅れて、白虎も右前足を大きく振り上げる。

 両者共に考える事は一緒だった。

 鋭い爪をむき出しにし、炎帝はその爪に炎をまとわせ、白虎はその爪に風をまとう。

 そして、両者の右前足が振り下ろされ、激しくその爪が衝突する。

 風が吹き荒れ、炎は逆巻く。

 地面が大きく陥没し、炎帝と白虎の体は大きく仰け反る。

 両前足が地面から離れ、炎帝も白虎も後ろ足で立ち、一歩、二歩と後退した。

 重々しい足音が響き、大地は揺れ、二体の前足が地面へと降りる。

 衝撃が地面を砕き、砕石が土煙と共に宙へと舞う。

 その振動は激しく大地を揺るがし、炎帝の後ろに佇んでいた紅は、その揺れに立っている事すらままならなかった。

 長い黒髪を吹き荒れる突風に乱し、左手を顔の前に出す紅は、目を細めその二体の戦いを見据える。


(こ、これが……せ、聖霊同士の戦い……)


 聖霊同士の戦いを目にするのは初めてだった。その為、これ程まで凄まじい戦いになるとは思ってもいなかった。

 地面へと爪痕を残し、動きを止めた炎帝と白虎は瞬時に顔を互いへと向け、すぐに動き出す。

 やはり、初速が速いのは風の属性を持つ白虎だった。

 ジグザグに疾風の如く地を駆ける白虎に対し、迎え撃つように炎帝は後ろ足へと力を込める。

 瞬発力を生かし、カウンターを狙っているのだ。

 加速する白虎と力を蓄える炎帝。両者の思惑が交錯し、遂に衝突する。

 大口を開き、牙をむき出しにし喉元を狙い突っ込んでくる白虎に、炎帝は後ろ足て地を蹴り、右前足でその顔を左へと叩いた。

 重々しい衝撃音が轟き、白虎の巨体が壁へと衝突する。

 激しい衝撃が広がり、壁は崩れ落ち、土煙は舞い上がった。

 僅かに呼吸を乱す炎帝は体の向きを変えると、ゆっくりと右前足を下ろした。

 今の一撃、見事に炎帝のカウンターが決まった様に見えたが、実際の所、相打ちだった。

 炎帝の右前足が白虎の横っ面を捉えた次の瞬間、白虎は炎帝の右前足へと牙を突き立てた。

 一瞬だった為、噛みは甘かったが、それでも炎帝の右前足には血が溢れる程度の傷を負っていた。

 その結果、紅の右手にも僅かな痛みが走り、血が指先から零れ落ちる。


「――ッ!」


 手に走った痛みで初めて炎帝が負傷した事を知った紅は、左手で右手を押さえ、表情を歪める。

 召喚士は、通常呼び出した聖霊がダメージを受けると、そのダメージの一割程度のダメージを負う。その影響で、紅の右手からも出血したのだ。

 それ程のダメージを負ったと言う意味だった。

 奥歯を噛み締め、痛みに堪える紅は、思わずその場に蹲った。


『大丈夫か? 主よ』

「は、はいっ……だ、だいじょう……ぶ、です……」


 明らかにその声色は、苦痛に耐えているような感じだった。

 その為、炎帝は表情を曇らせる。彼是、十年近く紅に仕えている。故に主である紅の性格は熟知していた。

 だからこそ、炎帝は戦闘において細心の注意を払っていた。自分自身が傷つかぬように。

 しかし、今回はそうもいかない。相手は聖霊。しかも、聖霊の中でも最も上位に位置する存在、守護聖霊の白虎。

 全力で戦ったとしても、相応の深手を負うことは必至だろう。

 土煙が晴れ、山積みになった瓦礫が崩れる。そして、灰色に黒の虎柄模様の白虎は背を仰け反らせ、遠吠えを轟かせた。



 塔へと急いだ一馬達はその門前で立ち往生していた。

 その理由は――


「何なんだ! この数は!」


 トンファーを振るう周鈴が怒鳴り、鬼の頭を吹っ飛ばす。

 そこに居たのは数百以上の鬼だった。漆黒の肌に、筋肉質な体をした背丈は一七〇前後の鬼だ。

 額には小さな角が一本。故に力自体は大した事が無い事は明らかだった。

 だが、それでも、数が多すぎる。

 一馬達の中で戦えるのは、周鈴とオールドのみで、一馬とキャル、リューナの三人は完全に足手纏いになっていた。

 ただでさえ、数で圧倒されているのに、三人もの人を守りながらの戦い。当然の如く五人は囲まれる結果となった。


「くそっ!」


 声を上げるオールドは、その手に持った剣を構え、周囲を見回す。

 どうにか活路を見出そうとするオールドだが、状況は最悪だった。

 一方、周鈴も表情を歪め、徐々に後退していた。


「どうする気だ! 一馬!」

「ちょ、ちょっと待って! い、今、考える……」

「んな、悠長な事言ってる場合か!」


 一馬の答えに、周鈴はそう怒鳴り、鬼へとトンファーを叩き込んだ。

 骨の砕ける音と共に、鬼は弾かれ、その体は砂へと還る。大した強さではない為、聖霊の力を宿した武器であれば、一撃与える程度で浄化する事は可能だった。

 それでも、数で押し切られる為、前には進めない。


「ど、どど、どうしましょうか!」


 胸の前で手を組み、戸惑うキャルは周囲を見回す。この状況に平静を保っている事は難しかった。

 しかし、リューナはこの中でも落ち着いた面持ちで、右手を頬にあてオレンジブラウンの髪を揺らす。


「困りましたねぇー……このままだと、まずいですよねぇー」


 相変わらず語尾が間延びする話し方のリューナは、目を細めると首を傾げる。

 何か迷っているのか、リューナは困ったように眉を曲げ「うーん」と艶かしい声を上げていた。

 リューナが何を考え、何を迷っているのか、一馬には分からない。ただ、今はそんな事を考えている場合ではないと、この状況を切り抜ける方法だけを考えていた。

 青龍・玄武のどちらかを呼び出すべきだが、果たして、今の一馬にそれだけの余力があるのかどうかが問題だった。

 深く考え込む一馬は、僅かに肩を上下に揺らし様々な状況をイメージする。だが、どれだけ考えても良いイメージが出来なかった。

 それだけ、現在の一馬には召喚士としての力が圧倒的に足りていない。

 その事を理解しているからこそ、一馬は険しい表情を浮かべる。

 一馬の顔を不安そうに見据えるキャルは、キョロキョロと周囲を見回す。

 キャルも必死にどうするべきかを考えていたのだ。

 そんな最中だった。

 突然、リューナが長くふわりとしたスカートを裂くと、右足を出し、そこに固定し隠していた小型ボーガンをその手に取り出した。

 リューナの行動に考えていた一馬は目を丸くする。

 まさかの行動だったのだ。

 驚く一馬を尻目に、リューナはボーガンへと矢を充填すると、


「一掃しますぅー」


と、独特の間延びした語尾でそう言い、引き金を引いた。

 タンッと単音が響き、風を切る音と共に一発の矢が鬼の額を撃ち抜いた。


「うがああああ…………」


 鬼は悲鳴を上げると膝から崩れ落ち、その体は消滅する。

 呆然とする一行だが、リューナは構わずメイド服姿のまま、矢を次々と放つ。

 矢は一発も外れる事無く、ピンポイントで鬼の額を撃ち抜いていった。

 鬼は次々と膝から崩れ落ち、消滅していく。

 それにより、前方、門前までの道が開ける。この隙を周鈴とオールドは見逃さず、そのまま突っ込み二人も次々と鬼へと攻撃を再開する。


「一馬! 今の内に行け!」


 周鈴がそう声を上げる。

 右側の鬼を周鈴が、左側をオールドが担当し、道を開いていた。

 周鈴、オールド、リューナの頑張りに一馬は頷くとキャルの腕を掴んだ。


「行こう!」

「えっ? で、でも……」

「ここは三人に任せよう」


 一馬は真剣な目でキャルを見据え、そう口にした。

 その言葉に、キャルは小さく頷き、オールドへと不安げな表情を向けた。

 キャルの不安は一馬にも分かったが、それでも、この場に留まっても足を引っ張るだけだと、一馬はその腕を引き走り出した。

 それに続くようにリューナは矢を放ちながら走り出す。

 走りながらにも関わらず、リューナの放つ矢はやはり精確に鬼の頭を射抜いていく。

 それだけ、リューナの腕前は凄いものだった。

 走り抜ける一馬は門を蹴破る。門は古びていた為、その一撃で門は破壊され、一馬はキャルの腕を引き塔へと侵入した。

 それに遅れてリューナが塔に入り、しんがりを周鈴とオールドが務める。

 幸いな事に塔内部には鬼の姿は無く、入り口もさほど大きくない。

 その為、周鈴とオールドの二人で押さえる事が出来た。


「一馬! ここは僕ら二人で抑える! 最上階まで急げ!」


 内部へと侵入しようとする鬼をトンファーで殴り消滅させながら、周鈴はそう怒鳴った。

 その言葉に、呼吸を乱し頷く一馬は、


「分かった……任せる!」


と、返答し階段を上った。

 どれ位の階層があるのかは分からない。

 分からないが、一馬は全力で走り続けた。

 その後に続くのはキャルとリューナだった。

 リューナは片手にボーガンを持ち、矢を充填していた。

 そんなリューナへとチラッと目を向けた一馬は思わず尋ねる。


「りゅ、リューナ。キミは一体……」


 走っている為、呼吸が乱れ言葉は途切れ途切れだった。

 それでも、その質問の意味は分かった。その為、リューナはニコッと微笑し、


「私のうちはぁー、代々、ハンターなんですよぉー」


と、間延びした声で答える。

 その言葉に一馬は訝しげな表情を浮かべるが、キャルは驚きの声を上げる。


「ほえっ! じゃ、じゃあ、リューナさんは狩人って事ですか!」

「いえぇー。私はただのメイドですぅ。ハンターとしての技術は、幼い頃に叩き込まれただけなのでぇー」


 恥ずかしそうに笑う。

 よっぽど凄い仕込まれ方をしたのだろう。

 あの精確な射撃はよほどの練習をつんで身につけたのだろう。

 関心しながら、一馬はただ最上階を目指し走り続けた。

 塔内部は恐ろしく静かで、鬼が出る気配はなかった。よっぽどの自信があるのか、それとも何か策を弄しているのか分からない。

 だが、一馬は嫌な予感しかしなかった。


「もうすぐですよぉー。気をつけてくださいぃ」


 緊張感の欠片も無いリューナの間延びした声に、一馬は息を呑む。

 階段の奥から強大な力を感じていた。

 朱雀・青龍・玄武の三体との契約で、一馬もある程度感知能力がついていたのだ。

 肌をチクチクと刺すような嫌な空気だった。

 表情を険しくする一馬は、キャルの方へとチラリと視線を向ける。

 流石にキャルは苦しそうに呼吸を繰り返していた。

 元々、運動などをするようなタイプではないだろうし、恐らく体力も一馬以上に無い。それで、ここまで走りっぱなしだ。疲れて当然だった。

 キャルを心配しつつも、一馬は視線を前へと向けた。

 最上階へと辿り着くと、そこは広々とした一室の部屋だった。

 中央には台座があり、その前に一人の老人が立っていた。

 背丈を悠に越える杖を片手に持った白ヒゲを蓄えた老人だった。

 老人であるにも関わらず、圧倒的な存在感を放ち、明らかに強者の風格が漂っていた。

 階段を上り終え、足を止める一馬はただ真っ直ぐにその老人を見据え、後から来たリューナも怪訝そうに眉を潜める。

 一馬と同じくすぐに気付いたのだ。この老人が底知れぬ力を持っていると。

 そんな一馬達を見据え、老人は笑う。


「フォッフォッフォッ!」


と、如何にも年寄り臭く。

 その笑い声に、一馬は息を呑み、リューナは持っていたボーガンを構えた。


「あなたが、白虎を……」


 一馬が乾いた唇を開き、そう口にする。

 すると、老人は杖の先で床を二度叩き、


「左様。白虎は我、手中におさめた」


 老人のその言葉に、一馬は唇を噛む。

 そんな一馬に対し、老人は口元を緩める。


「お主が、朱雀、青龍、玄武の三体の聖霊と契約したと言う小僧か……」


 赤い瞳が真っ直ぐに一馬を見据える。

 その眼差しに息を呑む一馬は、半歩下がった。

 それだけの威圧感があったのだ。

 一馬の行動にリューナが一歩前に出た。


「下がってくださぃい……一馬様……」


 リューナはそう言い、ボーガンの引き金へと指を掛ける。

 福与かな胸を弾ませるリューナの額には薄らと汗が滲む。流石のリューナもその老人の威圧感に押されつつあった。


「ほぉー……小娘。お主が相手になると言うのか?」


 老人の言葉に、リューナは表情を険しくする。

 とても自分が適わないと言う相手だと分かっているのだ。

 僅かな沈黙が流れ、老人が不敵に笑う。


「さてさて……始めようかのぅ」


 老人はそう言うと片手に持った杖をかざす。

 すると、床に空間の裂け目が幾つも生まれ、そこからゾロゾロと鬼が姿を見せる。

 その数はざっと見ても五〇以上はいた。

 幾ら何でもこの数の鬼をリューナ一人で相手をするのは無理がある。

 そう判断する一馬だが、その時頭の中で声が響く。


(主よ。自分の力を貸そう)


 玄武の声だった。

 その声に、一馬は表情を険しくする。今、ここで玄武を呼び出したら、塔が崩壊するんではないか、そう考えたのだ。

 そんな考えをする一馬に対し、玄武は落ち着いた口調で告げる。


(案ずるな。自分を召喚しろとは言わぬ。こんな所では流石に自分は召喚できぬだろ?)


 一馬の考えを理解した玄武の言葉に、一馬は小さく頷く。


(ならば、やる事は一つ。自分の化身である武器を授ける)


 玄武の言葉は一馬も予期していた。

 だが、ありえないと思っていた。何故なら、朱雀や青龍と同じく使い手を選ぶはずだ。

 そして、そうだとするならば、この場に玄武の化身である武器を扱える者はいないだろうと、一馬は判断した。

 当然の判断だった。ここで戦えるのはリューナだけだ。確率論から言って、この状況でリューナが適合者であると言うのはかなり低い。

 だが、玄武のその強気な言葉に、一馬は小さく頷いた。


(分かった。玄武。頼む!)


 一馬がそう告げると、玄武は、


(心得た)


と、呟きその瞬間、一馬のポケットに納まった巾着袋が光を放つ。

 眩い光に、皆が目を伏せる。

 そんな中、重々しい音が轟き衝撃が広がった。

 何が起こったのか分からないまま、眩い光は収縮する。

 衝撃で召喚された鬼達は半分以上が消滅していた。

 そして、一馬の前には漆黒の刃の大剣が床に突き刺さっていた。


「こ、これが……」

(自分の化身。黒泉こくせんだ)

「黒……泉……」


 一馬はそう呟きその大剣へと手を伸ばす。

 だが、柄を握った瞬間に気付く。


(これは、俺には使えない!)


と。

 何故なら、柄を握った瞬間、その大剣の重量を感じたのだ。

 床に突き刺さっているとは言え、その重量感は明らかにおかしかった。

 恐らく、それが、紅蓮の剣や双龍刀と同じ原理なのだと直感したのだ。


(主よ。自分の化身を使えるのは、主ではない。リューナ殿だ)

「リューナが?」


 思わず、一馬がそう口にする。

 すると、ようやく時が動き出したかのように皆が動く。


「な、なんじゃ! その大剣は!」


 驚きの声を上げる老人。


「か、一馬さんが出したんですか!」


 キャルも同じく驚き、目を丸くする。


「一体ぃ、何処から出しのですかぁ?」


 と、リューナは驚いているのか不思議がっているのか分からぬ表情を向ける。

 そんなリューナへと一馬は顔を向けた。


「リューナ! この剣を――」

「すみません……私、剣の心得は……」


 一馬と言わんとした事を悟ったのか、リューナが困り顔でそう答えた。

 当然、一馬は目を丸くし、挙動がおかしくなる。


「えっ? げ、玄武! ど、どど、ど、どうするんだよ!」


 思わず一馬がそう声を上げると、巾着から光が溢れる。


『案ずるな。主。間違いなく、リューナ殿が自分の化身の適合者だ』


 静かな玄武の声が響き、キャルとリューナは目を丸くする。


「い、今のは……玄武様!」


 キャルが興奮気味に声を上げる。

 すると、リューナは訝しげに首を傾げた。


「え、えっとぉー……するとぉー、あの大剣は……玄武様の化身なんですかぁ?」


 相変わらずの間延びした言葉遣いのリューナは頬に右手を当てる。

 のんびりとしている時間は無いはずなのだが、リューナは困った様に眉を曲げ、目を細めていた。

 当然だ。リューナの見た目からして、あの大剣を抜けるとは思えない。あのか細い腕で本当に抜けるのか、と疑いたくなる。

 そんな中、玄武は静かに告げる。


『今は、口論をしている場合ではない。さぁ、リューナ殿』

「うーん……分かりましたぁー」


 間延びした声で返答したリューナは、渋々と大剣の前へと歩み寄る。

 そして、小さく息を漏らし大剣の柄へと手を伸ばした。

 リューナの手が柄へと触れると、その瞬間に床に刺さっていた刃が揺らぎゆっくりと傾いた。


「わわっ!」


 驚くリューナは柄を握り、思わず持ち上げる。

 すると、漆黒の刃の大剣は軽々と持ち上がり、同時に切っ先が支柱を残し二つに裂けた。


「えっ?」


 大剣を持ち上げたリューナは驚き、一馬とキャルもあんぐりと口を開ける。

 まさか、ここに来て――大剣・黒泉が壊れた――。そう考えた。

 だが、裂けた刃は重量感のある音を響かせ、鍔とぶつかり合うと僅かな機械音が流れる。

 その機械音は小さく誰の耳にも届かなかったが、柄を握るリューナにはその振動が伝わった。


(これは……)


 その形状にリューナは見覚えがあった。

 それは、まさしく――と、その時、リューナの持った柄が根元から折れ曲がり――。


「こ、これって、ボーガンじゃないですかぁー」


と、リューナは声を上げた。

 そう大剣・黒泉は、一瞬にしてボーガンへと変化を遂げていた。

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