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死神と○○  作者: 雪国
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死神と少女

◇◆◇◆◇◆



 本来、死神は神の名のもとに作成されたリストに従い魂の回収を行う。しかし現世の人間の数が増えすぎて、リストでは管理しきれなくなってきた今日この頃。生きた魂多過ぎ。そこで、ある死神はリストにない魂も狩ることにした。独断で。上司に内緒で。働き者な死神さん。


 人は、肉体が滅んだらその人の存在がなかったことになるわけじゃない。肉体に魂が宿る様に、その人が生きている間に積み重ねてきた家族や友人その他の人たちとの絆や思い出にも魂が宿る。その人の生が輝いたものであればあるほど魂の残滓は死後の後世にも生き続け、現世に生きる魂に様々な影響を与える。


 だから死神は、現世に影響をもたらさず、魂の残滓が残らない輝きの少ない魂の持ち主を殺すことにした。


 リストにある魂は自然に死ぬから魂を簡単に回収出来る。しかしリストにない名前の魂は自然死に見せ掛けて死神が殺さなければならない。まずは輝きのない魂のターゲットをみつけ、巧妙なプランを練る。名探偵でも違和感かんじないくらい自然な死を目指して。


 ある日、死神はひとりの少年に目を付けた。天涯孤独、身よりもなく施設育ち、友達が一人しかいない孤独な魂。これなら現世に影響も少ないだろう魂。さあ、さっそく狩ろうではないか。どうやって殺そうか。学校からの下校時。工事現場のクレーンの誤作動による鉄筋の落下。それによる頭部強打。よし、これだ!


 さっそく実行に移そうとする死神。だが、少年はいつも通るはずの工事現場をいっこうに通らない。なんで?仕方なく作戦を変更。しかしプランを練っても練っても失敗に終わる。まるで死神のプランが知られているかのように、ピンポイントで危険を回避する少年。これはおかしい。そんなとき、いつもターゲットの横にいる女の子と目が合った。え?君、僕様が見えてるの?ていうか、なんて目付きでこっちみてるの?コワイよ。サタン並の眼力だよ。え、誰かタスケテ。





 少女は幼少の時から死神が見えていた。たまに現れては鎌を振り下ろして消えていく黒い影。そいつが現れると誰かが死ぬ。死ぬ原因は様々だが死ぬ。だけど少女はそいつを見ても何も感じなかった。自分に関係ないやつが死ぬ。それが何だというのか。近所の口うるさいジジイが交通事故で死んだ。一人暮らしで近所の人と関わりをもっていなかった中年のおばさんが家の中で孤独死した。隣に住むキモオタクの男が感電死した。みんなみんな死神が何か細工をして死んでいった。人の死に何も感じない私。きっと感情のどこかが欠けているのだろう。両親も子供らしくない私を気味悪がって施設に捨てた。捨てられても私は何も感じなかった。両親が恋しいとさえ思わなかった。


 しかし、施設でひとりの少年に出会った。いつも皆の輪から離れている私の傍に張り付き、話しかけてくる彼。鬱陶しくて仕方なかったのに、いつの間にかその存在にほだされつるむようになった。彼は生まれてすぐ施設の前に捨てられた。両親の顔も分からない、生まれた瞬間から孤独な存在。同じように孤独な私だけど、私は孤独であることが苦ではない。しかし、彼は違う。彼は私に自分を重ね、自分も可哀想だけど自分以外にも可哀想な存在がいることで自分を慰め、強くあろうとしている。そんな弱い彼を、私は・・・愛しく思った。健気で、脆くて、人に寄り添わないと生きていけない彼。歪んだ思考だと思う。しかし、彼の存在が私の欠けた心を補うようになっていった。


 はじめは傷の舐め合いのような関係だった2人に、次第に本当の絆が生まれ、互いになくてはならない存在になる。


 だが、ある日、死神は最愛の存在である彼に目を付けた。いつの間にか彼の額についていたドクロマーク。こんなの許せるわけがない。他の誰が死んでもかまわないが、彼だけはダメだ。これまでなんとも思っていなかった死神に憎悪が湧く。


 必死に対策を考える。そしてこれまでのことを振り返り、死神の法則を見出だした。


 今にも死にそうな人の場合、ヤツはただその人のクビに鎌を振り下ろし魂を持っていく。だが、鎌を振り下ろしてもしばらく死なない人達がいた。その人は鎌で切られたら額にドクロマークがつく。そして何日かするとヤツは自らドクロマークの着いた人間を殺しにやってくる。道端にバナナの皮を置いたり、大木を積んだトラックに何か仕掛けたり、はたからみてるとマヌケな光景だったが、死神が見えない人はその仕掛けに引っ掛かり不運な事故にみえるかたちで死んだ。ドクロマークをつけらる人は社会との繋がりが薄い、独り身の場合が多い。そう、まさに私たちのような身寄りのない施設育ちなんてうってつけの獲物だろう。


 自然に死を迎える人にはどうやったって手が出せない。けど、死神が自らの手で殺す場合がほとんどのドクロマークの人間。これは死神の仕掛けを解除していけば助かるのでではないだろうか?また、社会的な地位を築き、人との関わりを増やしていけばターゲットから外れるのではないだろうか。


 まずは死神の仕掛けるトラップを回避していかなければ。私には死神が見えている。やつは私の目の前で堂々と仕掛けをしているのだから、こんなみえみえのトラップに引っかかることはないだろう。だが、何度も何度も幼稚な罠を仕掛ける死神がウザくてたまらない。ああ、私がヤツを殺してやりたい。死神を殺す方法はないのだろうか。



 彼がいなくては私の魂は光を失ってしまう。彼は私の光。その光を奪う死神。


 

 ああ、憎い、憎い、死神が憎い。絶対彼はお前に渡したりなんかしない。



 コメディーでシリアスでダークな話。死神VSヤンデレ少女。


 

 


 果たして、彼女たちの運命は?






◇◆◇◆◇◆

ネタ①の別バージョン。


ちょっといまいちな内容だけど思い浮かんだので一応UP

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