第一話 昔の話
初投稿です
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あぁ、ごめんよ心の中でそう思うのに声には出せない
僕を何度も引っ掻いて本当ごめん
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昔の話だ
ひりひりする、腹から口まで気持ち悪い
いつからだろう笑えなくなったのは
いつからだろう抵抗できなくなったのは
いつからだろう声すら出なくなったのは
──いつから
頭がよく回る、日常になったからか安心感すら覚えてしまう
トイレの個室で水をかけられ、転ばされ、蹴られ
──どうして...
絞るように高く細い声とても情けない
皆がいなくなると孤独感で泣き始める
嫌悪感のあるトイレの床から起き上がりたいと思っていたはずなのに
体を丸めるように動かして涙を流す
床の湿り気と、タイルの間に服が引っ張られるのが相まって触られているようで触られていないような不快感を感じる
少し時間をおいて起き上がる
帰る準備をするために感覚がなくなるほど蹴られた足を引きずって教室に向かう
夕日が廊下を照らす
そして痺れる腕を持ち上げて教室の戸に手をかける
僕を虐める集団は二組ある
クラスでも悪目立ちしている不良の三人組とクラスでまぁまぁ人気な二人組
後者の方は陰湿で不良三人組に呼びつけられて虐められている間に僕のカバンをハサミで切り机に落書きをする
――今日もいつも通り...
教室の戸を開けると鞄の形には見えない鞄が机の上にある
鞄を取りに近づくと机に書かれたたくさんの悪口が目に入る
せめて声が欲しい、机を通して吐かれる無言の暴言は孤独を感じさせ涙を流させる
いじめっ子たちは僕のことをよく知っている
「ママを心配させるなよ」四年前僕が小学五年生の頃事故で死んだ父の言葉
いじめが露見すれば母に連絡がいくだろう
だから毎日雑巾で机を拭くいじめっ子たちは落ちやすいようにわざわざ水性のペンを使って書いてくれている
雑巾で拭けばすぐ落ちる
でも手が進まない
なのに最後は結局拭いきってしまう
涙で視界がぼやける頭が締め付けられる
この二つの感情の押し合いだけでさっき殴られ蹴られした倍の苦しみだ
拭き終わったら鞄をしょって校舎から出る
さっきの葛藤のせいでもう日が沈んでいる
母を心配させないために痛む足に力を込めて駆け足で家に帰る
僕の家は十三階建てのマンションでエレベーターがない
九階目くらいになって足が動かしづらくなってきて
十階目に来て考える
──ここから落ちれば、楽になれるのかな...
階段の踊り場から体を外に乗り出して
つい言葉に出してしまうほど僕はそれを望んでいる
あの頃の僕は、僕の存在で何かが始まるのが怖いんだ
落書きを見過ごしたり、誰かの悪行を報告したり、全て投げ捨てたり
何か僕の何かのせいで何かが変わるのが''嫌''だ
そしてまた階段を昇っていきうちの玄関まで着く
母を心配させないように空元気を出して、痛む足を少しほぐして、心が落ち着いたと思ったら
玄関を開ける
「ただいま~」
声を出しながら家に入る
靴を脱ぎ鞄を下ろしていると、リビングからどたどた足音が聞こえてきた
「おかえり~!」
母だ、母はとてもマイペースで、自由人だ
「母さん、いつも言ってるでしょ?どたどた歩かないで下の人に迷惑だよ、それに声も、近所迷惑だ」
母は少ししょぼくれた様子で
「ごめんなさい、命ちゃん帰るの遅かったじゃない?」
「ちゃん付やめてよ、僕男だよ?それにもう中学生だ」
「はぁ、まだこんなにちっちゃいのに」
そういって僕の頭に手を置く
「やめてよ、僕162センチあるんだよ?そこまで差ないじゃん」
するとため息をついて、そういうことじゃないんですと言いたげな表情をしてリビングに戻った
母はとてもやさしい、料理は人一倍できるし、あんなのでも塾講師だから金稼ぎもいい
少し高いベッドを買ってもらったし、何かが欲しいと言えば早いうちに休日の予定を立ててくれる
とても子のことを思ってくれている
だからこれ以上を求めるのはやっぱり亡き父の遺言もあってできない
「母さん!もう晩飯できたー?」
「まだ~!」
「今日はおなか減ってないから僕の分いらないよ」
すると母は、さっきよりもしゅんとうつむいてしまう
「明日食べるからさ今から僕の分いらないってなったら母さん太っちゃうし弁当にしといてよ」
「わかった...」
殴られ蹴られされて喉に何も通りそうになかった
今日の晩飯はハンバーグとスパゲッティだった
──温かいうちに食べたかったな...
そう思いながら僕は眠りに就いた
、
、
、
───暗いぷかぷかしている
僕が隣を見ると何かがいた
赤色の何かだ泣いている
泣いてて
─あ、れ
つられ泣きだろうか
瞼の下がぬるい
久しぶりに夢の中だけど大声で泣けた
眩しい目を開けると
母がカーテンを開けていた
「おはよう命ちゃん!」
「おはよう」
「朝ご飯できてるからすぐ来てね」
そう言うと母は、やはりでかい足音を立てて部屋から出て行った
「うるせぇ...」
制服に着替えて鞄を玄関前に滑らして食卓に着く
すると少ないがハンバーグとスパゲッティがおいてある
しかもちゃんと温かい
「母さん弁当にしてって言ったのにいいの?」
「あ~それ?今日ちょっと早く起きちゃってやっぱり弁当だと冷たくなっちゃうでしょう?」
とてもおいしくて、温かい
「いってきまーす!」
鞄をしょって学校へ向かう
昨日の出来事なんてないように体が軽いスキップしたくなる気分だ
僕は走って学校に向かう大っ嫌いな学校にでもなぜか今日は酷いことが起きない気がした
そして僕は学校に着き教室に向かい教室の戸を開ける
そこから見た光景はいつも通りではなかった僕の机にクラスメイトのほぼ全員が集まっている
いろいろ騒いでいるがその中から一つ
「誰がこんなことを」
そう聞こえたその一瞬あの机に書かれた悪口の数々がまた頭をよぎる
人混みをかき分けて机に辿り着く
そこには、案の定机の端に二つ、死ねと消えろと書いてあった
終わる...?今までの地獄が終わるのか?
いや待てなんで消えてない昨日ちゃんと消したはずなのに
そう混乱しているうちにまた
「誰がやったのか知りたい」
一つ言葉が耳に入る
すると周りが、確かに、知りたいかも
そんなことを言いながらみんなが僕から離れている
人の隙間からガタガタと震えているいじめっ子たちが見える
終わる、指を指すだけそれだけでしかし腕が上がらない
いや待てと考えていた自分が腕を抑えるいじめっ子たちを凝視することしかできなかったその時
呼鈴が鳴った
みんな僕を何度か見ながら自分の席に向かっている
ガンと音を立てて鬼の形相をした先生が入ってくる
先生は教卓に持っているものすべてをたたきつけてこう怒鳴る
「いま、このクラスでとんでもないことが起きてます、自分から名乗り出なさい」
いじめっ子たち五人は、下を向きもう一つも動けなくなっている
それが五分くらいたったころだろうか
先生がいじめっ子たちの名前を羅列し職員室に来なさいとさっきの怒鳴り声の比べ物にならないで大きさで圧をかける
暴力を振るってきた三人組は絶望した顔で先生についていき、姑息な二人組は手を強くつかまれ引きずられて教室から消えていった
終わったあっさりと何もしていないのに
ここからどうすればいいんだ?
僕は硬直する
一日中何も考えられず時が過ぎてゆく
いじめっ子たちに謝られて
そこからずっと
ぼんやりとぼーっと
ぼーーーっと
そうして家に着く
今日は苦しい事が何もなかったから空元気を出すのを忘れてて
「ただいま..」
その瞬間はっとする
今度は元気な声で声を出そうとした瞬間
いつもの数倍大きな音でどたどたと
声を発することができぬうちに母に抱きしめられていた
泣きながら
「ごめん、ごめんね、気づいて、あげられなくて」
その言葉に僕は何も言えなかった
うれしさと罪悪感で泣くことも笑うこともできず
あるのは安心感に似た恐怖
しかし人の性はそう簡単には変わらないもののようだ
食卓に着こうとした瞬間玄関のチャイムが聞こえた
母が出ようとするが
「まって、僕が出るよ」
何かまずい予感がしたから
玄関に向かう、怖い...
戸に手を掛けて勇気を振り絞って開ける
そこには不気味なほどに笑顔ないじめっ子たちがいた
僕はその時気付いた、こいつらナイフを持っている
ナイフ以外にもとにかく殺傷性のある武器を持っている
母が出ていたら死んでいたかもしれない
「俺たちさ、謝りに来たんだ学校では、聞いてなさそうなくらい虚ろだったし」
こいつら嘘をついている声が震えていて気持ちが悪い
「なんか買って、詫びるからさ来てよ」
絶対に何かされてしまうだろう
ただ、きっとここで断ったら絶対に死ぬ
行っても死んでしまうかもしれない
「母さんちょっといってきまーす、すぐ、帰るから...」
「行ってらっしゃーい!」
怖い...ただ一心に震える体を落ち着かせてできるだけ機嫌を損ねぬように
付いていく
案の定
「痛い...痛い...痛い...」
これだから世界は
一瞬優しくしても最終的には貶めて
最悪だ
怒り狂っているのかいつもより強く殴られている
そのせいで今まで堪えていた声が出てしまう
殺されないだけましなのだろうか...
そんなことを考えていた時
肩を引っ張られ
その瞬間、時が止まった
──なにこれ...
左目に激痛が走る
左目に手を這わせてみると
長い何かが目に突き刺さっている
顔を上げるといじめっ子たちが後ずさりしているのが見える
──疲れた...
もうただ倒れることしかできなかった
後ずさりしたままいじめっ子たちはいなくなっていた
一人だ
「目、痛いなぁ、こんな目じゃ、帰れないなぁ、あぁ」
''世界なんて滅んでしまえばいいのに''
そのまま僕は眠りに就いた
硬い、でも心地いい硬さだ
目を覚ますとたくさんベットがある部屋にいた
起き上がると警官が寝そうになっている
「あの~、あの!」
大きな声で呼びかけると警官は飛び起きて
「お、おぅ、目が覚めたか部屋出るとおじさんに昨日何があったか話してくれないかな」
「え、あはい」
僕は昨日の出来事を話した学校から夜まで
ここからおかしかったんだと思う
「なるほど今となりの部屋でその五人組から話聞いてるからちょっと待っててね」
そういって警官は部屋から出て行った
今度こそ終わったのか?
もう不安でどうにかなりそうだ
「いっそのことあいつら死んでくれないかな」
その瞬間隣の部屋から轟音が響く
部屋から出て様子を見に行こうとすると、さっきの警官と目が合った
「何があったんです?」
そう聞くとため息をついてこんなことありえるのかと険しい顔で呟いた後こう続けられた
「いじめっ子たちは隕石に頭を貫かれて死にました」
あの時は異常なまでに頭が回った
吐き気がして気持ち悪かった
これはいじめっ子たちが死んだことについてでは一切ない
ただ昨日、何を望んだのか、昨日───
''世界なんて滅んでしまえばいいのに''
そして現在に至る
あぁ、ごめんよ
ここまで読んでくれてありがとうございます
これからの展開はすごく中二臭いものになってます
あとAIつかって誤字の修正と世界観をはっきりさせたりはしてます
以上初投稿でした




