30 ✴︎雪の日の無礼な客達
殺意は芽生えるが、まずはアンジェラの身の安全の確保が先だ。呼吸をして気を落ち着かせ、僕は玄関先にいる彼《﹅》らを呼んだ。
「———お願いします。」
「は、ミッシェル様!」
僕は、扉の向こうにいた複数人を呼ぶ。
————彼らは、密かに雇った裏組織の護衛達だ。腕が立つ。
それに裏仕事もやる。
数人がかりで家に入ってきた護衛達は、見事な連携で子爵を拘束。
「な、何だ貴様らは…!う、うぐああああ!」
呆気なく子爵は護衛に腕を捕られ、床に押し付けられた。
ミランダとジェシカも抵抗できないよう、その場で拘束された。護衛に指示して、簡単に戻ってこれない場所に置き去りにしてくるように指示する。
「三人とも、労働船に乗せてください。
船長に売りつけて。少なくとも三年は帰ってこれないはずです。」
最後まで子爵はクズだった———。
「な、何なんだ、こいつら!あ、待て!アンジェラ!アンジェラ!!我々を助けてくれ!!
一緒に住もう、この家で!!アンジェラ!!」
扉が閉まる。ようやく静かになった。
しかし振り返るとアンジェラが震えていた。
「もう大丈夫だよ、アンジェラ。怖かったね。無礼な客は皆、追い出した。
心配しなくていい。もう————君を脅かす者は二度とここには現れない。」
「……誰だったの?少なくとも三人はいたでしょう?」
「……泥棒、だよ。」
アンジェラに教える必要はない。あんな下衆い人間達が訪問したことなんか。
それに、今回は簡単に戻ってこれない場所に追いやっただけだ。充分甘い方だろう。
けれど本音では全員、この雪の中で、凍死してしまえばいいのにと思った。
「泥棒………?」
アンジェラは絶対に違うという顔をしていた。
けれど、ごめんね。アンジェラ。
僕は今夜のことは、君に永遠に話さないでおくよ。
これ以上君に嫌われたら、耐えられる自信がないからね。




