25.✴︎胡散臭い魔法使い
ネックレスを店主から買い戻した僕は、急いでアンジェラが住んでいるという家へと向かった。
アンジェラの生家。彼女が生まれたという小さな家。
間違いなく彼女の気配がする、どこか温かい雰囲気の。
だが入れ違いがあったようで、近所の人が言うには、アンジェラは商業が発展した、大きな隣町に出かけているのだという。
「急いで向かってくれ!」
ろくに休息も取ってない御者に、また無理なお願いをして、町へと馬車を走らせた。
だが結局そこでも入れ違いだったらしく、アンジェラはすでに町を出た後だった。
そんな事とは知らずに、僕は数日かけて目撃情報を頼りにアンジェラを探し続けた。
「売買魔法店……?」
不思議な、魔法使いの絵飾りマークがついた店にふらりと立ち寄った。
「いらっしゃいませ〜!時間売買魔法店へようこそ!」
そこで僕はこの魔法使い————
ガスパルと出逢った。
胡散臭い自称魔法使いだったが、アンジェラがこの店に何をしに来たのか尋ねると。
「ふん!お前なんかに、アンジェラの目的を教えるはずがないだろう!」
ひどくガスパルはご立腹だった。
やはりジェシカとの事を誤解されていた。
「病気のアンジェラを捨てて、意地悪な妹と浮気しやがって!帰れ帰れ!」
とにかくガスパルは頑なにアンジェラの味方だった。悪い奴ではないのだろう。
「それは誤解なんです。僕が愛しているのはアンジェラだけなんです。
お願いだから、アンジェラが、ここに何をしにきたのか教えて頂けませんか。」
「………」
今度は無言で攻撃される。だが、僕は怯まなかった。
「それなら質問を変えます。
あなたは魔法使いなんですよね?
あなたには、アンジェラの病気を治す事はできないんですか?
そういった契約はできないのでしょうか?」
「…無理だな!いくら魔法使いでも、出来る事と出来ない事があるんだよ!
もしあったとしても、相当な対価が必要なんだよ!俺だって、できるならアンジェラの病気を治してやりたいけどさ!」
優しい奴なのだ。同じようにアンジェラを案じてくれているのが伝わってくる。
「対価とは?頼みます。ガスパルさん。
彼女を失いたくないんです。」
「ふん!本当にアンジェラを愛しているというのなら、証明してみろよ。
————お前は、彼女のために一体何ができるんだ?
もうすぐ死に逝くアンジェラのために、命を賭けられるのか?」
鋭いガスパルの眼差しが、僕を問い詰める。試しているんだ、僕の愛が本物かどうか。
「もちろんです……!
僕はアンジェラのためなら、自分の命だって捧げられます!」
それが僕の本音。
アンジェラのいないこれまでの日々は、ずっと地獄のようだった。
彼女がいない世界なんて———。
もしも僕の命と引き換えに、アンジェラが助かるのなら、それで構わない。僕の人生はアンジェラに捧げると決めていたんだから。
「……本気か?」
「はい。そう言っているでしょう。
僕はアンジェラを愛していると!」
「言ったな……?
いいか。その言葉に二言はないよな?
それなら今からいう事をよく聞け———
アンジェラを救うには . . . . . . . . . . . . . 」




