表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/53

16.✴︎君がいなくなった日



 ✁┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 アンジェラ。君がいなくなってから、僕の心は空っぽになってしまった。


 あの日せっかく君に会いに行ったのに。

 君の病と余命宣告を聞かされてショックを受けていた時に、同じ応接間にいたジェシカから、突然抱きしめられてしまったんだ。

 君が、医者からの詳しい説明を受けに行っている間に。


 引き離そうとしたけれど、ジェシカはー。

 

 「お姉様の事がショックで、悲しくて……!

 ミッシェル様!どうか家族として、私を抱きしめて下さい…!」


 彼女は僕に縋りつき、震えて涙を流した。

 あの時は僕も混乱していたし、だから仕方なくジェシカをハグした。

 だが抱きしめたら抱きしめたで、ジェシカはとんでもない事を口にして————


 「お姉様はもう長く生きられません!

 だから、彼女との結婚を諦めて、どうか私と結婚してください、ミッシェル様……!」


 この異母妹は、本当に——————!!


 ジェシカを引き離そうとした直後、まさかその現場を君に見られたうえに、逃げられてしまうなんて。

 追いかけようとする僕の背後からまたジェシカが抱きつき、行く手を阻んだ。


 「行かないで下さい……ミッシェル様!

 どうせお姉様は死ぬのに!

 あなたほどの高貴な人が、どうして……!」


 「ジェシカ。君は本当に最低な人だ。

 姉の病気に同情するフリをして、僕に結婚を迫るとはな。

 金輪際。僕に近づかないでくれ。

 例えアンジェラが余命わずかだとしても、僕は彼女以外の人と結婚する気はない。」

 

 これまではアンジェラの異母妹だからと、あまり露骨に嫌わないようにしていた。

 でも、もうそんな体裁はどうでもいい。

 自分でもよく分かるくらい、この上なく冷え切った眼差しをジェシカに向け、その足でアンジェラを追いかけた。

 だが広い屋敷で彼女を見失ってしまった。


 「ミッシェル様。アンジェラは今、あなたに会いたくないそうですわ。

 あの子もショックを受けているようで…」


 騒ぎを聞きつけたミランダ夫人が、心底困ったように対応した。

 アンジェラが僕に会うのを拒絶していると。


 「わかりました。今日のところはこれで……ですが、彼女が心配です。

 どうか、アンジェラに伝言を頼みます。

 明日改めて会いに来るからと。」


 ———アンジェラ。ごめん。

 

 絶対に君を傷つけたはずだ。

 いくら同情だとしても、君をずっと虐めていたジェシカを抱きしめた自分を呪い殺したい。


 今誰よりも辛い思いをしているのは、君なのに。

 不治の病に侵されて、あと半年の余命宣告を受けたんだ。


 謝りたい。心底君に。僕が愛してるのは君だけだよと言って安心させたい。

 

 僕が結婚したいのはこの世で君だけだし、君がこの世から去るのだけは絶対に嫌だ。

 だから僕は君を病から救う方法を、必ず探し出す。

 だから、どうかそばに居させて。

 

 なのに君はあの日を最後に、僕の前から姿を消した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ