第一話:転移
頑張れたらいいなァ。
土曜日に学校があっていいのだろうか?いいや、良くない。(反語)
「おはよー京ー」
何を隠そうここ、私立扇水高校では土曜に授業があるのだ。だっる。
「おーいー」
外からは蝉の声が聞こえる。もう7月。夏休みが待ち遠しい今日このごろである。
「聞いてる〜?」
さて、藪から棒に悪いが、我ながら自分は頭が良い方だと思っている。誰かが病気だとか何とか言っていたのは過大評価だと思うが。人の個性を病気言いおって。
「お〜い」
で、朝のこの時間、俺に誰も話しかけてこないのはこの俺が孤高の存在であるからであって、、、
いや、うん。すまん嘘ついた。俺がオタクだからです。悪かったな!
「べしっ」
痛っ。
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時は変わってお昼時。let'sgo非常階段。
「京〜一緒に食べよー」
「やだ。あと今日の飯はパン代けちったからおいしい棒だ。人に見せられるようなものじゃないぞ?」
「京って頭良いのにそういうとこ頭悪いよね。言っちゃってるし」
「アインシュタインだって忘れ物をしただろうし似たようなもんだ。コンポタ食うか?」
「それは方向性が違うような、、、あ、コンポタ頂戴。」
こいつは小城 加奈。幼馴染だ。かつてあの計算能力を知っても変わらず接してきてくれたのには感謝している。それだけで人間関係が壊れるわけ無いじゃんと思うだろ?俺がやらかしたんだ。
まあこの話は長いしいつかな。、、、俺何言ってんだろ。
「なんだかんだ言って一緒に食べてくれるよね。京。」
「周りの視線が痛いんですがそれは」
「ふっ、、、有象無象の発言など気にするな、、、」
「何だこいつ」
こいつ見てくれはいいからな。
そんな当たり障りのない会話をしていると教室内が光り始めた。校長先生の頭か?そうなのか?
なんて馬鹿なことを考えているうちに意識が沈んでいった。え、マジde、、、
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目を開けると知らない天井だった。
ここは何処だ?普通に考えると病院だが、木製の古民家のような天井を見る限りそうとは思えない。
周りには数台のベットがあり、少し前まで人が居たように思える。
使われている木材は、、、スギ科がほとんどか?製材の跡がなく職人のものだと思うが、そうするとますます訳がわからない。湿度、気温は日本っぽいが、、、
そんな事を考えていると、シスターの格好をした女性が入ってきた。え、なにこれ。
「起きられたのですね、勇者様。どうぞこちらへ。」
こ、これは異世界転生というやつでは?いや、待て、俺の読んだネット小説には奴隷になるパターンとか、、、ってそうじゃなくて、落ち着け、落ち着くんだ俺!
そわそわしながらシスターさんに着いていくと、宴会場のような場所に出た。既にクラスメイトたちは席に座っているようだ。何人かは呆然と立っていたり、(恐らく暫定異世界に来たことの)喜びで跳ねていたりするが。
俺が席につくと、小城が駆け寄ってくる。
「京起きたんだ。良かった。このまま起きなかったらどうしようかと、、、」
泣きそうな顔で小城が話す。
「人を勝手に殺すな。他人が起きている中で俺一人起きないわけ無いだろうに。」
「そうだけど、、、」
「まあ、お前のそういうとこいいと思うけどな」
「、、、ありがと」
頬をうっすらと朱に染め、そっぽを向いた小城が言う。ほんと、小動物みたいだ。
、、、周りの視線が痛い。
「異界より来られた勇者様方、どうかこの世界を助けていただけませんか?」
その声にクラスメイトたちが振り向くと、まさに教皇というような人物が壇上に立っていた。
短っ。(我ながら)