死の永遠
『I love you』
湖上と月下のウエディング。未来に生きる二人は愛を誓う。
フクロウは果肉滴るザクロを喰わえ、コウモリは漆黒の闇と踊る。
彩るいくつもの赤い光。
土からのぼる赤い光よ、朝が来るまで二人を悲しく照らしておくれ。
生涯で一度のパーティー。
血の通わぬ二人のために、フクロウは歌を奏で、コウモリは肉をあさる。それは二人への贈り物。
最後の夜のはなむけに燦然と輝く青白き月よ、朝が来るまで辺りを哀しく照らしておくれ。
波立たぬ湖の黒い参列者たち。穴の開いた瞳でじっと見つめる。
死屍の肉体は毎夜蘇り、ひとつの愛を見届け満たされていく。参列者たちは愛の証人。
生前の『ムーンライト・ソナタ』弾くことのできない腐った指は、かつてまで流れた血に染まる。生け贄のものとも知らずに。
野生の瞳。二人を祝福するのなら、森の獣たちよ、朝が来るまで悲哀を込めて照らしておくれ。
夜明けまでのカウントダウンが始まる。声の出ない唇をただただ動かす。
『I will love you forever』
昨日も今日も明日も。二人は気づかぬままに今夜もまた永久の愛を誓う。
死者の世界は毎夜繰り返され、ときに華やかに美しく幕を閉じる。
Fin.
Thank You!