「先輩、いつもすごいなと思ってました。」
ことの始まりは、昼休み。
授業が終わってふとスマホを見てみると、好きな配信者さんが配信を開始していた。それを見てすかさずクラスの友達に用事があると告げ、人があまり寄り付かない校舎裏でお弁当を食べつつ配信を聞いていた。前から何度かここで配信を聴きながらお弁当を食べているが誰とも会ったことはない。少し薄暗くてジメジメしているが、何より落ち着く時間で何気に私は気に入っていた。
________だから、私は少し油断してしまっていた。
イヤホンをしていて足音に気づかなかった。好きな配信者さんの言葉を聴き逃したくなくてそちらにばかり意識を向けていた。だから……
「藤堂先輩。ここでいつもご飯食べてるんですか?」
突然声をかけられたことに驚いて思わず肩をビクッとさせてしまった。それと同時に反射的に顔を上げると、誰だか知らないがやたらと顔の整ったイケメンが私を見下ろしていた。なんだろう、別に私はなんら悪いことをしていないのに冷や汗がやばいのだが。いや、理由はわかっている配信を聴いていた無防備な状態で話し掛けられて内心驚きを隠せないのだ。
「あの、藤堂先輩?聞こえてます?」
「え、あ、聞こえてるよ。ごめんね、ちょっとびっくりしちゃって。」