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16話 「別人」

「優助~。お前なんかおかしくないか?」

「え、何が?」


練習中に同級生の牧野が話しかけていた。

なんのことかわからない俺は頭の上に「?」が浮かんだ。


「何って動きがだよ。いくら休んでいるのが長かったからって自然すぎないか?」

「あ、ああ。でもすぐに直すから安心してくれ。」


感覚だけなら数年間はまともに剣道をしてなかったんだ。

誰だってなまってしまうのはしょうがない。


だが、俺の場合はあちらの世界の剣術を習っていたせいで正直違和感がありすぎる。

試合までの短い期間にある程度修正しなければならない。


これではいい笑いものだ。

俺は無我夢中で竹刀を振り続けた。


そして試合の日。

俺は団体メンバーの座をかけて部員と勝負をした。


一回でも負けたらその時点で俺は団体メンバーには入れない。

しかもこっちは結構なブランクがある。


正直大会よりも緊張感があった。

しかし、勝負はすんなり決着がついた。


結果からいうと俺は全員に勝った。

つまり団体メンバーに入ったのだ。


相手に一本も取られず圧勝する俺に顧問や慎太郎までもが驚いていた。

もちろん勝てたのは自分でも驚いているが、みんなは勝ち負けで驚いているわけではなかった。


「おい、高山。お前どうした、、、。」

「そうだよ、優助。僕びっくりだよ。」


顧問と慎太郎が信じられないという顔で俺を見ている。

そんなに驚かなくてもいいのに、、、。


「俺が勝ったのにびっくりしすぎじゃない?」

「違うよ!動きが別人みたいだよ!」


慎太郎が肩を掴んで前後に揺らす。


「い、いや。だって最近まで動いてなかったからちゃんと練習したし、、、。」

「だとしても事故に遭う前よりもよくなってるってこと!」


そりゃ一生懸命に練習したけど自分自身では昔ほど直ってないと感じていた。

しかし、直っているどころか強くなっていた。


「これなら本番も安心して任せられるな。」

「は、はあ。」


あまりにも実感がないせいで正直納得できない。

これではもやもやしたままだ。


試合も終わり、一度休憩に入ると戦った部員が俺に駆け寄ってきた。

素直に負けを認めたため、険悪ムードにならずに済んだのは良かった。


「なあ。お前、どんな練習をしたんだ?」

「え、別に普段の練習を多めにやってただけだけど、、、。」


俺は試合までにやっていた練習を言うと一人の部員が首をかしげた。


「動きもそうなんだけど、それよりもオーラっていうか雰囲気が怖かったような、、、。」

「ああ!そうそう!殺意みたいな感じですっごくピリピリしてたぞ。」


殺意って、、、。

多分それはあっちで命がけの戦いをしていたせいだろう。


「俺らがバカにしてたのを怒っていたんだろ?ろ?本当にすまんな。」

「全然そんなことないって。むしろあんたたちのおかげで感覚を取り戻せたからよかったよ。」


さすがに本当のことは言えない。

言ったらそれこそ本気で馬鹿にされるだろう。


こうして無事部活の勝負も終わりやっと一息つける。

そう思っていたが俺はあることを忘れていた。


俺、コスプレするんだった、、、。

これが一番大変じゃないか。


こうして本格的に学園祭に向けて俺たちのクラスは動き出した。

学生の一大イベント。


どうせなら思いっきり楽しんでやる!!



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