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11話 「公園」

「はあ、なんで俺がお菓子の材料なんか買いに行かないとなんだよ。」


放課後になり、俺は慎太郎に頼まれた物を買いにスーパーに来ていた。

メールで送られたものを探し、とりあえず一通り買い終えた。


「牛乳二本と、、、。これで最後かな。」


俺はかごいっぱいに入ったお菓子の材料らしきものをレジへ持っていき、お金を払う。

男子高校生がこんなの買って変に思われないだろうか。


「ちょうどお預かりします。レシートです。ありがとうございましたー。」


会計を済ませ店を出る。

あとは慎太郎の部活が終わるのを待つだけだ。


家に着き、いくつかの材料は冷蔵庫に入れ自分の部屋に戻る。

連絡が来るまで部屋でじっとしていよう。




俺は携帯の着信音で目が覚める。

慎太郎からのメールだった。


「やば、俺寝てたのか、、、。」


俺はすぐに返信し、買ってきた材料を持って家を出る。

母親には事前に言っておいたので心配はない。


「さすがに夜練後だと真っ暗だな。」


まだ九月だが外は少し肌寒い。

目的地までは自転車で十分くらいなのでさっき学校を出た慎太郎とはちょうど家の前くらいで鉢合わせることになるだろう。


「自転車なんて久しぶりだな。」


俺はあらかじめ慎太郎の家を携帯でチェックしており、迷子になることはないだろう。

学校までの道すら忘れていたんだ、何回も行ったことのない友達の家なんて覚えているわけがない。


慎太郎には少し怪しがられたがそこはなんとかうまくごまかした。

にしてもほんと寒いな、、、。


自転車に乗っているため風邪がいつもより何割か増しで肌に当たる。

これならもう一枚服を着てくればよかった。


「ちょっと遅れてもいいよな、、、。」


Tシャツ一枚で出かけてきたせいで思ったよりも体力が奪われる。

それを感じた俺は近くの公園の自販機でコーヒーを買った。


すると少し遠くで誰かが言い争いをしているのが見えた。

暗くてよく見えないが時間も遅かったため気になった俺は静かに近寄る。


ぼんやりと人影が見えるくらいに近寄ると、そこには俺と同じ学校の制服を着た女子高生とスーツを着た中年の男がいた。


「なかなかやばい状況じゃないか?」


どうやら男は女子高生をナンパしているようだった。

嫌がっているのにも関わらずなかなかのしつこさ。


これはさすがに見逃せないと思った俺は二人の前に現れる。


「おい、おっさん。警察に捕まりたいのか?」

「な、なんだっ、ガキには関係ないだろっ!どっか行け!」


男は動揺はしているもののその場から離れようとしない。

俺はポケットに入っていた携帯を取り出し画面を照らして男に見せる。


「じゃあおまわりさん呼ぶからそこでじっとしてろよ。」

「なっ!お前生意気なことするんじゃねえ。」


男は女子を連れて逃げようとする。

突然腕を掴まれた女子は声をあげる。


「いやっ、離してよ!」

「うるさいっ、黙ってついてこい!」


「お、おい!ちょっと待て!逃がすかよ。」


俺は手に持っていたさっき飲み干した空き缶を男に向かって投げる。

空き缶はたまたま男の頭に当たり、驚いたのか女子から手を離す。


「おいガキ!なめたことしてんじゃねえよ!」

「それはこっちのセリフだよ。」


男は怒ったのか持っていた傘を俺に向かって振り下ろす。

周りの暗さに少し反応が遅れた俺の肩に傘が当たる。


「痛っ、あんたやってくれたな、、、。」


俺は近くにあった木の棒を持ち、構える。

自然と構え方があっちで習った剣術のようになってしまった。


「手加減しねーからな。おっさん。」

「なんだその構え方は、まるで勇者にでもなったつもりかっ。」


男は笑って傘を構える。

あれは剣道と同じか、、、。


「なんだおっさん、ナンパなんかしてるくせに剣道やってたのかよ。」

「今でも現役だぞ。お前みたいなガキに負けるかよ。」


俺は男の隙をついて背後に回る。

男は動きについていけず振り向こうとした瞬間、


「なっ、」

「あんたが遅すぎるだけだよっ」


持っていた木の棒を振り下ろす。

木の先は目の前で止め、男は腰を抜かしてその場にしりもちをつく。


「俺とあんたじゃ経験値の差がちげーよ。捕まりたくなかったら今すぐ消えな。」


男はすぐに立ち上がりその場から逃げるように走り出した。

これで一件落着かな。


俺はホッとし木の棒をその場に投げ捨てる。

そして自分が慎太郎の家に行かなければいけないことを思い出し、すぐに自転車に戻って全力で目的地に向かう。


「やばい、やばい。慎太郎に怒られるっ!あ、そういえばあの女子のこと忘れてた。」


「まあいいか」と思い、無我夢中で自転車を漕ぐといつの間にか慎太郎の家の前に着いていた。

俺は自転車を止めて、かごに入っていた材料の入ってる袋を手に取り玄関に向かう。


「やっと着いた、、、。」


俺は息を切らしながらインターホンを押す。

自宅を出てからすでに二十五分が経過していた。
























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