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10話 「担当」

「それじゃあこれより作戦会議を始めるわ。」


朝、前に出た係の女子が教壇に立ち、周りを見渡す。

もちろんその中に俺もいる。


「勝負の日は来週の土曜日でコスプレとお菓子の二つで競うわ。とりあえずコスプレの担当を先に決めましょう。」

「それなら私たちがやるわ。」


手をあげたのは始業式当日の放課後に集まっていた女子五人組だった。

裁縫が得意らしくすぐに決まった。


「それじゃあだれがコスプレするかが問題ね。あっちには趣味でコスプレをしている人がそのまま出てくると思うわ。誰かしたい人はいる?」


これに関しては誰も手を挙げない。

そりゃクラスの命運がかかっているんだ。責任を負いたくないんだろう。


「新島君が良いと思うわ。」


そう言ったのは衣装担当の女子だった。

賢也はあまりのことに立ち上がる。


「お、俺は絶対に嫌だぞ!他の人にしてくれ!」


賢也は相当嫌がっているようだ。

まあ無理もないが。


「でも新島君って三組の中じゃ背が高いし、他の背の高い人よりも細身だから絶対にコスプレしたときに映えると思うの。お願い!このままじゃ私たち負けちゃうわよ!」

「くっ、、、。そこまで言うならしょうがない。クラスのためだ。」


結局賢也の方が折れてしまいモデルは賢也が担当することになった。

隣に座っていた慎太郎が横目で賢也を見ながら笑う。


「やっぱり断らないんじゃなくて断れないじゃん。」

「う、うるさいっ!これは学級委員としてみんなのためを思って引き受けたんだ!というかそういうお前は部活に行かなくていいのか!?」


そういえば剣道部は二週間後に大会があるはずだ。

もちろん俺は出られないがな。しかし、慎太郎は大会メンバーに入っているためこんなところで油を売っている場合ではないだろう。


「ちゃんと顧問に許可取って遅刻します、って言ってきたもん。それにこんなおもしろそうなの参加しないわけにはいかないでしょ。」

「ったく。慎太郎はたまーにSな部分が出るよな。」


慎太郎と賢也が言い合いをしている間、買い出し班や集まる時間など細かい調整をしていた。

そして係の女子が再びみんなの視線を注目させる。


「それじゃあ、コスプレの方は大体決まったから次はお菓子作りね。誰か得意な人はいる?」

「はーい。それ僕がする。」


真っ先に手を挙げたのは慎太郎だった。

俺と賢也以外のクラスメイトはみんな驚いた顔で慎太郎に目を向ける。


「慎太郎君、大会近いのにいいの?それにお菓子作れるの?」

「うん、たまーに趣味で作ってるから大丈夫だよ。それに家に帰ってからでも全然余裕あるから僕一人で十分。みんなは賢也のコスプレ頑張ってよ。」


あまりにも自信がある慎太郎に圧されたのかお菓子担当は一瞬で決まった。

とりあえず俺は何もしなくて済みそうだ。と思っていたが。


「優助、買い出しお願いね。とりあえず今日部活終わったら連絡するからそしたらうち来て。それまでに材料買ってきてよ。」

「え。ちょっと待ってくれなんで俺が、、、。」


慎太郎が今までにないくらいの饒舌で話し始める。

断ろうとしても何かただならぬオーラを感じる。


「僕だって大会近いから夜錬もあるし、買い物行く余裕もないからさ。それに一年からレギュラーだった誰かさんが夏休みに事故に遭って大会にも出られないっていう問題が発生してて顧問も焦っているんだよね。わかってくれるかな?」

「は、はい、、、。すみませんでした。」


慎太郎は笑顔でうなずく。


「うん。よろしく頼むよ。その誰かさんっ。」


あれ?慎太郎ってこんなにドSだったっけ?

よっぽど俺が大会に出られないのを怒ってるのか。いや、多分面白がっているだけなのだろう。


助けを求めようと賢也の方を向くが「あきらめろ」という顔をしていて二人で同時にため息を漏らす。

このなかで俺ら二人だけが暗い顔をしていた。


こうして無事作戦会議は終わり各々の仕事に取り掛かった。

しかし、さっそく問題が発生してしまった。


本堂から「勝負の日は今週の土曜日に変更になった」と連絡が来た。

おいおい。まじかよ、、、。





勝負の日まで残り三日となった。



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