9話 「勝負」
俺はメールで本堂に朝早く俺の家の前に来い。と連絡した。
そして朝になり約束の時間に家を出ると本堂がチャリに乗って俺のことを待っていた。
「ちゃんと起きれたんだな。」
「これでも全力でとばしてきたけどな。」
本堂は少し息切れをしている。
まあ、とりあえず話を聞かないと。
「で、結局あのあとどうなったんだ?」
「そりゃ大変なことになりましたよ。」
本堂はチャリをおりて二人で歩いて学校へと向かう。
まさか二日連続で早起きする羽目になるとは。
「俺たち一組とお前たち三組で学園祭の出し物をかけて勝負。コスプレだけだったら良かったんだけどな。」
「まだ何かあるのか?」
本堂は頭をかきながら話を続ける。
「コスプレカフェだからお菓子でも競うっていうんだよ。」
「まじかよ。それでいつまでに準備しないとなんだ?」
「一ヶ月もすれば本番だろ?ギリギリになって出し物が変わるのは大変だから来週の土曜日だってさ。」
「ら、来週か。」
思ったよりすぐ来てしまいそうだ。
だが、俺には何にもできないしな、、、。
「クラスのやつらがその勝負に乗らなかったらどうするんだよ。」
「それはそれで平和的解決になるんじゃねえか?あくまでも係のやつが言い出したからな。」
本堂はまるで他人事のように答える。
お前もその係じゃないか。
「とりあえず俺のクラスが仕掛けた勝負じゃないからどうなるか、、。」
「じゃあ、一組が譲ってくれよ。な、本堂。」
俺は手を合わせて本堂にお願いする。
本堂はハンドルを握っていた右手を離し左右に振る。
「無理無理。だって俺のクラスガチのコスプレイヤーがいるもん。むしろ譲ってもらいたいくらいだよ。」
「おいおい。それじゃあ勝ち目がないぞ。」
俺の額からは汗が流れる。
それは反則じゃないのか、、、。
「ま、というわけで優助が説得してくれよ。」
「結局俺任せかよ、、、。」
こうして学校に着いた俺は今の時間を確認する。
話しながら来たおかげでちょうどいい時間になっていた。
「それじゃ、頼むぞ、俺結構コスプレイヤーの本気を楽しみにしてるからな。」
「はあ。本堂は気楽でいいよな。」
本堂とは教室の前で別れ俺は自分のクラスへと向かう。
どうしようか。クラスのみんなの戦う気がなければいいんだけどな。
俺は教室に入り、恐る恐る自分の席に着く。
まだ、学園祭の話はしてないようだ。
そして朝のホームルールの時間になり担任が話をする。
「じゃあ、俺からの連絡は以上だ。そういえば昨日学園祭の会議があったようだな。係のやつは説明してくれ。」
きたっ!お願いだみんな違うのにしようと言ってくれ、、、。
係の女子が前に出て勝負のことを力強く説明する。
「というわけで、みんな!協力してくれるわねっ!」
場は一瞬静まり返る。
あれ?これはワンチャン、、、と思ったその時。
「よっしゃー!やってやるぜ!」
「一組のやつらに譲ってたまるかよ!」
「新島君のコスプレ姿のためなら!」
やる気満々だった、、、。
もうこうなったら俺では止めることはできない。本堂、すまない。
「じゃあ今日の放課後、作戦会議をするから大会が近い人以外は集まること!!」
こうして俺ら三組とガチのコスプレイヤーがいる一組で正式に出し物をかけて勝負することになった。
まさか、思いがけない奴が活躍するとは、、、。