プロローグ:無事魔王を倒したので元の世界に(強制的に)戻ってきました。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
思いっきり振り下げた剣が魔王の頭に直撃した。
魔王はその場にうつぶせになって倒れる。
光ながら消えていく体を眺めながら、握りしめていた剣を鞘におさめる。
「やっと。やっと終わった、、、。」
意識が朦朧としながらも今までの戦いを振り返る。
この世界に転生して、急に「勇者になって魔王を倒せ」と言われてから何年経ったのだろう。
最初は嫌々だったこの旅も気が付けば魔王を倒すまでに必死になっていた。
倒れていた体が完全に消滅したとき、目の前に一人の少女が現れた。
「これで全部終わったのか?」
数年ぶりに会ったはずなのに頭はしっかりと覚えていたようだ。
「ええ、これであなたの冒険はおしまいよ。」
「そうか、それなら俺はこのあとどうすればいい、、、。」
そういえば魔王を倒した後のことは聞いていなかった。
このまま伝説の勇者として余生を過ごすのもいいな。
「あれ?言っていませんでした?」
不思議そうな顔をしてこちらに手を差し出す。
「あなたを元の世界に戻します。」
あまりにも急な言葉に呆気にとられる。
「え、この世界で暮らし続けられないのか!?」
大声で少女に向かって問う。
少女はトーンを変えずに話を続ける。
「そもそも異世界の人間を無理矢理転生してきたのです。期間限定の冒険でしたのでこれ以上あなたをこの世界においておくことはできません。」
何を言っているのか理解できなかった。
「嘘だろ!俺はこの世界で生きていきたいんだけど!!」
ちやほやされてリア充生活を送る完璧な計画が、、、。
少女は俺に向かって手を伸ばした。
徐々に体が光始める。
「今までお疲れ様でした。」
え、本当に戻るの。まじで。
「ちょっと待ってぇぇぇぇぇ!」
俺の言葉とは裏腹に意識は少しずつなくなっていく。
「さらば。俺のリア充生活。」
次に目を覚ました時、俺は病院にいた。