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終章  その3



「うわっ⁉ なんやねんいきなり」


 変身するのかと思ったが、どうやらいつもと様子

が違う。


 何かトンでもないことが起きそうな気がする。俺

は助けを求めようと手を伸ばし、なんとかロキの足

首を掴んだ。


 その瞬間、ファムとニケは変身する時と同じぐら

い眩しい閃光を全身から放った。更にほぼ同時にロ

キも、二人の異変に連動するように全身から強烈な

光を発し、俺たち四人は光に包み込まれる。


 何がどうなったのかは理解不能だが、嫌な予感し

かしねぇぇぇぇ‼


 光で視界が奪われたのはほんの数秒で、その光は

すぐに粒子となり、打ち上げ花火が夜空に大輪の花

を咲かせるように弾けて消滅した。


「えっ⁉ おいおい……ここはどこやねん」


 今まで家に居たはずなんだが、何故か俺たちはそ

のままの体勢で、どこだか知れぬ建物内に移動して

いる。


 そこは巨大なビルの中という感じで、今は通路に

居た。でもよく見れば、なんか見覚えがある場所の

気がする。


「ど、どうなってんだ? ロキ、お前なら何が起こ

ったか分かるか?」


「これは……瞬間移動したようだな。恐らくファム

とニケが極度にアルコールを摂取したことで、潜在

していた何かしらの特殊能力が、一時的に覚醒した

んだろう。その力に俺の体も影響を受けて、三つの

能力が一つとなり発動した。というところか」


「あるの、そんなことって? まあお前らは何でも

ありか」


 もう呆れるしかねぇよな。因みにこの時、特殊な

力を発動させたファムとニケは、疲れたのか酔って

るからか分からないが、能天気に眠っていた。


 とにかく驚いてる暇はない。このままじゃまずい

でしょ。全裸の女を外で連れてたら、マジ人生終わ

っちまう。俺はフルオープンな変態だが、変質者じ

ゃないんだよ。なんとかせねば。


「んっ……この場所は……」


「ロキ、ここがどこか分かんのか?」


「あぁ、間違いなく、ここはアルドゥランのペット

ショップ、つまり宇宙船の中だ」


「マジで⁉ 言われてみればそんな感じやな」


 なんの因果かまた宇宙船に来てしまった。でも場

所が分かったからってなにもできん。


「見つかったら面倒やし、どっか隠れられるところ

はないの?」


 こびり付いて剥がれないシールのように、まだ俺

にべったりと抱きついているファムとニケを引き離

しながら言った。


「ここに部屋があるぞ」


 ロキは他人事のように軽い口調で言うと、正面に

あるドアに近付き、その横の壁にあるタブレットみ

たいなモニターパネルに手の平を当て、恐らく指紋

認証でロックを解除しドアを開けた。


 流石ロキさん、ここに住んでただけはある、頼り

になるぜ。なんといっても、こいつが味方なら、完

全に無敵モードですからね。まあ味方ならだけど。


 俺はファムをお姫様抱っこで持ち上げ、ニケはロ

キに任せて正面の部屋へと入った。


 そこは部屋という感じではなく、四十坪ぐらいあ

りそうな奥行きの広い通路みたいで、奥の壁にまた

ドアがある。っていうか、ここは御坊家なみにスペ

ース無駄遣いやな。普通に一戸建てが作れるぞ。だ

が運よく誰もいなかったので、急いでドアの前まで

行った。


「この向こうって、どうなってんの?」


「入ってみれば分かる」


 ロキはまたドアの横にある装置に手の平を当てて

ロックを解除した。


 他とは違う少し頑丈そうなドアが開いた瞬間、船

内のはずなのに、桜が満開になる頃の爽やかなそよ

風が、俺の頬を優しく撫ぜていった。


「なっ⁉ これって……本物の森か?」


 ドアの向こうの光景は、どう見ても船内とは思え

ず、壁も床も天井もなく、いきなり広大な森が存在

し、空もあり雲が流れている。


「空や太陽は作りものだが、土や草木は本物だ。奥

に行けば、それなりに大きい山や湖もあるぞ」


 ロキの話では、ここは船内の三階にある、圧縮空

間という特殊な部屋らしい。向こうの端まで5キロ

以上もあるバカデカさで、空の高さも数百メートル

あり、まめパンを含めた一部の草食系の動物たちが

放し飼いにされている。


 これだけ広いんだから当然、農作物を作って自給

自足も可能だ。そして同じような特殊な部屋が、他

にも幾つかあるとのこと。


 しかし、圧縮空間をその場に固定して、とか説明

されても分からん。詳しく構造や理論を聞いても理

解するのは不可能だし、そこらへんはスルーした。

今更ながら、アルドゥランすげぇーっす。


「お前たちはここにいろ。俺は少し船内の様子を見

てくる」


「分かった。でもちょっとだけ、この森を探検して

きていいかな。別に猛獣とか居ないし、危なくはな

いんやろ」


「好きにしろ。だが迷子になってもしらないぞ。そ

れに他にも出入り口が幾つもあるからな、見つから

ないように気をつけることだ」


 ロキはそう言うと、入ってきたドアから出ていっ

た。


 焦ったところでこのカオスな状況をどうにもでき

んし、俺はファムとニケをその場に寝かせたままに

して、森の中へと入った。どんな面白アニマルと出

会えるか楽しみだ。


 木の上の方には熱帯雨林のジャングルとかで見れ

るような、色鮮やかな鳥たちがいっぱいいる。


 更に奥に進むと、なんといきなりまめパンの大群

を発見。この周辺だけで、ぱっと見三十匹ぐらいい

る。みんなロキよりも小さいけど、ファムとニケよ

りは大きい感じだ。


 寝転がっているのから、子犬のようにじゃれてい

るの、木に登っているのと様々だが、こんなにいた

ら、マジありがたみねぇな。まるで猿山だ。




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