終章 その2
更に優さんの話では、遥か外宇宙にはアルドゥラ
ン人の他にも、宇宙人はいっぱいいるんだと。それ
こそ平和主義のやつから好戦的でフリーザ様みたい
な極悪なやつらまで。中には人類とはまったく違っ
た進化をした宇宙人も多くいるとのこと。温厚でキ
モくなかったら、ぜひ会ってみたいものだ。
あとトップシークレットの不確定情報だが、どう
やら平行宇宙とかのパラレルワールドとかじゃなく
て、ファンタジーな異世界が存在している可能性が
あると、優さんは教えてくれた。
エルフとかドワーフがガチでいる、剣と魔法の世
界があるなら、マジで冒険者とかしてみたいぜ。
とまあ、ここまでの情報は、特別に教えてもらっ
た機密事項だ。
そしてなんだかんだでアレンの野望後は、何事も
なく平穏に時間は過ぎた。と言いたいところだが、
実は色々とトンでもないことが連発した。そのビッ
クリ出来事の第一弾は、いきなりだが、アレンの捕
まった日の夕方だった。
あの日は我が家に帰るとロキがいて、居候するみ
たいなことになって、わけワカメの状態で、もう眠
いし疲れてるしで、そのまま深く考えず爆睡した。
それで目が覚めたのは、17時ぐらいだった。
「ふあ〜あ、よく寝た……あれって……夢じゃない
よな」
起き抜けに大きなあくびをしながら、手を伸ばし
ストレッチした後、ふと夜中に起こった摩訶不思議
な事を思い出した。マジで夢オチでもおかしくない
内容だ。
「あれ? ファムとニケがいない」
まめパン姿の二匹と一緒に寝ていたんだが、俺の
部屋の中に姿はない。
物凄く不安になって、俺はすぐに二匹を探した。
一階に下りてリビングに行くと、ソファーには人
間姿のロキが座っており、自分の家のようにくつろ
いで普通にテレビを見ていた。因みにだが、ちゃん
と日本式を理解しているようで、靴は脱いでいる。
こいつが居るということは、やっぱり夢じゃなか
った。
「随分と長く寝ていたな」
ロキは友達のように軽い口調で言う。近付くと物
凄く酒臭い。
テーブルには、親が買い置きしていたウイスキー
とブランデーの瓶が三本、既に空になっている。で
もロキは平然としていて、酔っ払っている感じはな
い。どうやら酒豪というやつみたいだ。
「お前さぁ、いつまでここに居るつもりなん?」
「まだ決めていない。迷惑なのか?」
「べ……別に……」
迷惑だコノヤロー‼ とは、ヘタレだから言えな
い。だって宇宙一の危険生物なんだもん。怒らせた
ら怖いっす。
ということで、少しの間は様子を見よう。てか早
急に優さんに相談せねば。
「ところで、ファムとニケ知らないか?」
「そこに居るぞ、二匹とも」
ロキはキッチンの方を指差し言った。
二匹は中高生ぐらいの人型に変身しており、冷蔵
庫の前で何故かポテチまみれになりながら、床に寝
そべり眠っていた。しかも二匹とも、ロキと同じで
酒臭い。顔が赤いし、酔っ払って寝てるのか? い
ったいなんでこうなった。
しかし、金髪の美少女が全裸で絡み合っていると
は、なんというエロ光景。これからこんなのが見放
題とか幸せすぎるぜ。
「おいロキ、お前が飲ませたんか?」
「いや、そいつらが勝手に飲んだ。そしたら変身し
た。後のことは、状況を見れば察しが付くだろ」
ロキはそう言った後、クスクスと笑った。こうし
て会話していると、本当に普通の人間に見える。た
だその普通さが、裏事情を知っているだけに、物凄
く怖く感じた。
「面白がってる場合かよ。どうすんだこれ」
小さいまめパン姿なら簡単に持ち運べるが、人間
に変身しているこいつらを、どう扱っていいのか分
からん。ホンとここはどこの裸族の集落やねん。
その時、ファムのアホ毛が、ダウジングの棒が地
中に埋もれる宝を発見した瞬間のように、ギュンと
俺の方を向いた。それと同時にニケは鼻をヒクヒク
と動かして、何か匂っていた。と思ったら、二人と
もパチっと目を見開き、勢いよく顔を起こしロック
オンするように俺をガン見した。
ヤバい、こいつら絶対飛び掛かってくる、と思い
逃げようとした瞬間、やっぱり飛び掛かるように抱
きついてきた。
しかもファムが上半身で、ニケが下半身にほぼ同
時に抱きついたから、俺はす巻きにされたみたいに
身動きが取れず、そのまま床に倒れた。
「ご主人しゃま捕まえたぁ。にゃははははっ」
ファムは奇妙な笑いを発しながら、体全体をすり
寄せてくる。
「ご主人様……いい匂い。うふふふふっ」
ニケは俺の股間の辺りに顔を埋めて犬のように匂
いを嗅いで、いやらしい笑い声を漏らした。
二人とも目が虚ろで完全に泥酔状態だ。でもそん
なだらしない姿でも可愛い。ほんと何もかも可愛す
ぎる。その異常な可愛さで、世界征服でもするつも
りかよ。とツッコミそうになるほど、ただただ可愛
い。
だが物凄く酒臭い、臭すぎる。酒の匂いに慣れて
ないガキの俺には、我慢できないほど臭い。いった
いどれだけ飲んだんだよ。
「ロキ、こいつらなんとかしてくれ。動けねぇ」
そう言ったら、ロキはソファーから立ち上がり近
付いてきた。
でも何もせず、珍しい虫でも発見して観察するよ
うに、じっと俺たちを見下ろし、無表情で一言だけ
発した。
「ふむ、実に面白い」
「お前はどこぞの天才教授か‼」
とツッコミを入れたその時、ファムとニケの全身
が突然、蛍のようにピカピカと点滅し始めた。




