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第四章  事実は小説よりも奇なり その16



 やけくそになったアレンは、俺に襲い掛かってき

た。ナイフの軌道は心臓あたりにロックオンされて

いる。


 ヤバい、完全に気を抜いていた。タイミング的に

回避できない。と思ったその時、突きだされたナイ

フは刺さる直前でピタっと止まる。


 それはアレンの腕を二つの手ががっしりと左右か

ら掴んだからだ。勿論それは、ファムとニケの手で

ある。


「私の物になにする気だ‼」


「ご主人様を傷つけることは許さない‼」


 ファムとニケはアレンにほぼ同時にパンチを喰ら

わせた。


 アレンは強力なゴムにでも引っ張られたようにぶ

っ飛び、地面に叩きつけられた。マジ痛そう。なん

だかんだで不憫な奴だ。


「危なかった。二人ともありがとうな」


「当然のことよ。快は私の物なんだから」


 大人ファムは正面から俺に抱きつき言った後、耳

に息を吹きかけてきた。


「離れろ、ご主人様が困っているだろ」


 ニケはファムにそう言いながら、俺の服の袖あた

りをチョコンと掴んでいた。そんな控えめなニケも

凄く可愛くて男心をくすぐる。


「後から来た奴は黙ってろ。私が先に契約したんだ

ぞ」


「こらこら、喧嘩するなよ。お前らは双子の姉妹な

んやから、仲よくしろ」


「ふんっ、こんな奴、私は知らないわよ」


 う〜ん、大人ファムは扱いが難しいなぁ。やれや

れ、これから大変だな。


「さあ、早く連行して」


 優さんの言葉でスーツの者たちが、アレンにビー

ムのように光る手錠を付けて自由を奪い、なんとか

立ち上がらせ、引きずるように連れて行った。


 見たところ優さんは、この中ではお偉いさんのよ

うだ。


「快君、最後までヒヤヒヤさせないでよ。今のはほ

んとに焦ったわよ」


「なんかすいません、余計なこと口走って」


「私が側にいるんだから、何も心配ないわよ」


「私だっています」


「お前なんて役に立つもんか。さっきだって邪魔し

かしてなかっただろ」


「邪魔なのはそっちだ。ご主人様は私が守る」


「あぁーもう、分かった分かった。お前ら少し黙っ

てろ、話が進まん」


 どっちも可愛いけど、二人だと面倒臭いな。ここ

に茜がからんだら、もう最悪にウザいカオス状態に

なる。静かないい子は皐月だけだ。ちゃんとお座り

してじっとしている。流石名犬だぜ。と思ったが、

もしかしてこいつ、寝てねぇ? この状況で寝れる

とは、皐月は一番の大物かも。


「さてと、それじゃあロキ、次はあなたのことね」


 優さんは真剣な顔でロキと向かい合った。


「俺を捕まえる気か?」


 ロキはわざとらしく、口元に意味ありげな笑みを

浮かべ言った。


「いえ、それは無理でしょ。伝説の傭兵グレンの息

子にして、最強の戦士ロキ、それを捕獲しようと思

ったら、戦争になってしまう。流石によそ様の星で

それはできないでしょ。銀河条約にも反するし。で

も、この先はあなたしだいよ。政府が本気で動くか

どうかは」


「ふっ、はははっ、たかが動物のこの俺を、息子と

称するか」


「えぇ、グレンにとってあなたは息子も同然だった

と、私は思っているわ」


「面白い奴だな、お前も。しかし俺だと分かってい

たのなら、戦わないのは賢明な判断だ」


「政府はグレンの死後、あなたのことを探していた

わ。ペットとしてどこかに隠れているのは、政府も

気付いていたけど、まさか私の管轄する星にくると

は思ってもいなかったわ。でも正直、こうして会え

たことは、光栄に思う」


「政府の奴らは、主が死んで自由になった俺が怖か

ったんだろ。いつ暴走して、自分たちに牙を剥くか

分からないからな。だから処分するために、必死で

探していた」


「その通りよ。政府の偉い人たちにとって、あなた

は脅威となる強い力を持ち過ぎた。特に催眠術とい

う能力を恐れている。その力を本気で使えば、アル

ドゥランを侵略することも可能かもしれない。手当

たり次第に人間を操り、大軍を率いることも容易な

うえに、操られた者達は、死をも恐れぬ最強の兵士

となる。それは鍛え上げられた百戦錬磨の傭兵と戦

うよりも恐ろしいこと」


「政府のバカどもが考えそうなことだ」


「仕方がないわよ。現場の者はグレンやあなたのこ

とをある程度知っているから、処分する必要はない

って思うけど、やっぱり上の人はねぇ」


「お前もその、上の人ってやつだろ」


「ははっ、違う違う、私は下も下、ずっと下の人間

よ。ただ、下にいるから分かることもある。例えば

私に言わせれば、本当に怖いのは別の力。そう、亜

空間を自在に開ける力……」


「ほう、流石だな。その力の真の怖さに気付いてい

るとは。それで、これからどうしたい。常勝無敗の

英雄、ユークリッド将軍」


「なっ、あなた、私のことを知っていたのね」


「当然だ。俺は傭兵だったんだぞ。一度だけとはい

え、自分が所属した隊の最高司令官の顔ぐらい、覚

えているさ。それが英雄と呼ばれる者ならなおさら

だ。更に言えば、俺の主はお前を気に入っていた。

だから退役したと聞いた時は、残念がっていたぞ」


「英雄か……随分と昔の話ね。そんなことより、さっ

きも言ったけど、全てはあなたしだいよ。ロキ、こ

れからどうするの?」




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