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第四章  事実は小説よりも奇なり その14




 ニケの変身を目の当たりにしたアレンは、茫然自

失といった感じに、コントのように数秒ほど完全に

固まっていた。


「バカな、そんな簡単に変身するなんてこと、あり

えないだろ。どうなっている……そうだ、今思い出

したぞ、逃げた個体について忘れていた情報を。こ

いつは確か、ファムという個体と同じDNAから作

られたもの、同一の生命体だ。しかし何故だ、何故

こうも簡単に変身する。奴らのDNAは、変身など

するばずのない下級のもののはず……」


 アレンは誰に言うでもなく、頭の中の考えが思わ

ず言葉となり外に出ていた。てか説明乙。


 っておいおい、ファムとニケが同じ遺伝子から作

られたってことは、一卵性の双子みたいなものか。

どうりで似てるわけだ。でも性格は違っているけど

な。


「あの、ご主人……様、さっきは助けてくれて……

ありがとうございます」


 ニケはモジモジして恥ずかしそうに言った。てか

超絶カワイイんですけどぉ‼ しかも全裸の美少女

だからね全裸の‼


 そして変身したニケは、また戦いに参戦しようと

した。


「ちょ、裸だぞ、ちょっと待てって、ニケ」


「ニケ?」


「俺が考えたお前の名前、それがニケっていうねん

けど」


「まあ……悪くないです……その名前、頂いておき

ます」


 ニケは顔を赤くして俯いて言った。どうやら気に

入ってくれたようだ。


 てかここまでちゃんと日本語を喋れるとは。しか

もファムとは違い丁寧な言葉遣いだ。ほんとアルド

ゥランの躾システム半端ねぇ。


 しかし美少女にご主人様とか呼ばれてる俺って、

ヤバすぎるぜ。


「裸のままってわけにはいかんやろ、これを着ろ」


 俺は自分の着ていたコートを脱いで、ニケに後ろ

から着せてやった。


「服などいりません」


「いいから着てろ。お前が裸だと俺が困る」


「……分かりました」


 やはり動物だからか、服を着るのは抵抗があるみ

たいだ。


「ほら、こっち向け。少し大きいけど、問題ないや

ろ」


 ニケを振り向かせコートの前を閉めた後、長すぎ

る袖を捲り上げてやった。既に着せ替えはファムで

慣れたものだ。


 しかしファム同様、なんてエロい、いや、綺麗な

体をしてやがるんだ。こんな緊迫した状況なのに、

思わず見入ってしまった。


 そういえば二人ともノーパンやん。って俺はなに

をエロい妄想してんだ。


 まあとにかく、ニケはファム程は服を嫌がらず、

何やらクンクンとコートの匂いを嗅いでいた。


 ニケは家でも俺の匂いを嗅いでいたけど、もしか

して俺の体臭って臭いのかな? 自分では気づいて

ないだけとか嫌すぎる。


「悪くない……」


 ニケは頬を赤らめ、少しゆるんだ顔を見せる。臭

いんじゃなくて、俺の体臭が気に入ったのか? ニ

ケは匂いフェチかも。


「じゃあいきます」


 ニケは元のクールな表情で言うと、パワーアップ

した大人バージョンのファムと激しく格闘している

ロキへと突撃する。


 これで三匹、いや三人のバトルは、更に壮絶な格

闘戦になる。だがよく見ていると、それは戦いとは

呼べないかもしれない。あまりにも力の差が明白だ

からだ。


 間髪を容れず繰り出されるファムとニケの攻撃は

凄まじいが、それでもロキにダメージを与える事は

できない。やはり戦士と称されるロキの絶対的優位

は揺るがない。


 いったいロキはどれだけ強いんだ。余裕すぎて底

が見えない。それなのに何故、ロキは決着をつけな

いんだ? しかもまた、戦いに集中せず、辺りの様

子を気にしている。


 だが突然、これまで遊戯を楽しむように受けに回

っていたロキが、アグレッシブに攻撃を繰り出し始

めた。ファムとニケは一転して防戦一方に追いやら

れる。


 ただその光景は、まるで師匠が弟子に稽古をつけ

ているようで、殺気がどういうものか分からないが

ロキからは感じられない気がする。


 その緊迫感にかけた攻防が少し続いた後、ロキは

一気に攻め立て、簡単に二人をぶっ飛ばした。


 でも、やはり二人とも大きなダメージは負ってい

ない。


「残念だが、遊びはもう終わりだ。でも、こんな辺

境の星で、まさか変身できる同族と出会えるとは、

思わなかったぞ。おかげで随分と楽しめた」


 ロキは穏やかな表情と口調で言った。


 決着をつけるって感じでもないし、どゆこと?


「なに勝手なこと言ってんのよ、まだ私があんたを

ぶっ飛ばしてないんだから、それまで戦いは終わら

ない」


 ファムが噛み付きそうな勢いで言う。


「私もまだ戦える、本当の勝負はこれからだ」


 ニケも戦う気満々だ。っておいおい、ロキさんが

終わりと言っているんだから、もういいんじゃない

でしょうか。てか煽るんじゃない。


 まめパンって根本的に戦いが好きな生物なのかも

しれん。好戦的すぎる。


「ロキっ‼ どうした、何故いつまでも止めを刺さ

ない。まさか戦士であるお前が、同族に対する情と

かいうんじゃないだろうな」


 アレンは怒鳴るように発した。その顔に元々のク

ールだった時の面影はない。


 思うようにいかない焦りのせいか、それとも精神

が完全に狂気に支配されてしまったせいなのか、た

だ見苦しいだけの男が、そこにいた。


「アレン、残念だが、既に状況は変わってしまった

んだ」


「なんだ、どういうことなんだ……ロキ……」


「お前らしくないな。まだ気付かないのか。周りを

見てみろ」


 ロキの言葉で全員が周りを見渡す。


 ここは山の中だし当然、周りには木しかない。俺

にはそう見える。しかも夜中で月明かり程度の光し

かないこの場所では、何も確認できない。だがファ

ムとニケは何かに気付いているようだ。


「誰かいる……」


 ファムが立ち並ぶ木々の方を見て、視線を左右に

動かしながら言う。


「それも一人や二人じゃない。かなりの大人数が隠

れてる」


 ニケも闇と同化している木々の方を見て言う。


 言われてみればだが、人の気配がするような気も

しないでもない。



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