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第四章  事実は小説よりも奇なり その10




 こいつの野望とやらは理解できたが、わざわざ遥

か遠い星の地球まで来てする必要ねぇだろ。しかも

俺を巻き込みやがって。まったく迷惑な話だ。


 だがこんな摩訶不思議な罰ゲームの直撃を受ける

とは、俺の強運も尽きたかも……。


「でも今のところ、無茶はしていませんよ。まずは

この世界の人間に怪しまれてはいけませんからね。

この星の人間である君を処分するのが、最初の無茶

かもしれないね」


 アレンは後半の言葉をニヤつきながら言った。


 こんなムカつく顔を見たことねぇぜ。フルボッコ

にした後、三日三晩ジャイアンのリサイタルを聴か

せてやりたいぜ。てかほんまの無茶は、お前の計画

のほうやろ。気付いてないのがタチ悪いで。


「催眠術が使えるなら、俺の記憶を消すとか、操る

かすればいいんじゃないのか。別にわざわざ処分し

なくても……後片付け大変だし……」


 無理かなと思いつつ、そんな提案をしてみる。


「それはいい考えですね。でも残念なことに、君は

まめパンと主従の契約を結んでしまった。どう扱う

か決めていませんが、その契約が邪魔になるかもし

れない。因みに契約は、主人が死ねば自動的に解除

されます。例え離れたところにいても、主人が死ね

ばそれを感じ取る能力が、まめパンにはあるんです

よ。まあ本来は、君を殺してまで契約解除をする必

要はないんですがね。別に恨みもありませんし。だ

が君はここに来てしまった。そして私たちの存在を

知り、全てを聞いた。これはもう仕方がないね。自

分の不運を呪ってください」


「おいおいおいおい、なんだそりゃ、ついでに殺さ

れるみたいな言い方しやがって。それに聞いたって

いっても、お前が勝手に話したんやろ」


「はははっ、それは失礼しました」


 本格的にヤベー。このままただのザコキャラのよ

うに、殺られるのを待つだけなのか。ヒーローもの

ならこの辺りで格好良く「まてぇい‼」と正義の味

方のカットインが発生するんだが。


 ただ切羽詰まった状況なのに、俺は何故かロキが

気になった。


 アレンがアホみたいにベラベラと喋っていた時、

ロキは何も言わず控えていたが、主人を見守る感じ

ではなく、俺にはロキの目が既に関心のない、とて

も冷ややかなものに思えた。そして時折、辺りの様

子、特に山の奥の方を気にしている。


「ほんま狂ってるぞ、お前。なんでこんなことする

ねん」


「我々アルドゥラン人は、君たちと見た目は同じで

も、遥かにその寿命は長いんだよ」


「それがどうした。長生きだからってなんやねん」


「分からないだろうね。すぐに年老い、たかが百年

も生きられない地球人には。まあ、長く生きるとい

う事は、退屈する時間も長いという事だよ。だから

ゲームでもやってみようと思ったわけです」


 こいつ完全に舐めてやがる。てか退屈しのぎで殺

されてたまるか。そのゲームのリセットはどこだ、

俺が押してやんよ。大体そんなイカレたパーリィー

に招待された覚えはないぜ。


「アレン、そろそろ行くぞ」


 沈黙を破りロキが言った。


「どうやらお喋りがすぎたようだ。でもこれだけ秘

密の話を聞いたんですから、あの世への手土産は十

分でしょう」


 そう勝手な事を言って、アレンはムカつく笑みを

浮かべながら後退した。


 いま俺の数メートル前にはロキがいる。ただそこ

に存在しているだけで、凄まじいプレッシャーを感

じる。更に目が合っただけで、冷汗が噴き出す。こ

の時、ロキは徐に右腕を上げ、俺に向けて手を開い

た。


 まさかカメハメ波みたいなものが、その右手から

出るのか? と思い見ていたら、うまく説明できな

いが、ロキの右手の辺りの空間が、グニャっと歪ん

だ。俺は危険を感じたが、何が起こるのか気になっ

て、そのまま見入った。


 本当に一瞬だった。空間が歪んだと思ったら、ロ

キの右手には銃のようなものが握られていた。


 確かに何も持っていなかったし、何かを取り出す

動作もしていない。マジックという感じでもなかっ

たし、何がどうなって、どこから出てきたんだ。


 ただ普通の銃でないのは明らかだ。やけに銃口が

大きいし、ビームでも出そうな感じだ。形状は、戦

隊ヒーローが装備している未来的なもので、一見は

おもちゃに見える。


 ヤバい、絶体絶命のピンチだ。間違いなくロキの

持つ謎の武器の照準は、俺の方を向いている。


 既にロックオン完了で、後は引金にかけた指に力

を入れるだけみたいだ。


 自分の心臓が破裂しそうなほど激しく、鼓動して

いるのがよく分かる。呼吸がうまくできず、息苦し

い。生きた心地がしないとはこんな感じか。


 そして俺の命が尽きる運命の瞬間が容赦なくやっ

てくる。はずだが、何者かが闇の中より俊敏に現れ

て、ロキに襲い掛かった。


 てかキターーーー‼ 最高のタイミングでの、待

ちに待ったヒーローカットイン‼


 しかしロキは不意を衝かれながらも、何者かの突

撃を回避する。だが体勢を崩したことで、俺に向い

ていた照準は大きくそれた。


 でも引金は引かれており、謎の銃からはピンク色

のビーム光線のような光が発射され、夜空に閃光が

走った。


 マジかよっ⁉ ほんまにビーム兵器かよ。もしも

直撃喰らってたら、俺の体はどうなってたんだ。貫

かれるのか爆発するのか、それとも溶けて消滅する

のか……考えただけで恐ろしや。


「面白い飛び入り参加がきたな」


 突如現れた何者かを確認したロキは、そう言った

後、口元に狡猾な笑みを浮かべた。


 俺もその飛び入り参加した命の恩人を確認する。

あの見たことのある白黒で小さく可愛らしい姿は、

間違いなくまめパンだ。


 でもファムは人間の姿でいるから、こいつは俺が

ニケと名前を付ける予定の謎のまめパンだ。




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