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第一章  抽選会 その2

この作品は、微エロ、下ネタ、女の子に対するセク

ハラなどがあります。苦手な方はご注意ください。


「快、また今日も学校サボったでしょ」


 リビングのソファーで寝ていたら、学校から帰っ

てきた茜が制服姿のまま現れた。


 俺たちの中学は、男子が黒い学ラン、女子はセー

ラー服系で、冬服は上下ともに紺色といった何の変

哲もない制服だ。


 だが相変わらず茜の制服姿は変で笑える。手足も

細くスレンダーな体型なのに、胸のサイズが規格外

のため、本来はジャストサイズの制服が、ピッチピ

チである。男子生徒からすれば、そのピチピチ感が

たまらない。こだわり派で違いの分かる男の俺とし

ても、認めざるを得ないエロさだ。まっことけしか

らん乳ですよ。


 因みに俺は、家にいる時は寝間着でもあるトレー

ナーにジャージ姿だ。


「後はもう卒業するだけだし、毎日のように行く必

要ないやろ」

「快が来ないと私が先生にいろいろ言われるんだか

らね。月杉はどうした、とか、ちゃんと月杉を連れ

てこい、とか」

「なんでお前が言われるねん」

「それは、だって……やっぱり彼女と思われてるか

らじゃ……ない……」


 妄想バカの茜は頬を赤らめ、モジモジしながら小

さく発した。


「アホか。関係ないって言えや。お前が彼女って、

なんでそんな罰ゲーム受けなあかんねん」


「酷いよ、なんで罰ゲームなのよ……快が興味あり

そうな面白い情報、せっかく教えてあげようと思っ

たのに。もういいよ」


 茜はわざとらしく半泣き顔で拗ねた口調で言い、

これまたわざとらしく帰るふりをする。


 しかし面白い情報とはなんだ。話す前からハード

ルを上げたからには、相当その情報に自信があるの

か。女の面白い話は大抵オチが無かったりするが、

俺好みの情報らしいし聞いておくかな。微妙だった

ら4の字固め食らわす。てかフルボッコ決定。


「まあ待ちなさいって。言いたかったこと言えずに

帰ったら、俺はいいけど、お前の方が気になって寝

れんやろ。そんな可哀相なこと放置できんし、聞き

たくないけど聞いてやる。さあ言ってみろ」


 俺がそう言うと茜は立ち止まり、何やらよからぬ

思考を巡らした後、企みのあるにやけた顔で振り向

く。


「ふ〜ん、聞きたいんだ。だったら……私のこと「

好き」って言ったら教えてあげる」


 はぁ? なに考えてんだか、このおバカは。恥ず

かしがってる姿が普通に可愛いから、なんか逆にム

カっときたぜ。ちょっとボケでもかましてやる。


「スキー」

「違う‼ スキーじゃなくて「好き」だよ。もう教

えてやんないから」

「冗談やんか。ちゃんと言うよ……スキ」

「なんかぜんぜん気持ちこもってないんですけど。

それにそんな嫌そうな顔で言われても嬉しくない」

「って誰が死んだ魚みたいな目やねん‼」

「言ってないでしょそんなこと。まあいいや、それ

じゃあどのくらい好きか言って」

「2ミリぐらい」

「酷い‼ いくら何でも小さすぎでしょ。もう絶対

教えないから」

「妄想バカのストーカーのくせに生意気な。こうな

ったら力付くで吐かす」


 危険を察知し、逃げようとした茜に襲い掛かり、

足払いでね転がし、透かさず足4の字固めを食らわ

す。


「痛い‼ 痛いよ、ごめん、ごめんなさい‼」

「ぎゃあぎゃあうるせぇぞ、お仕置きだ」

「ギブ、もう絶対にムリだってば‼ 本当に教えな

いからね‼」

「ほほう、この天然むちぷり娘は、まだ自分の立場

が分かってないようだな」


 俺はここで変態、いや、悪魔と化す。4の字をか

けたまま上半身を起こしスカートに手をかけ、勢い

良く捲り上げる。当然、眼前には白いパンツが神々

しく降臨。中学生の健康な男子にとって、これは絶

景である‼


 だがなんだ、このエロっちい大人びたパンツは。

ビキニタイプというアダルトなやつなのか、なんか

小さすぎるぞ。Vゾーンの角度もきわどいし、サイ

ドはほとんど紐なみの細さだ。


 まったくもってエロい。ガキのくせにけしからん

奴だ。だいたい学校に行くのにこんなセクシーパン

ツ穿く理由が分からん。既に分かっていたがあえて

言おう、アホであると。


 しかしパンツもエロいが、なんちゅうムチムチで

エロエロの美味しそうな太ももをしてやがる。


「バカっ‼ この変態‼ なにすんのよ‼」


 普通はすぐにスカートの捲れを直すところだが、

茜の場合は先に、真っ赤に染まった顔を両手で覆い

隠した。


「あぁ変態さ、変態だとも。だがしかし、そこいら

の並の変態どもと一緒にするなよ。その面白い情報

とやらを素直に教えないと、このままパンツずらす

ぞ」


 俺は変態、いや、悪魔の如き笑みを浮かべ言う。


「ひっ、ひいっ⁉」


 パンツずらすぞ、という言葉を聞いた茜は、真っ

赤な顔を一瞬で青ざめさせ、恐怖で引き攣った声を

上げ固まった。


 そういえばガキの頃、本当に茜のパンツをずらし

たことがあった。てかその頃は当たり前にパンツを

脱がしていたような気が……。


 どうやら今の言葉で、心の奥底にしまい込んで忘

れていた、過去の苦い思い出が蘇ったようだ。


「それだけは嫌ぁぁぁぁぁっ‼ 分かった、分かり

ました、教えます。だから許して‼」


 我に返った茜はやっと降参した。当然の如く俺の

完全勝利。


「ふんっ、実力の差が分かったか。てこずらせやが

って」


 技を解いた後、まだパンツ丸見え状態の茜を放置

して、悠然とソファーに座る。茜はゆっくりと上半

身を起こし、足を擦りながら俯いてボソッと呟く。


「酷いよ……本当に脱がすなんて。もうお嫁にいけ

ないよ」


 おいおい、それは毛も生えてないガキの頃の話だ

ろ、今更もちだすなよ。てかお前はいまだに生えて

ないけどな。


「それで、面白い話ってなんやねん。早いとこ教え

てくれよ」


 このままの流れでは面倒臭くなりそうなので、透

かさず話を変える。


 だが、茜はまだグロッキー状態から抜け出ていな

い。何やら、ウ〜ウ〜呻きながら、鮮明に蘇った悲

惨な過去の記憶を、また心の奥底に閉じ込めるため

に戦っていた。


 放置すること三分ほどで、茜は立ち直った。自分

の中で少しは整理がついたようだ。でも敵を威嚇す

るフグのように、はち切れそうな程まで頬を膨らま

せ、まだ拗ねていた。てかそんな顔も可愛かったり

して、また苛めたくなるんだよなぁ。


「はい、これだよ。今日の新聞広告に入ってた」


 茜は鞄を開き、真ん中で折り曲げた大きめのチラ

シを渡した。


 なになに……おおっ⁉ なんとペットショップの

オープンを報せるチラシだ。今日はずっとゲームや

ってたから、テレビもSNSも見てなかったから気

が付かなかった。しかもいきなり明日かよ⁉


 一月中に営業開始とは随分と早い。場所は大阪の

舞洲だし、何時でも行けるからラッキーやん。


「ほんと楽しみだね。近いうちに一緒に行こうよ。

ちょっと快、聞いてるの?」


「おい、第一弾で販売される、この【まめパン】っ

てなんや。写真ぐらい付けとけよな」

「さあ? 宇宙人のペットなんて分かんないけど、

まめ柴みたいな感じじゃない」

「まめ柴? それ犬やん。じゃあパンってなんやね

ん」

「え〜と……パンだから、パンダじゃないの」

「アホか。しょうもないダジャレ崩れのボケかます

な」

「ち、違うよ、そんなつもりで言ったんじゃないん

だからね」


 とりあえず茜の相手をするよりも、更にチラシに

目を通す。


 ほう、オープンはするが、ペットの販売はまだ先

と書いてある。いったいまめパンはどんな動物なん

やろ。めっちゃ気になるやん。


「ペットは買えないけど、あの大きい宇宙船の中は

水族館とか動物園みたいになってるらしいよ。だか

ら行くだけでも楽しめるんじゃない」


「確かにそれらしいこと書いてあるな。宇宙人も儲

けるために色々と考えてるってことか」


 苦肉の策かもしれないが、販売が許されたのが一

種類だけだし、売れないのなら見世物にして稼ぐし

かないよな。


「でも快の場合は、お金と時間使って行くだけの価

値があるかもよ」

「なんで?」

「高い入場料はとられるけど、店に入るだけで豪華

景品が当たる抽選券が貰えるらしいよ。快は人より

運が良いから当たるかも」

「マジで‼ それで何が貰えんの?」


 茜は答えを言わず、俺が握り締めているチラシを

指差して、自分で確かめろと合図を送った。


 その答えはすぐに見つかった。なんと一等賞は第

一弾として売り出される、例のまめパンが当たるら

しい。しかもたった一人だけに。これはもう行くし

かない。他にも異星の飲食物が景品として用意され

ている。


「ねぇ、いつ行こうか」

「明日そっこう行く‼ って言いたいけど、どうせ

混んでるやろうから、少し様子見てからやな。まめ

パンが何かも分からんし」


 なんか面白そうでドキドキしてきた。マジで抽選

とかに当たりそうな気がする。













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