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第四章  事実は小説よりも奇なり その7




「あぁ、そうだよ、快くん」


 何故アレンがいるのかは知らないが、これが偶然

でないことは分かる。


 とにかく普通じゃない空気感だ。この場に居るの

が本当に怖い。それにさっきから心臓が針でチクチ

クと刺されているように痛い。これがプレッシャー

というものか。


「この子が変身した君のまめパンだね。本当に素晴

らしいよ。君はブリーダーとしての才能があるのか

もしれないね」


 アレンはファムの肩を掴み、ファムの向きを俺の

方へと反転させて言った。


「どうしたのですか、快くん。怯えているように見

えますよ」


「そ、それで……いったい何しに来たんですか?」


 俺の第六感が、この場からダッシュで逃げろと脳

に命令を送ってるんだが、ビビってまったく動けな

い。


 ファムは相変わらず意識がない状態だし、どうす

りゃいいんだよ。


「実はね、君にプレゼントしたまめパンを、返して

もらうために来たんだよ」


「はぁ? わざわざこんな夜中に、なんの冗談です

かねぇ」


「冗談ではありませんよ。現にこうして回収に来て

いるじゃないですか」


「てことは、お前らがファムになんかしたんやな。

早く元に戻せ‼」


「残念ですが、この子は当分このままです。まあ心

配する必要はないですよ。もう君には関係ないのだ

から」


「おい、ファムから離れろ‼ いったいなんやねん

お前らは‼」


 俺はファムを助けようと思ったが、謎の男が放つ

凄まじいプレッシャーによって、その場からまだ動

けなかった。


 それに直感的に、動けば死ぬかもしれないという

考えが脳裏をよぎっていた。


 殺されるなんてこと、現実離れしているが、相手

が宇宙人だけにあるかもしれない。そう考えると、

更にビビって動けなくなる。


「そうですねぇ、快くんには奇跡を起こしたという

功績がありますから、特別に色々と教えてあげまし

ょう。この世から消滅するまえに」


 おいおいちょっと待て。いまアレンは最後にトン

でもない事を口にしたぞ。


「ロキ、これを少し下がらせてくれ」


 アレンは銀髪の男のことをロキと呼んだ。そして

ロキという男が「わかった」と返事すると、突然フ

ァムが動きだし、数メートルほど後退した。


 こうして見ると、ファムは完全に操られている。

これは催眠術みたいな感じか。


「じゃあ何から話しましょうか」


 アレンは楽しそうに話し始めたが、俺の方は楽し

くねぇぞ。話してくれるなら是非とも聞きたいのだ

が、とりあえずさっきの「この世から消滅するまえ

に」っていう恐ろしくお茶目な言葉を取り消してか

らにしてくれよ。


 しかしアレンは俺の焦りなどお構いなしに話を続

ける。恐怖に引き攣った俺の顔でも見て楽しんでや

がるのか。いったいこれはなんの罰ゲームだ。


「それではまめパンのルーツと使われ方について話

してあげましょう。そもそもまめパンは、変身能力

などない普通の動物で、一度は完全に絶滅した種で

もあります。その後、クローンとして復活しました

が、まだ普通の動物でした。しかしある時、マッド

サイエンティストの集団によって、アルドゥラン人

とまめパンのDNAを融合させた、新種の生物が誕

生した。それが現在のまめパンの原型となるもので

す。地球人と猿のDNAがそれほど変わらないのと

同じで、何故かまめパンとアルドゥラン人のDNA

は似ていたのですよ」


 マジかよ……人間と動物の遺伝子を混ぜて組み換

え、そんな生き物が本当に作れるのか?


 まあ人類より高度な科学力があるんだから、無茶

も可能なのかもしれないが、そこまでおぞましい事

を平気でやってしまう人という生き物は、違う星の

人間とはいえ、本当に恐ろしいぜ。もしかしたら同

じような無茶苦茶な研究を、この星の人間もやって

いるかもしれない。


「その研究は当初、退屈しのぎのお遊びだったと言

われています。だが、お遊びの研究は進められ、あ

る日突然、彼らのもとに奇跡は舞い降りた。その奇

跡とは当然、人型への変身のことだ。それを知った

時の科学者たちの歓喜は、きっと計り知れなかった

だろうね。しかし変身能力を持つまめパンが生まれ

たのは、本当に偶然の奇跡であり、簡単に作れるも

のではなかった。だが一度でも奇跡を見てしまった

科学者たちは、悪魔に憑かれたように本気で研究に

没頭し、その後、幾度となく奇跡を起こした。そし

て人型になった個体の研究が進むにつれ、その秘め

たる強大な力が解き明かされる。強力な超能力は勿

論のこと、異常に発達した身体能力、とにかく科学

者たちが驚愕する程の力だった。それらの情報は政

府も知るところとなり、大掛かりなプロジェクトチ

ームが立ち上げられた。そのチームがまめパンの何

を研究し、作り上げたか分かるかい?」


「さあ、俺にはさっぱり分かんねぇな」


 すっげー長くて難しい話になってるが、これはチ

ャンスかもしれない。アレンが喋っている間に、フ

ァムを助けて逃げ出す方法を考えるんだ。でもさっ

きから、話の方も気になるし、何もいい案が出てこ

ない。




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