第四章 事実は小説よりも奇なり その3
ファムはその服を見て、訳が分からないといった
感じに首を傾げた。
まあ服を着たことがないんだから、何をどうすれ
ばいいか分からなくても無理はない。ちと恥ずかし
いが、俺が着せてやることにした。なんかママゴト
気分だな。
「ほら、次は足上げろ」
しゃがんでブルマを穿かせると、当然だが眼前に
ファムの股間があり、そこからは有り難い後光が差
しているように眩しく思えた。
ホンとなんだこれ、カオスと化している同人のエ
ロゲーみたいな展開だ。一人で興奮しすぎて息苦し
い。頭おかしくなりそう……。
「こら、動くな、じっとしてろ」
ファムは服を着るのを嫌がったが、少し強引に無
理矢理着せた。ドSの俺としては、嫌がられるとよ
けいに苛めたくなる。ただあまりにもエロくて、危
うく鼻血が出そうになったぜ。
ホンとなんて題名のエロ同人だ。と自分にツッコ
ミを入れたくなった。
そして体操服姿のファムを凝視する。というより
見とれてしまった。着心地悪そうにモジモジしてい
る姿が、何とも例えられないほど可愛い。きっと誰
でも魅了されてしまうはずだ。
それに下着をつけてないから、胸の先端がセクシ
ーすぎる。思わず押したりつまみそうになった。あ
る意味これは、裸よりエロい。
更にブルマが神懸かり的にエロすぎる。コスプレ
用だからか、少し生地が薄っぺらい。ノーパンで穿
いているから股間や尻の辺りの食い込みが実に素晴
らしい。ハンパねぇエロさだ。ただこれを母親が着
ていたかと思うと萎える。
「なかなか似合ってるぞ。可愛い可愛い」
そう言って頭を撫でてやると、服を嫌がっていた
ファムは簡単に超御機嫌になった。
だが今回の変身は時間が長い。今まではすぐに元
に戻ってたよな。変身することや人間の姿でいるこ
とに慣れてきたのかもしれない。
しかし、どのぐらいで自由自在に変身を制御でき
るようになるんだろ。アレンは大人になればみたい
なこと言ってたけど、いきなり変身したり元に戻っ
たりじゃ困る。と、真面目に考えながらも視線はフ
ァムの胸に釘付けになっていた。
見た目が俺と同じ年頃なのに、既に完成された体
といえる。茜にしてもそうだが、発育よすぎるぞ。
さてこれからどうしたものか、と考えだしたその
時、一階のリビングの方から突然、物音がした。
またかよ。庭にいる皐月は躾けられてるから勝手
に家の中に上がりはしないだろうし、今日は茜も来
ないから……やっぱ泥棒か?
理解したかは分からないが、ファムに喋らないよ
うに命令し、恐る恐る忍び足でリビングへと向かい
そっと顔だけ出して覗き見る。
ファムは俺の後ろから、行動を真似て顔だけヒョ
コヒョコ出して遊んでいた。
リビングに人影はない。皐月も庭にいて、お座り
してこっちを見ている。だが庭に面している窓が開
いていた。
鍵はかけてないが確かに窓は閉めたはずだ。それ
にもしも怪しい奴が家の中に侵入したなら、皐月が
吠えるはず。そうなると、考えられるのは茜だが、
キッチンの方にも人影はない。
気のせいだったのかと思ったその時、また物音が
した。
今度ははっきりと、ガサゴソとキッチンの方から
聞こえる。でも音はすれども姿はない。なんなんだ
これ?
俺は忍び足で音のするキッチンへと近付く。ファ
ムは楽しそうに歩き方を真似てくっついてくる。
「い、居るの分かってるぞ、出てこい‼」
ビビっていたが、相手を威嚇するために、大きな
声を出し、意を決してキッチンに踏み込む。
「えっ⁉ ……で、出たーーー⁉ てかキターーー
ーーーー‼」
まさかのまめパンが出た。さっき皐月の背中に乗
っていた謎のまめパンが何故かいる。
なんで我が家に? しかも弁当とかポテチを入れ
たままにしてあるコンビニ袋をあさってるし。
てかなんだこいつの落ち着きぶりは。俺が大声出
して突然現れたにもかかわらず、微動だにしていな
い。なんて大胆不敵な奴だ。
謎のまめパンは、一瞬だけこっちを向いたが、ま
たすぐに袋をあさりはじめた。
「お前、何でここに居んの? ペットショップから
逃げて来たのか?」
う〜ん、無反応。ていうか無視ですか。言葉は理
解していると思うんだがな。
大きさはファムと変わらないから、まだ子供のよ
うだ。しかし山で見た時も思ったが、やはりファム
とよく似ている。ワイルドな感じはあるが、雰囲気
というか、空気感が同じように思えた。特にアレン
の飼っているオスのまめパンとは随分と違って見え
る。
ファムが仲間であるまめパンを見て、どういう反
応をするのか気になったが、相変わらず俺にじゃれ
ついていて、まったく関心を持ってない。
まめパン同士はいつもこんな感じなのかも。まあ
同族だし、珍しくもないか。
「腹へってんのか? お前が手に持ってるそれ、ポ
テチっていうねん。食べていいぞ」
まめパンは相変わらず俺の事は無視で微動だにせ
ず、ポテチの袋を持ってクンクンと匂いを嗅いでい
る。
ファムは俺の言ったポテチという言葉に反応し、
「ぽぉてち、ぽぉてち」と言って騒いでいる。
「ほれ、かしてみろ。こうやって開けるねん」
俺はまめパンに近付き、こいつが持っているポテ
チの袋を開けてやった。
でもホンと堂々としている。近付いても逃げる素
振りすらない。安全な奴と思われているのか、それ
とも興味がないのかどっちだろ。
まめパンはファムと同じように袋に顔を突っ込み
クンクンと匂いを嗅いだ後、ポテチを一つ掴み、パ
リポリといい音をさせて食べた。その瞬間、衝撃を
受けたようにビクっと驚き、これまたファムと同じ
ように、貪り一気に平らげた。
なんか笑える。食い方までよく似てやがる。まめ
パンは皆こんな食べ方なのかもな。




