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第三章 ピンチと秘密と皐月現る その2




 おいおい、さっきまでエロい夢を見てたと思った

ら、なにこのバイオレンスな急展開は。俺にどうし

ろっての。自分の家だが、こういう場合は逃げた方

がいいのか? 恐怖と混乱で何が正しい選択か分か

らない。


 先に立ち上がったのは俺の方だった。だが相手は

武器を持っているし、格闘技をやったこともない素

人の俺では攻め込めない。


 と考えているうちに泥棒も立ち上がり、今にも突

っ込んでこようとしている。


「おい、ちょっと待て、冷静になれって。こんな庶

民の家に盗みに入っても、金になるもの何にもない

っての」


「ごちゃごちゃうるせぇぞ。もうバレてんだよ‼」


「なにがバレてんねん、訳わからんぞ。っていうか

泥棒のくせに、なんで大金持ちの大河内家に行かへ

んねん。明らかにお宝の匂いがプンプンするし、盗

みがいもあるやろ」


「黙れ‼ 怪我したくなかったら、さっさとまめパ

ン出しやがれ‼」


 ですよねぇ〜。やっぱこのタイミングはまめパン

狙いしかないよな。


 しかしドスのきいた声で凄んで言ったが、なんか

ちっちゃいマスク被ったオッサンでは迫力ないな。

てか少し喋ったことで冷静になってきたぞ。


 でもこんなガキに諫められるほど甘くはないか。

大体こいつ、ドラえもんに泣きつくのび太くん張り

にテンパってるしな。こりゃ借金でもあるな。絶対

まめパン売る気だよ。


「オッサン無茶言うなよ。それに俺から盗んでも、

どこにも売れないっての」


「買ってくれる奴なんて、幾らでも居るんだよ。ガ

キには分からんだろうがな」


 ほう、闇ルートってやつですか。こんなバカがい

っぱいいて、これからも我が家に遊びに来ると考え

ると、ホンとゾッとするな。頼むからこれが最後に

してくれよ。


 そして交渉というにはあまりにもショボい話し合

いは決裂し、泥棒は突撃してくる。


 マジで絶体絶命だ。そう何度も攻撃を躱せるもん

じゃないし、ここはもう捨て身の特攻をするしかな

い。


 まあ不幸中の幸い、体格は勝ってるし、がむしゃ

らに暴れればなんとかなるかもしれない。と考えた

が、泥棒の方が先にテンションMAXで警棒を振り

回し、泣いてから強くなる子供のように、がむしゃ

らに暴れていた。これじゃあ突っ込むこともできや

しねぇ。


 その時、襲いくる警棒の軌道が、確実に俺の頭へ

と向かっているのが分かった。


 やばいっ‼ ロックオンされた。か、躱せねぇ。


 だが直撃を食らいそうになった瞬間、目にも留ま

らぬ速さで、何かが俺の眼前に突然現れた。そして

身代わりになった状態で、その何かが警棒の直撃を

食らい、「ふぎゃんっ」と痛々しい叫びを発し、床

に叩きつけられる。


 俺も泥棒の方もすぐには状況を理解できず、ほん

の一瞬だけ動きが止まった後、ほぼ同時に床に目を

やる。


「ファムっ⁉」


 そこに倒れていたのは、いつの間にかまめパンの

姿に戻っていたファムであった。


 ぐったりと横たわり、ピクリとも動かない。暗く

てはっきりと見えないが、頭から大量の血が流れ出

している。


 その光景を見た瞬間、俺は生まれて初めてブチキ

レた。


「てめぇ‼ なめてんのかっ‼」


 頂点にまで達した怒りによって恐怖心は消し飛び

暴走状態で泥棒に殴りかかる。


 俺の気迫にビビったのか、泥棒は回避が遅れ顔面

直撃のパンチを食らい、同時に鈍い音がして、泥棒

は吹き飛ばされた。


 俺は追撃せずすぐにファムを抱き上げ、怪我の具

合を見る。


 頭から血が溢れ出て止まらない。このままじゃ確

実に死ぬ。近所に動物病院はないし、当然この時間

じゃ開いてない。アルドゥランのペットショップに

行くには時間がかかりすぎる。


 どうする……どうすりゃいい……。


 パニクっていたら、倒れていた泥棒が、よろめき

ながらも立ち上がる。だが今は、こんな奴に構って

いる暇はない。


「おいっ‼ まだやる気じゃないだろうな、もうい

い加減にしろ‼」


「ここまできて、引き下がれるか」


「よく見てみろ、お前が金に換えようとしたこいつ

を。可哀相に、今にも死にかけてる。お前がこれを

やったんだぞ」


 俺は側にあった廊下の電気のスイッチを入れてか

ら言った。


 床にはファムの赤い血が大量に広がり、日常生活

ではなかなか見る事のない悲惨な光景を作り出して

いる。これは誰が見ても本当に危険な状態と分かる

はずだ。


「う、嘘だ……こんなはずじゃ……うわああっ‼」


 泥棒のオッサンは血を見ると呆然と立ち尽くした

後、我に返ると悲痛な叫びを上げ、玄関のドアから

逃げ出していった。


「ファム、助けてくれてありがとうな。でもごめん

な、こんな目に合わせて」


 俺が声をかけても反応がない。本当にどうすれば

いいんだよ……。




 その頃、アルドゥランのペットショップでも、ち

ょっとしたトラブルが起こっていた。


「申し訳ありません、こんな時間に」


 男性スタッフの一人が、責任者のアレンを呼び出

していた。


「それで、どうしました。何か緊急な事態でも?」


 焦った様子のスタッフとは異なり、夜中の3時過

ぎにもかかわらず、黒いスーツ姿で現れたアレンは

穏やかな口調で発する。



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