第6話 異世界社会での上手な立ち回り
ギルガメッシュ、やっぱりカッコイイ名前だよな。
てか幼女がギルガメッシュの名を語るなんて、なんだか腹が立つわ。
「うん。よかったねー。ギルガメッシュさんはすごいんだねー。」
子どもをあやすのは初めてだったが、案外楽勝っぽいな。
「お前、本当に幼女だと舐めてるだろ?。」
当たり前でしょ。
あんたを見て、舐めたいと思わない人なんていないから。色々な意味で。
「まあ、まあ、落ち着いて、ね?怖くないよー。」
そう言って幼女の頭を撫でる。
幼女は人見知りって言うからな!優しく接してあげないと。
「レン。そこら辺でやめとかないとあなた大変なことになるよ。」
ん?どうしたリア。
ま、まさか、自分も撫で撫でしてほしいってことか??
ぁー可愛すぎるだろ、まじで。
「悪かったよ、リア。」
そう言ってリアも撫でようと思い頭に手を置いた。
あ、髪めっちゃサラサラだわ。すげーな。
「、、頭撫でるのやめてもらえるかな?」
まだ早かったみたいだ。今度はタイミングを計って触ろう!
けど、怒られてしまったな。まあいいか。
「ごめん、ごめん。それでギルちゃんだっけ?この子も同じギルドメンバーなの?」
忍法、話すり替えの術!!
「そんな訳ないでしょ!!! ギルちゃんなんてトップギルドに入ってるんだから。」
トップギルドねー。
「そうとも。幼女だとバカにしたお前、名前はレンと言うのか?」
女の子にいや、幼女に名前聞かれちゃったよ。
えーどうも、神の詩人こと岸田廉です。
「そうだよ。レンだ。よろしくねギルちゃん。」
なんかギルちゃんって言う呼び方かわいいな。
「それで、レン。レンの職業とレベルを教えろ。」
命令文ですか。まあ幼女だしな。
「ウィザードのレベル0かな。まだウィザードになったばっかりだから、よくわからないんだ。」
「ぁあー、要は雑魚ってことね。」
ん??今聞きづてならないことが聞こえたような気がしたんだけど。
「雑魚だなんて、よしてくれよ。これから頑張るんだから。」
「そうよ、ギルちゃん。レンはただのウィザードでは、ないんだよ、結構強いかも。」
お!リアの援護が貰えた。これは嬉しいな。
ギルちゃん、口ごもってんな。やっぱ幼女だわ。
「あ、そういえば、今はレンの装備を買うんだった。ごめんねギルちゃん。」
リアがそう言うと、ギルちゃんは「はぁあ。」
とため息をつき、素晴らしいことを聞いてくれた。
「リ、リアはレンと結婚をするか?」
なぜに、この文脈からこんなこと聞くんだよ。さすが幼女だぜ。
はぁい!!しますとも。
そうですよね? リアさん。
「そんなことないよ。私とレンは“ただの”一緒の“パーティー”っていう間柄“だけ”だから。」
ポジティブに捉えよう。今はまだその気がないだけ。
そう、その気がないだけ.....
「そうか? まあいいか!それじゃ、今度会う時は“ゆっくり“お話しよーねー。」
「うん。じゃあねー。」
なぜギルちゃんは、、、そうだな。俺が気にすることでもないか。
それよりやっと2人だ。さっきまでも2人だったけど。
「それで目当ての装備は、どこらへんに売っているんだ?」
「んー、よくわかんないから一緒に探しましょ。」
あ、連れてきておいて、知らないんだね。
「俺、字何も読めないから、役には立たないかも。」
「気にしないでいいよ。レンは私の隣で話し相手になってくれるだけでいいよ。」
何その神職業。
美少女と隣でお喋りするだけでいいだと?
「はっは。そう言ってもらえるとありがたいよ。」
今更思ったんだけど、俺女の子慣れするの早かったな。
「じゃあまずはウィザードのコーナーを探さないとね。」
確かに。てかそこ行ったら終わりじゃね?
「それでそこの場所は把握してるの?」
これもしてなかったら、楽しい時間が増えるんだけどなー。
「いやー私もここに来るに実際2回目だし...」
っふふ、計画通り!!
「けど、店員に聞くから大丈夫!」
おいおいおい。上手に期待裏切ってどうするんだよ。
店員に聞くぐらいなら俺と話すこともねーだろ。
「それはいい考えだと思うけど、、リアは人見知りとかじゃないの?」
間接的に方向転換を促してみた。
「ま、まぁ、知らない人と話すのはちょっと緊張するかな。けどレンの装備買うんだから、それぐらい頑張らないとね。」
いやー。俺の為に頑張ってくれるだなんて、、
さっきまでの俺は、、なんて不埒なことを考えていたんだ!!
いやちょっとだけ、ちょっとだけ楽しくおしゃべりしたかっただけなんですよ。
「なんか、照れくさいな。色々とありがとね。」
やっぱり俺かっこいいわ。
「そうだね....」
あ、うん。ミスったね。これ。
「あのーこの子に初級ウィザード装備買ってあげたいんですけど、どこにあるでしょうか?」
俺との会話を足早に終わらせて、店員に聞きに行ってしまった。
んー、さっきまでいい調子だったんだけどなー。
「初級ウィザード装備でしたら、ここにありますのよ。ちなみに20ギルです。」
「あ..は、はい。20ギルですか...。」
あらら、すぐに見つかっちゃった。
ん?けど、なんだか歯切れが悪いな。
リアは俺の方に向きを変えて耳元に囁いてきた。
「あのーですね、装備を値下げさせてもらえる魔法なんてあったらお願いしてもいいですか?」
あ、あ、頼まれごとより顔が近すぎじゃない?
こんな頼まれ方して断る男がどこにいるだろうか?
けどやっぱり、近くで観るとなおさら可愛いなー。
「あ、ああ、、はいっ。喜んで!」
こうなったら仕方ない。“妥協” を詠ってもいいが、2度同じ詩を詠いたくはないんだな。
またしても大きく息を吸った。
『 『夢はいつか叶う 』なんて言葉は迷信だ。それぐらい知ってるさ。努力したってそれが必ずしも報われるなんて思っていないさ。けどね、僕は、どんなに小さな希望だとしても、そこにまだ可能性があるのなら、信じてみたいんだ。』
モチーフは可能性と希望。ちょっと長ったらしいが、さてさてどうだろうか?
「あ、すみません。それでこの装備安くなる“可能性”はありますか?」
ここでリアのナイスな援護だ! さらりと“可能性”というワードを入れてくあたり素晴らしいぜ!
「あのー..20ギルでも安い方なんですけど、、、けどっ!!そのもし、そこに“可能性”があるのなら、10ギルで、いや無料で提供させていただきます!」
っははは。効果的面すぎて笑う。
てかそこに“可能性”って、どこにあんだよ。
「えっっと!?、はい。」
リアがそう言うと本当に無料で装備を提供してもらえた。
なんだこれ。実は俺最強なんじゃね??
なんてね。
「じゃ、帰ろうかリア。」
「うん..ちょっと申し訳ないけど、ね。」
んーまあ。確かに実行犯は俺だが、計画立案はあなたですからね?いやいや責任転嫁するつもりはないですよ。 はい。
けど、申し訳なかったなぁ。
「....帰ろっか。」
「.....帰るか。」
これは、俺らどっちも罪悪感に駆られてますね。
大丈夫。明日になれば忘れるさっ。
まあまあ重い装備が入った袋を抱えながら、俺たちはギルド館に帰った。
「ふぅうー、結構重かったね。」
リアはそう言って荷物を置く。
荷物の持つ割合は7:3ぐらいで俺の方が重いけども、それは言わないでおこう。
だって可愛いし。
「んーそうだな。けど今日は装備買ってくれてありがとねー。」
一応買ったもんね。
「いやいや、あ、それより買ってきた装備着てみたらどう?」
うん。この話を振るのはもうやめておこう。
けど、この困り顔も可愛いんだよなぁ。
「いいよ。ってどうやって装備すればいいんだ?」
ここで俺に脱げと言ってるのか?玄関ですよ?
いや違う。ここで脱がなきゃ、いつ脱ぐんだよぉ〜!!
「お、リア帰ってきたの、、えっと、レンも帰ってきたのか!!」
誰だっけ。この筋肉。
あぁ、サリウコスか。いっつも、いっつも邪魔しやがって。
「あ、どうもサリウコスさん。僭越ながら帰ってきました。」
「っは、サリウコスか。やっぱそうだよな。覚えずらいよな.....」
あれ?なんかやらかしちゃった?
「えーっと、さ、サリウ、、あっサリウスさん!」
やっべ。とうとう本人の前でやらかしちゃったのか。
そりゃ気分も下がるよね。俺だって名前間違えられたら嫌だもん。
「あれ?なんだよー、驚かせんなよ。そうだよ。サリウスだよ。お前ら玄関に居ないで早く部屋に上がれよ。」
サリウスさん優しいわー。ま、筋肉だけど。
「はい、そうしますね。リアさん、装備着るのまた後でもいいですか?」
「...............」
ん??あれ?聞こえなかったのかな?
いや、そうに違いない。
「え、あの、、」
「..........い!、」
い?どうしたんだこの人?
「大丈夫か。リア。顔赤いぞ?」
え!? それってもしかして…俺のことがってやつですか!
リアは大きく息を吸ってサリウコスと俺に言い放った。あーうん。サリウス。
「い!今までありがとうございました。このギルド楽しかったです。」
いや、ちょま、え?
「手続きもしてきたので、これで失礼します。」
そう言って、リアはギルド館から去っていってしまった。
そしてそれは同時に俺からヒロインが居なくなった瞬間だった。
、、う、嘘だよね??