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異世界ポエマーは夢を見ない  作者: セキセキヤ
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第4話 異世界社会での大逆転



ギルド館の場所がわからない以上最悪の場合は男に場所を聞くという選択肢を一つとして考えなければならない。


しかしもうその選択肢以外、道はないと自分でもわかっていた。


ここまできて、男に聞くのか。


けどもしこれで男にも無視されたら....


いいや!男はみんな友達さ。大丈夫。


優しそうな男を探していたら、偶然にも、いや運命的にも、さっき出会った美少女騎士と再会した。


あーそういうことね。俺のことに気をつかって追って来てくれたのか。


「あ、あ、あの、職業適性検査が行なえる場所まで案内してもらってもいいですか?」


「.......................。」


.....あれ? 反応がない。無視か。


もういいよ! もう怒ったよ。


そういえば俺の詩って、確かあの森を燃やして灰にしたんだよな。


だったらここも一緒だよ。灰にしてやるよ。


大きく息を吸って、彼女に聞こえるように囁いた。


『 理由がある恋は打算である。そして人々はそれを偽りと呼ぶ。ならば俺は偽りで構わない。全ての事柄の答えはそう、打算である。」


ふぅー言い切ったぜ。 この詩は打算をモチーフにして作りました!


あ、いっけね。灼熱の嵐をいうはずだったっけ。


待て待て待て、何が打算だよ。こっちは大誤算だよ。


「...っふふっ、あなたただの破壊者の割には面白いことを言いますね。ちょっと興味あるかも。」


アレ、ウケてる?


これは会話に持ち込めそうだ。


「ただの破壊者はやめて下さい。こっちは森を燃やすつもりはなかったんです。」


本当に燃やすつもりはなかったわ。


「でもまあ、事実は事実。実際この街の人のあなたへの評価は最悪よ。私はそうでもないけど。」


「じゃあ、ユキラスたちはいい人だったってことか?」


あいつら、筋肉じゃなくて、いいやつだったのかよ。


俺ちょっと泣きそうだよ。


「私っ....まあ、彼らは、頭弱いから。見ればわかるでしょ?あの筋肉。」


あぁー??俺が言うのもなんだが、この女、白状なやつだな。


あいつらだって好きで筋肉やってるわけない、、よな?


「それで、あなた集会所に行きたいんだっけ?連れてってあげる、だから............私とパーティー組んでくれる?」


いえぇーす。ごちそうさまでぇーす!!


知ってたよ。この推敲なる美少女様があんな筋肉たちとは比べものにならないってことぐらい。


が、しかし、ここはエレガントに行かないとな!


「パーティーならもちろん歓迎だけど、ギルドの方は大丈夫なんですか?」


あ、やべ。全然エレガントじゃなかった。


「大丈夫。集会所で脱退手続きをするから。そうしたら......2人か。」


ん??今最後にとてつもなくいい言葉が聞こえた気がするんだが。


まあいいさ。


ギルド脱退にも手続きがあるんだ。覚えておこーかな。


「わかった。これからよろしくお願いします。」


「はい。よろしくね。」


そう言葉を交わすと、美少女騎士は恥ずかしそうに俺の左手を握って、前に進んだ。


え??なんだ。この温もりと、神展開。


もしかして、、この世界ってキモい詩を読むと、モテるのか?

いや、これは完全に俺のステータスの勝利だな。


お父さん、お母さん。俺人生初、女の子に手を握られました!


そうして二人で仲良くおしゃべりをしながら手を繋いで集会所目指して歩いた。


彼女は“リア”という名前らしく、現実世界での俺の隣のやつと同じ名前で少し、本当に少しだけ嬉しかった。



リアが「もうすぐ着きますよ。」と言った瞬間に何かが終わった。


「あ、あ、あ、あのこの手はな、なんで繋がっているんですか??」


ん? なんでかって? そりゃ、あなたが繋いできたんだよ。


おいおい、急にピュアぶっちゃって〜


可愛いな、全く。


「い、いや。俺は何もしてないですよ。リアさん。」


なんで俺がビビってるんだよ。


大丈夫。怖くない。怖くない。怖くない。


「あなた、私に魔法をかけたわね。人を虜にする魔法なんて、........存在するの?」


いつの間にか握られていた手は、解かれていた。


てか、なんでこの状況で質問してくるんだよ。


そんなこと知らねーよ。


魔法をかけたとして、一体いつ魔法をかけたん、、、


もしかして、もしかしなくても、あれなのか?あれなのだ!!


「ごめん。まだ俺自身もよくわかっていないんです。その、もし自分がリアに変な魔法をかけたとしたら、それは本当に悪いことだと思ってる。」


悪いことだけど、いい経験だったよ。


美少女騎士が自分にデレて手を繋いでくれるのだからね。


「もしかして、本当に無自覚に魔法を発動してるってこと? ならあの森の件もそういうことなのかな?」


いやぁ、さっきまで無自覚だったよ。


今はっきり気づいちゃったけどね。


まあこっちの方が都合がいいから、そういうことでよろしくお願いします。


「わからない。けどリアに迷惑をかけたことは変わらないし、謝ります。ごめんなさい。」


やべー俺いいやつすぎぃい。


「謝ってくれて、ありがとう。 じゃ、私ちょっと用があるから、さようなら。」


いや、ちょま、え?


まさか今の流れでさよならってどういうことだ。オーマイガッツ。


「ちょーっと待ってね、リアさん。」


まだ、まだ終わらんよ!!


「ん、どうしたの?まだ何か言い残したことでもあるの?」


ここでもう一回詩を言って、いやダメだ。


女の子の気持ちを遊んじゃいけない。


「お、俺とパーティー組むっていう話は?」


頼むよリアさん。異世界まで来てぼっちはやだよぉ〜。


「んー君はあの特大魔法が撃てるんだよねー、、、」


おっ!!!結構考えてるぞ。


これは、これはいけるぞ!!


「はぁー。けどさ、その魔法が不定期に発動して味方が不利な状況になったり、危険になったりしたら君も嫌でしょ?」


仕方ない。化けの皮を剥ぐ時間がとうとう来たようだ。


「だから、ごめんなさい。なかったことに、、」


「それはちょっと違う。俺は自分でも理解し難いが、詩を詠むと魔法が発動するらしい。」


あーあー言っちゃったぁ。


きゃぁー恥ずかすぃー


「..そうなると、私を狙って魔法をかけたってこと?」


いやいやいや、そんな気持ちは微塵もあるわけ、、あるだろ!!


「いいや。俺はさっき詩を詠んだことによって改めて自分の能力について把握できたって次第だ。」


「ふーん。それで?」


それで? じゃねーよ。


えーっと、だから、ぱ、パーティーに入りたいなぁー。なんて言ったら通じるですかね?


はぁ〜もう疲れた。早くサリウコスに会いてーな。


あぁあ、サリウスか。


「俺はまだ職業適性検査も受けてないし、レベルも0だ。けどね、あんたの役には立つと思うんだ。」


多分役には立つんじゃね?


「....わかった。今日からパーティーね。」


ちょっと、ちょっとだけ嫌がってる感出てるよね。


「それは、嬉しいです!」


そう言って俺らは手を握り合った。


こんな手の握り合いでも、いやこんな握手だからこそ、さっき握ってもらった時よりも、数十倍嬉しかった。


「それで集会所行くんだっけ。早く行くよ?」


お、おうとも!


「適性検査ってどんなのをするのか分かったりする?」


ネタバレを聞いていた方がいくらか対策ができるだろう。


「簡単だよ。集会所にある手形の形をした石板に自分の手を乗っけるだけー。その結果を近くにいるお偉いさんが教えてくれるっていう感じかな。」


「ちなみにリアは、どうだったんだ?」


まあ美少女騎士というカテゴリー内なら、文句なしの最適性である。


「んーパーフェクト。全部の職業適性があったみたい。」


Really? ALLPerfect??Oh My God!!!


「そ、それは凄いことだね。」


「そんなこともないよ。実際あの筋肉3人衆もウィザード以外の適性は一応あったし。」


あ、この子今、素で筋肉3人衆って言った。可哀想に。


あいつら筋肉だけで一括りにされるんだよな。


「ついたよ。ここが集会所。あそこにでっかい男の人と、手形板があるでしょ?早く行ってらっしゃい。」


ここが集会所か。結構でかいっすね。しっかりこの場所をこの目で焼き付けておこう。


「わかった。すぐに終わらせてくる。」


そう言って、俺は強靭な男が立っている方へ向かった。


「あのー適性検査してもいいですか?」


強靭な男は微動打にせずに、こちらを睨むだけだった。


これはもう既に検査に入ってますよパターンか。


俺は睨み返して、一言かましてやった。


「早くしないと、嵐がやって来ますよ?」


俺にしてはカッコいいな。


「わかった。ここに手を置け。」


手を置いて数秒後、その置いたところから、紙が出てきた。


「えーっと適性検査結果。あなたの適性職業はありません。よって商人である。」


は?


これ絶対ユキラスのフラグの所為じゃん!!!


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