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紅葉

「私で御座いますか?」


「ええそうよ!あちこちに色目を使って男を誑かすなんて!どういうつもりなの?!」


はて、何の事やら。色目?中身はおっさんなのですがな。それに、このご令嬢、どこかで見たような.....


「ちよっと!聞いているのですか!!!」


「ふぇ?」


おお。目の前まで迫ってきておった。それに、淑女らしくない変な声を出してしまった。

お?今の反応が悪かったのか?茹で蛸みたいに真っ赤になったな。それにしても何が何やら...


「あの、申し訳ありません。何の事が分かりません。」


パシィン!


...イタイデス...打たれた!ティシィ以外に打たれたのは初めてだな!それにしても、さっきから何が何やら...あと、頬がジンジンする!


「恥を知りなさい!どこの令嬢かは知りませんが、今後、社交界に出られないと考えた方が宜しくてよ。」


何やら宣告を受けたな。ただ、それよりこの令嬢が気になる。何処であったのかのう。


「すみませんが、お名前は?」


「パトリシアよ!パトリシア・フィンガー。よく覚えておくことね。」


そうか。フィンガー侯爵家のご令嬢か。確か、前世で王妃の座をフィンガー侯爵夫人が狙っていたな。よく見れば、似ているな。成る程。しかし、これではフィンガー侯爵家も将来が心配だな。少しお灸が必要か。


「パ、パトリシア様!な、何て事をなさるのですか!」


む?確かこのご令嬢はフィンガー侯爵家と懇意にしている子爵家のご令嬢だな。今に倒れそうなほど青ざめている上に、足元がガクガクだが。


「何を言っているの!この女が色目を使い男達を誑かしていたのが悪いのよ!」


「そ、そんなことより、この方は王族の方です!王太子殿下の長女、リーフィア王女様です!」


「え.....」


お。固まった、固まった。これは面白いな。少しお灸を据えるのが楽しみだ。

どれ...


「自己紹介が遅れました。第1王女リーフィア・フォン・シフズライトです。それでは、そろそろ他のかたにもご挨拶をしないと行けませんので、失礼させて頂きます...王宮には何時でもお越しくださいまし。」


固まっているパトリシアのドレスの胸元に、その場でサッと書いた手紙をいれ、笑顔でその場を後にする。


さて、パトリシア嬢にはお灸を据える事は、決定したし、次はフィンガー侯爵家だな。


頬に立派な紅葉を付けながら、ズカズカと会場を進んでいき、周りの貴族達はその異様な姿に次々と道を開けていき、ついにフィンガー侯爵家夫妻の前までやって来る。


「フィンガー侯爵、フィンガー侯爵夫人、お久しぶりで御座います。第1王女リーフィア・フォン・シフズライトです。」


フィンガー侯爵夫妻はその場で驚きのあまり固まってしまい、挨拶を返すこともできずにいる。そして、王女はそこからの復活を孫娘譲りのタレ目の優しい眼差しで笑みを浮かべながら待っている。


「お、おお久しぶりで御座います。リーフィア王女様。そ、その...お顔のモノは.....」


「これで御座いますか?とても美しい紅葉を頂いてしまいました。栞にして残せれば良かったのでございますが。」


「そ、そそんなモノ!何処の不届き者に...」


侯爵は姫の背後に顔が真っ青で、今にも泣き出してしまいそうな娘を見付け、直感的に、王女の顔に真っ赤な紅葉を付けたのは自分の娘だと気付き、侯爵の顔も真っ青になり、声が出せなくなってしまい。


「侯爵様?どうかなさいましたか?お顔の色がお悪いようで御座いますが...侯爵夫人。侯爵様は調子がお悪いようなので、お願いしてもよろしいでしょうか?」


「は、はい。もちろんで御座います。失礼いたします。」


夫人は侯爵を連れて会場を出ていき、パトリシアがその場で立ち尽くしてしまい。


「パトリシア様もお顔が真っ青で御座いますよ?今日はお早めにお帰りになられた方がよろしく思います。また、何時でも王宮へお越しください。では。」


笑顔で別れの挨拶を述べて、パトリシアの元から去ると、パトリシアはその場で崩れ落ち、子爵令嬢がパトリシアを支えながら会場を出ていき。


その後、会場ではフィンガー侯爵家のご令嬢が王女に手を出したとあっという間に広がってしまい、会場では『これでフィンガー侯爵家はお仕舞いだな。』と噂が広がっていった。

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